OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 1996年 1月 連載105回

我、WIN95とかく戦えり
初心者の方が高機能なパソコンを持っている時代


 明けましておめでとうございます。1995年は、パソコン世界が一挙に拡大した年で、パソコン=マニアといったマイナーな構造から、完全に市民社会の中での位置を確立した年になってしまいましたね。あまりに強力になりすぎたウインテル陣営の宣伝戦略とインターネット協奏曲が、不況の時代の中で明るい話題を求めていたマスコミにうまく取り上げられたため、虚像が実体を凌駕して大衆にイメージ化されたためなのでしょうが、パソコン初期の頃からパソコンユーザーであった私にとっては奇妙な感慨にとらわれた1年でもありました。昨年のパソコンの総出荷量はビデオの出荷量を超えていたというのですから、凄いものじゃありませんか。386CPUを搭載した9801DAが発売された頃、大森局長が「パソコンは結局マニアや企業ユーザー以上に拡大することはないのではないか」と、マイナークラブの行く末を嘆いたことがありましたが、現在ではあまりのパソコンの大衆化により、パソコンクラブの存在自体が希薄になるという逆現象の憂き目を感じ始めています。パソコンクラブの意義についての考察は後に譲るとして、とりあえずこのパソコンの普及と普及によるメリットであるパソコンの低価格化に万歳と言っておこう。


私のひがみも当然か!

 しかし、安くなったものですね。もう486パソコンなんてほとんど売られてないですよ。初心者が購入するパソコンが最低でもペンティアム75という時代。先日友人がWindows95マシンが欲しいというもので、富士通のDeskPowerシリーズを薦めたわけですが、低価格の「S」が15インチモニター、ペンティアム100、850MHD、8MRAM、4倍速CD−ROM、当然ソフトはごっちゃりとついて185千円ですよ。もう一人の友人は98男でそこそこパソコンをつついていたので「H」を薦めたのですが、17インチモニター、ペンティアム133、16MRAMと付いても285千円ということですから、もう自作パソコンなんてつくる奴は馬鹿だという話にもなってきますし、こんな金額で最速のマシンが手に入るわけですから、素人の方が玄人よりも凄いマシンを持つという逆現象時代になったようです。私のハードのCPUは今もって「バグありペンティアム90」なんだぞ!

やっぱりミーハーは95です

 さて、パソコン世界を社会的存在にまで押しあげたWindows95については先月号では触れませんでしたが、11月23日に手に入れて早速インストールした話から始めましょう。東京や大阪などの大都市では夜中の賑わいがテレビで報道されていましたが、私の住む町は地方都市ですから、午前0時のカウントダウンなんてあるはずがないとタカをくくっていたのですが、夜中にパソコン店に出かけた友人から「なかなか集まっていたよ」と聞き、このお祭り騒ぎの社会現象の広がりに感心したものでした。

最初から躓いた

 β版のインストールでは少々手こずった経験もあったので、正式版のインストールはどうなるのか興味しんしんとはいえ、今一つ乗り気になれませんでした。どうも不安の方が大きかったですね。CD−ROMを入れてインストールを開始すると、「ハードディスクの状態がおかしいので、DOSに戻ってDISKSCANをかけて下さい」と言ってきます。そんな馬鹿なと思いながら、ハードディスクをスキャンしたのですが(これが結構時間がかかるのです)、「異常なし」と言ってきました。「そうだろう、そうだろう」と頷きながら、再度インストールを始めると、やっぱり同じコメントを返してきます。これじゃあ一体どうしたらいいのだ。昔、メンバーズクラブに出かけたとき、「服装が悪いから入れない」と言われて門前払いをくらったことを思い出しましたが、インストールの前に蹴られてしまってはどうしようもありません。ムカッパラがたってきましたが、仕方がないので、友人に電話をかけることにしました(どうせマイクロソフトに電話をかけても通じないに決まっているでしょうから)。

ROMROM大魔王と魔法使い

 さすがはROMROM大魔王。早速おまじないを教えてくれました。SETUPプログラムにはオプションがついていて、各チェックを省略する方法があったのです。<setup /im /id /is>と入力すると、すんなりとインストールが開始されました。セットアップウィザードという魔法使いは、非常に強力で、自分がよく知っているハードに関しては親切にセットアップしてくれるのですが、自分が認識できないハードが組み込まれているパソコンに対しては大変不親切な魔法使いです。何しろ相手が魔法使いなものですから、こちらはお任せするしか道がないわけですが、セットアップしている最中、自分がどこに連れ去られているかがわからなくなり、いったんハングアップすると迷子になってしまうのですよ。出来のよい師匠を多く持っている私は、魔法使いに翻弄されながらも師匠の助言に従って、なんとかWIN95城の攻略を押し進めるわけですが、結論から先に言うとセットアップに取りかかってから1ヶ月近くになってやっとWIN95は動いてくれるようになりました(それでもまだ完璧と言えませんが)。WIN95のインストールに関して言えば、新聞等で98キャンピーは危ないとかいろいろ言われていますが、どんなマシンでも大変なのです(久しぶりにNECの肩を持ってしまった)。

一般的WIN95は何とかなる

 いったん、セットアップの土俵が整えば後はトントン拍子にファイルがインストールされます。問題は、ファイル転送の後のWindows95の再起動です。この再起動が起動しないことも多々あるのです。何度リセットを繰り返しても再起動しない場合は、と出たときに<F8>キーを押します。すると、起動メニューが出てきます。通常のWindows95から、DOSの起動まで選べます。このなかで、SafeモードのWindows95を選ぶとたいてい動き出します。このモードは、周辺機器をほとんど無視して起動するタイプですから、とりあえずWindows95が立ち上がるだけですが、このモードで諸々のセットアップを行い、再度立ち上げるとうまく動く場合もありますが、なかなかのものです(私も相当悩みました)。この他、step to stepなどがあり、いろいろ使わせていただきました。こんなモード、実際使いたくはないもんですね。  結論から先に書けば、Windows3.1から95にアップグレードしようと思うのなら、まずconfig.sysとautoexec.batの整理から始めなくてはなりません。何気なくアップグレードしようと思ったらとんでもない災難に遭うことを覚悟して下さい。とにかく、コンベンションメモリをできるだけ確保しようと非常に危ない記述をしているconfigを書いている人ほど、つまり私と同じように多少パソコンの知識をかじってしまった人ほど頭を悩ますことになるでしょう。私のパソコンでは、configがきれいさっぱり無くなってしまったものと(うまく行けば16ビットのデバイスを残す必要がないため、configとはおさらばできます)、REM文(WIN95が勝手にやってくれます)でぐちゃぐちゃになってしまったものとがありますが、後者のパソコンでは「VFBACKUPがおかしい」といってWIN95が立ち上がらなくなり、にっちもさっちも行かなくなると言う現象が生じてしまいました。しかも、2度までも(2回目にはあわてず、configの基本記述以外をすべてREM文に代えてしまったらすぐにうまく立ち上がるようになりました)。どうも、アレンジしてしまった3.1には弱いようです。95をインストールする場合は、必ずconfig.sysとautoexec.batを見直す必要があり、できるだけ初期の状態に戻すことをお薦めします。

ネットワーク関係は難しい

 さて、こうした悪戦苦闘の末、標準モードのWIN95は立ち上がるようになったのですが、問題はネットワーク関係です。これが難問でした。メルコの簡単WEBを扱ったことがあるとはいえ、ネットワーク関係のプロトコルについてはほとんど無知な私に、セットアッププログラムは次々と質問を投げかけてきます。「分かるわけ無いじゃあないか」ととにかくリターンキーを押し続けると、通常のWIN95は正常に立ち上がりますが、ネットワーク関係はまず動きません。私が考え込んでしまったのは、まずメルコのネットワークカードです。パソコンショップなどに言って質問を投げかけても誰も応えてくれません。パソコン雑誌のトラブルシューティングでも私の症状がそのまま使えるわけではありません。要は、問題はふたつ。ハードとして認識してくれない。いろんなアプローチをしてハードが認識されてもネットワークとして繋がらないと言うことだったのです。メルコのカードは95のハードのドライバが入ってはいたのですが、95の立ち上がりに必ず不都合の表示がされ、NE2000のコンパチとしてはハードとしては認識されるもののネットワーク上では認識されないと言うジレンマに陥ってしまいました。一方では、インターネットの接続で95のPLUSで接続しようとすると、外線接続の我が家ではうまく行かない上に、従来のトランペットとNetscapeでは文字化けをしてしまうと言うダメージを受けていたのです。問題を解決するためには、総花的にではなくひとつひとつとは思いながら、どうしても焦りが生じ、ますます泥沼にはまり込んでいく自分に苛立ちを覚えてしまったものです。

ネットワークカードとの戦い

 解決策に、東京の出張の中で「エーマスター」に寄り、95で動作確認をしたという3500円のネットワークカードを2枚買ってきました。付属のFDを確認すると95用のソフトが入っているではないですか。安心して、カードを取り替えてインストールしたものの、やっぱりエラーが返ってきます。WIN95ではHELPメッセージは充実していますから、いろいろ調べてみますが、結局は簡単なトラブルの解決方法にとどまっています。自分でやっているうちはでたらめな方法でIRQとI/Oを設定していましたが、hills君やROMROM大魔王がやってきて、しっかりとひとつひとつ設定の間違いを潰していってくれたら、ハードのエラーが消去されました。しかし、これだって大変な作業です。本当に早くプラグアンドプレイがサポートされて欲しいものだと実感したものです。現在のIRQとI/Oの設定というものは、パズルと変わりません。本当にひとつひとつ潰して確認して行くしか方法がないのですよ。それでも、うまく作動しない場合は、他のハードのIRQとI/Oを移動させて、そのハードをパソコン本体から認識させてやらなければならないわけですから、なかなかうまく行かない場合には「馬鹿野郎」とつい叫んでしまったとしても無理はないのですよ。

サーバとクライアント、わからん

 こうして、ハードは認識されたものの、ネットワークからは隣のパソコンは見えません。95のネットワークをクリックしても、稼働中のネットワークはありませんとつれない返事。パソコン雑誌によれば、ハードの認識さえうまく行けば、後は簡単にピアツーピアのLANは繋がると書いているわけですが、これがうまく行かないわけです。何度もプロパティを書き直したり、デバイスを削除したり、登録したり(こんな時、WIN3.1のリセットの時間がDOSに比べて遅いと感じたことを思い出しました、今度の95ではもっともっと長いのですよ)、こんかぎり試したわけですが、ひょっとしたことで95の立ち上げの時のパスワード登録とネットワークの関係に気付いたのです。パスワードを入力しないことにはネットワークには接続できなかったのです。
 こうした調子で、まだまだWIN95の情報は未成熟で、WIN95の完璧インストールは難しいというのが、私の結論です(数ヶ月もすれば、情報は溢れ返るでしょうし、95が難しいから普及しないなんて私は言ってないですよ)。そこで、旬のものはまずくても食べるのが「**っこ」と言うもので、困難に打ち勝って「粋」を楽しむことが「PC通信」のメンバーの心意気だと言っておきましょう。パソコンの未経験者で、アップグレートが一発で出来たという幸福な人には、人生の幸運をここでひとつ使い果たしてしまったねと毒づいて、来月またね。

95とNetscap

 3.1の時にはNetscapは文字化けもなく、うまく動いていたのですが、95にした途端、イタリック体の文字が化けてしまうようになりました。Netscap2.0では日本語フォントが化けると聞いたことがありますが、こんな話は聞いたこともありません。Netscap2.0の文字化けは、Emigrant.EXEと言うプログラムを常駐させると有効だと友人が教えてくれましたが、イタリック体の文字化けには何らの効果もありませんでした。現在では95Plusのインターネット用のソフトを使っていますが、誰かいい解決策があったら教えて下さい。プラウザはやっぱりNetscapだというが、ミーハーの鉄則でしょう。


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