ランダムアクセス 1996年 2月 連載106回
インターネットは共通のデータ資産となるのか?
WIN95の完動までには、いろいろありました。
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今年の冬は久しぶりの寒い冬ですが、みなさんお元気でやっていますか。寒波が押し
寄せ、めったに雪が積もらない私の地方でも雪が積もり、車の通勤に困ったりしていま
す。スキーが好きな人には嬉しい今年の冬でしょうが、日常生活にこしょっていまう凡
人には困った冬です。
噂のマルチメディアボードEGDE3D
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さて、「PC通信」では、みんなWIN95のインストールには困ったという話が続
出していましたが、私のシステムはやっとうまく作動してくれるようになりました(そ
れでもうまく動かないソフトもまだありますが)。2台のATコンパチ機(486/1
00VLマシンとペンティアム100PCIマシン)の両方にWIN95をインストー
ルしたわけですが、問題はやっぱりIRQとI/Oアドレスのバッティングです。WI
N95では、「コントロールパネル」−「システム」−「デバイスマネージャ」でシス
テムのリソースを明示してくれるわけなのですが、競合デバイスがないと言っていると
ころに設定してもなかなか認識してくれないことが多いのです。それでも、2台のパソ
コンがシステムリソースを気にしないでLANで繋がると快適ですよ。ところが、昨年
末にPCIのEGDE3Dを買い込んだところから、最後の悪戦苦闘があったので、今
月はその顛末から始めましょう。
ダイヤモンド社が発売したEGDE3Dは、PCIバスのマルチメディアカードで、
1枚のカードでビデオ(3Dアクセラレーター)と音源をサポートしてくれるもので、
空きスロットが無くなっていた私のPCIマシンでは、サウンドブラスターをはずすこ
とが出来るのと、セガのゲームがおまけで付いてくると言うのに釣られて購入したわけ
です。VRAMベースのものと、DRAMベースのものがあるわけですが、どうも貧乏
性の私は高級品には手が出しづらく、DRAM2MBのものを4万円で買ってきました。
3Dアクセラレーターボードは、今年次々と発売されてくるでしょうし、EGDE3D
が主流を占めてしまうとは思えないので、当分のお遊びと購入したのです。この説明書
をざっと読むと、なんだかんだと手順が難しそうなので(通常、カードを差し込んでデ
バイスドライバを組み込んでおしまいなのですが、このカードはDOS上で設定をした
後、WIN95でデバイスドライバを組み込むと書いてある)、ゆっくりと時間がとれ
る休みまで待っていました。
やっぱりぶつかった!
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説明書の手順で導入したところ、WIN95が立ち上がらなくなり、DOS画面が文
字化けしてしまうではないですか。Safeモードで立ち上げてみたりしましたが、う
まく行きません。うーん、不安な予感は的中したと思い、マニュアルを何度か読み直し
たところ、このカードはDOS/Vモードでは文字化けするので、昔懐かしいFONT.SYS
に/HS=OFFのオプションを付けるみたいなのですが、私のシステムではCONFIG.SYSは無
くなっていたので、DOS上のセットアップがうまく行ってなかったようです。このコ
マンドを追加して再起動すると、うまくWIN95に入ることができ、解像度の変更も
可能となりました。サウンドも試してみたところうまく機能しているみたいと喜んだの
はつかの間、例のイーサネットカードが認識されなくなっているではないですか。あれ
だけ苦労してピアツーピアLANを完成させたばかりなのに、またしてもやり直しと言
うことになってしまいました。「コントロールパネル」−「システム」−「デバイスマ
ネージャ」でシステムのリソースを調べ、どこがバッテンしているのかを調べると、E
GDE3DとイーサネットカードのIRQがぶつかっているようです。あまり空きのな
いIRQですが、何とか工面してぶつからないようにIRQを設定したのですが、まだ
認識されない。今度はI/Oアドレスです。何度も組み合わせをかえてっているうちに
認識させることができました。
で、このEGDE3Dの売り物のセガのゲームはどうだったかって。新ちゃんじゃあ
るまいし、不細工な私はデモ画面を見るだけで、ゲーム好きな息子にやらせようとして
も「受験生に変なことを教えないで」という女房の一言で、単なるグラフィックボード
に成り下がってしまいました。でも、3Dのリアルと動きは凄いもんです。アクション
ゲームもWIN95のものです。
ええーい、全部インストールしちゃえ
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ここまで来たら、買い込んできたまま放って置いたモノクロハンディスキャナやWI
N95で作動しなくなったMPEGボードも放り込んでやれと、最後のチャレンジをし
ました。4800円のバッタものであるモノクロハンディスキャナは、説明書が英語で
あると言うことと、WIN95には未対応であるので、なかなか認識しなかったのです
が、CONFIG.SYSの記述を何度か書き直していたら、スキャンモードでスキャナ部が点灯
し始めました。これでDOS/Vマシンでもスキャンニングができるようになりました。
最後の関門は、MPEGボードですが、こいつは再びIRQとI/Oアドレスの格闘です。
WIN95用のデバイスドライバはniftyにUPされていないかと探しに行ったの
ですが、3.1用の新しいデバイスドライバは出ていても、WIN95用はありません
でした。仕方がないので、3.1用のプログラムで稼働させることにしたのですが、こ
のソフトの最大の欠点は従来の設定を覚えていないのです。初期設定から始める必要が
あるので、前の設定をメモしてなかった私はまたもやパズルあわせの格闘です。やっと
これも認識してくれるようになったわけですが、プラグアンドプレイが当たり前という
世界になるまではまだまだ悪戦苦闘が続くようです。おかげでパソコンの根本的勉強を
おさらいさせてもらいました。
<教訓>
むやみに拡張に走らない。やっと稼働したシステムは貴重である。
設定したことは、メモメモメモ。まだまだP&Pは夢の話。
アクセスありがとう
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昨年の末に開局したインターネットの「お祭り小僧のホームページ」ですが、たくさ
んの方、アクセスして下さってありがとう。面白いもので、名前も知らなかった友人た
ち(?)からMailをもらい、嬉しく思っています。
話題沸騰のインターネットですが、雑誌等では一方的な万歳記事と、こんなもの役に
も立たないと言う記事が同居しています。どちらを読んでもなるほどと言うほどのもの
ではなく、どうもインターネットの現在的な意味を理解していないと感じてしまうので
す。ワープロの「一太郎」や「WORDPRO」などでなぜインターネットだなんて書
いてある記事を見ると、時代の流れを理解せず、「やっぱりDOSだ」と語っている時
代錯誤のメンバーたち(DOSの有効性と限界を認識してない)と同じ弊害を起こして
いることにあきれかえっています。私はわけもなく「これからはインターネットである
」と、単なるミーハーをしているわけではありません。ここで少し、インターネットの
意味を考えてみることにしましょう。
1月号の「PC通信」では、沙門さん始め何人かが「JAVA」について語っていま
した。これが将来のインターネットを決めるわけではありませんが、非常に面白い規格
です。まだ、この規格について知らない人がいるかも知れないので、少しコメント。U
NIXで有名なサン・マイクロシステムが作った規格で、インターネット上でクリック
しただけで動画や音声が出ると言う規格なのですが、私は早く試してみたいとは思って
いますが、まだ導入してないのでそれ以上は言えません。ただ、唯我独尊のマイクロソ
フトのビル・ゲイツもとりあえずはこの規格をライセンスしたと言うほどのものと言っ
たら、その規格の可能性の高さが理解してもらえるでしょうか。
どんなOSでも読めるHTML
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話は少しずれたように思えるでしょうが、ここで、私が言いたかったことは、「JA
VA」の規格問題ではなく、インターネットの意味です。つまり、DOSだとか、Wi
ndowsだとか、MACだとか、OS/2WARP、挙げ句の果てにはUNIXだな
んて騒いでいた時代もあったし、現在でもそういうOSの比較ひいきを夜郎自大に語る
人もいるでしょうが、「どうも、インターネット時代においては話は変わってきたぞ」
と認識する必要が出てきたようです。第1番に言いたいことは、パソコンがスタンドア
ロンなものからグローバル化したという事実です。昔、600ボーのモデムでパソコン
通信のBBSに繋がったときの感動が、もはや当たり前となったということです。次に
重要なことは、インターネット上の言語であるHTMLで書かれた文章は、どんなOS
の上でもほぼ同じように表現されると言うことです。昔、DOSのテキストファイルで
書かれた文章は、ある種の共通文書で、ワープロとパソコンの垣根を取り払ったという
事実があり、現在の電子機器の文字データはテキストファイルという共通の土台の上に
なり立っていると言っても言い過ぎではないと、私は考えています。しかし、もはや文
章はテキストだけの時代から、図形、写真、果ては動画や音声まで、パソコンの機種や
OSを越えて「共通な土台」というものを求め始めています。EXECLで書かれた表
は1−2−3でも当然読める、一太郎の文章は当然WORDでも読める、「開かれたデ
ータ資産」という時代に入っているし、そうした事実は「当たり前」と認識される時代
になってきているのです。つまり、時代は「共通のデータ資産」を必要とする時代に突
入しているのだけれど、それを実現する方法が「何か」と言う事実に注目する必要があ
るのです。
新しい共通言語の登場か?
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つまり、インターネットというのは、「全世界のパソコンが繋がっている」とかいう
面白さ、「インタラクティブメディア」だとか「マルチメディア」とか言った言葉に踊
らされるだけではなく、「共通なデータ資産」という主題を獲得し始めたメディアであ
るという事実を認識する必要があるのです。だって、現在のWWWでは、どんなパソコン
、どんなOSでも、ひとつのHTML言語で書かれたものは同じような画面で見ること
ができるのですよ。これがJAVAになれば、映画や音楽まで同じように表現されるの
ですよ。これは、パソコン世界の革命ではないですか。あまりに速いスピードで変化す
るパソコン世界では、何が革命で、何が単なる改革なのか、認識することは難しいでし
ょうが、インターネットのWWWは、「すんごい時代の幕開け」であると私は思ってい
ます。その証拠は、あのビル・ゲイツが慌てふためいてマイクロソフトネットワークの
路線変更をし、JAVAを導入したことにも表れているではないですか。
つまり、ワープロも自分独自の書式形態で書かれたものなんてものは意味が無くなり、
HTMLやJAVAで書かれた文章をディスプレイに表現できないものなんてものは、
ワープロとして「屁の突っ張り」にもならなくなるのかも知れない危機に陥ってるので
すよ。そのことを認識したロータスやJUSTなどは、慌ててインターネット、あるい
はHTMLに擦り寄り始めているのです。パソコン通信が始まった当時、7ビットだと
か、8ビットだとか、機種が違ったら文字化けがするからとかいった話が多く出ました
が、現在ではテキスト文章であれば問題なく送受信できるし、インターネットはパソコ
ン通信を越えて、新しい時代を作り始めていると感じています。
インターネット時代のISDN
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そうと決まったら、インターネットはISDNです。私の友人たちはそろそろ家庭に
ISDNを導入し始めています。現在家庭に引き込まれている電話線をISDNに変更
すれば、普通のアナログ回線を2回線と、デジタル通信網にも接続できるというもので、
NTTは企業向けに盛んにコマーシャルしていたのですが、ここにきて回線使用料が値
下がりしただけでなく、家庭向けにも面白い機器が発売されたことによって、高速通信、
FAX、電話を1本の線でまかなえるISDNは非常に身近なものになってきました。
面白い機器というのは、95年の12月に発売されたNTTテレコムエンジニアリング
東京(03-5685-7200)の「MT128」(2アナログポート+同期64Kシリアル)と
「簡単ケーブルキット」というもので、従来のISDNの接続用のTA(ターミナルア
ダプタ)の半額以下のものなのです。
私の家でも子どもたちが大きくなり、彼らの回線使用率が高くなって、私がパソコン
通信をしようとしてもなかなか電話が開かない状態になっていました。そのうえ、娘は
最近niftyの音楽フォーラムにはまりこんで、仲間同士のmail交換に忙しいと
言った有り様になったため、ISDNに変更することにしました。当面はデジタル通信
ではなく、アナログ2回線を接続し、1回線を従来の電話、1回線をモデム兼私用の電
話回線にしようと企み、回線を申し込んでいるところです。上記の「簡単ケーブルキッ
ト」を使えば個人で接続できるということなので、我が家の電話交換機(シャープ製で
自分で取り付けている)とどのように組み合わせるか考えているのですが、これでまた
睡眠不足になりそう。
return
ご覧いただき誠にありがとうございました
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