OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 1996年 5月 連載109回

インターネット時代はISDNとはいうものの...
パソコンって言うやつは時間と銭を喰うものだ


 暖かくなったと言っても、今年の春の立ち上がりはもたもたとした足取りですね。若葉が一斉に色づき始める5月は、命の感激を感じさせてくれる季節ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

新雑誌創刊ラッシュにただ唖然

 このところ仕事が忙しくて、パソコン雑誌にもなかなか目が通せないな、と思いつつ大型書店に立ち寄ってパソコンコーナーを覗いてみて見れば、新刊雑誌が溢れ返っているではないですか。「超初心者のためのパソコン雑誌」だとか、「超初心者のためのWindowsWIN95」なんて雑誌まで入れると、インテル系雑誌だけで50冊を越えてしまうのでは思ってしまいました。これじゃあ、1日1冊読んでも間に合わない。その前に金が続かないかな。冗談はさておき、凄い時代になってしまったものです。「パソコン初心者は人に頼るだけではなく、多少の勉強が必要だ」と3月号に書きましたが、彼らも本屋の前で立ちつくすことでしょうね。それこそ、選択の自由を楽しむか、選択の困難に苦しむのかが問われると言うことになってしまうわけですね。

だんだん腰が重くなる

 さて、数ヶ月前から話題の486互換のCPU、AM5X86−P75を購入したのですが、なかなか取り付ける踏ん切りが付かない。IDEの1.2GBのハードディスク、4倍速のATAPIのCD−ROMなど、いろいろ買い込んではくるのですが、OSをWindows95にしてからはなんとなくシステムを変更するのが億劫になっているのです。システムの変更が簡単になると言うプラグアンドプレイがWindows95の売りにも関わらず、実際にやってみるとまだまだマザーボードも拡張カードも対応がしきれていないため、システム変更をへたに行えば立ち上がらなくなってしまうと言うことを知ってしまっているからなおさらです。私の家によく遊びに来る若い友人たちは、ことなげもなく新しいシステムにどんどん変更をかけて、トラブルもまた楽しと言った雰囲気でやっているようですが、最近の私はやっぱり無精になっているようです。会社では、若い連中に「チャレンジ精神を無くしてどうなる」なんて叱咤激励をしたりするのですが、自分にはだんだん甘くなってきているのかな。なにしろ、自分が自由になる時間がどんどん減ってきていて(ある年齢以上になると、仕事の占める精神的時間割合が急に増えてくるように思うのは40代後半からの宿命なのでしょうか)、システムのトラブルにとられてしまう時間を楽しみではなく、苦痛に感じ始めだしているのです。昔、10万円で購入した周辺機器がなかなか繋がらなくて、やっとの事で動くようになったとき、「10万円分遊ばせてもらった」などと嘯いていたことがありましたが、当時は余裕があったのでしょうね。ハードディスクの容量にしても、20MB当時に較べ、現在は1GB時代、いくらCPUやハードディスクの速度が速くなったとはいえ、システムをバックアップしたり、転送したりしていたら、あっと言う間に1日が済んでしまいます。うーん、早く退職しても食えるだけの金を貯め込まなくては。そうしたら、ばんばんパソコンと遊べるかなとは思うのですが、そういう境遇になったら金が足らなくなって何にもできないと言う悲哀も感じたりして。まあ、せいぜい元気を出して、好奇心とチャレンジ精神の衰退を防いでいかなくては。
 そこで、重い腰を上げてパソコンの改造に取りかかりました。そういえば年末にも丸一日かけてシステムを改造しましたが、一念発起しなければできないものです。ところが、まだ若い私の友人は、「まだ、10時ですね。1時間もあれば何とか成るでしょう。やってみましょう」と本当に腰が軽い。その言葉に釣られて、私も改造に踏み切ることにしました。

WIN95システムの移動は難しい

 まず最初にやったことは、ペンティアムマシン(PCI、C:430MBHD,D:280MBHD、E:1GBHDSCSI,F:2倍速CD−ROM+ナカミチ7連装CD−ROM+230MBMO)に、1.2GBHDと4倍速ATAPICD−ROMを増設することです。問題は、1.2GBHDを起動Cドライブに変更できるかということです。メインボードのE−IDEのプライマリーに1.2GBHDと280MBHDをつなぎ、セカンダリーに430MBHDと4倍速ATAPICD−ROMをつなぎ直しました。元の環境をそのまま残そうと言うもくろみを企んだわけですが、これがなかなかうまく行かないのです。問題は初めからわかっていたのです。WIN95のシステムは、ロングファイルネームをサポートしているため、これを他のドライブにコピーしようとしたとき、DOSのツールでは不可能となるのです。また、WIN95の上で、エクスプローラで転送しても、WIN95の設定ファイルがブラックBOX化しているため、なぜかうまく行かないのです。いろいろ試してみたあげく、かなりの部分を残して再構築のWIN95環境は出来上がったのですが、LANがまともに動かなかったり、MPEGがまともに走らなくなったり、もうさんざんです(先日、Y先生にお会いしたら、DOSレベルでロングファイルネームをサポートして、WIN95のシステム転送を簡単にするユーティリティを作成してニフティのFGALにアップしたという話を聞きました。少し時間に余裕ができたらこれをダウンして再構築しよう、っと。それからY先生には「WIN95のロングファイルネームの不思議」って言う記事を頼みました。来月号を楽しみに)。
 私の周りのパソコン状況は、上記の通りで、やらなければならないこと、やりたいことが山積みになったまま、消化不良を起こしてストレスが貯まっています。趣味がストレスになり始めたらいったいどうすればいいのでしょうね。

ISDNがいっぱいだ

 さて、沙門さんがこのところインターネット関連というか、ISDNのお話を綴っていますが、私の家にも例の「NM128」と接続キットが届きました(今年に入ってからNECを初めとして「NM128」対抗機が続々発表されましたが)。3月の末には届くと連絡があったので、早速NTTのISDNに申し込もうと連絡しました。「NM128」を別途に注文していると話すと、接続もそちらの方でして下さいと、つれない返事をもらいました。彼が本当に「NM128」のサービスについて知らないのかもしれませんが、こちらとしては「よそからTAを購入したのなら、当方は関知しない」と言っているようで、不愉快な気分になってしまいました。「NM128」は別会社とはいえ、NTT系列の会社なのですよ。少しは勉強しておいてほしいものです。気分を変えて、「あちらでは接続の手続きはないようです」と答えると、仕方ないなと言った雰囲気で、私の家の電話番号を尋ねてきました。私が答えると、そのエリアはいっぱいで現在接続できないと言われてしまいました。「どうしたらいいのですか」と再度尋ねると、「10月頃、増設工事が出来るから、そのころにまた電話して下さい」と返事が得られましたが、「では予約でも」と詰め寄ると、「そのころになって電話して下さい」の一点張りになってしまいました。何となく不愉快な感じを受け、友人を通じて回線状況を聞くと、やはりこの数ヶ月で急に回線が塞がってしまったようです。なんとか方法を考えなくては、せっかく苦労して手に入れた「NM128」がお蔵入りになってしまうではないですか。もっとも、いくら我が家とプロバイダの間をISDNで接続しても、プロバイダの回線の先がどうなっているかが問題ですけどね。通信インフラの整備(NTTが来年初めから始めるという  構想も面白そうです)は、これから急激に進むことでしょうが、21世紀はどんな情報社会になってしまうのか、興味津々です。
 YASUBEEさん、ホームページ、拝見しました。しゃれた雰囲気のホームページで感心してしまいました。頑張って下さい。

海外電話もインターネット?

 まったく、最近のインターネットブームは凄いものですね。パソコンのパの字も知らない人たちが、インターネットに直接接続しようなんていう時代ですから、素人さんに質問されたとき、どこから説明していいものなのか当惑してしまいます。オラクルの500ドルパソコン、バンダイのPIPIN、iBOX、セガサターン等々、誰でも使えるインターネット端末なんて記事ばかりですからね。実際私も、ある程度のことは分かるものの、すべて分かってやっていると言うよりも、ある程度は当てずっぽうでこなしていることの方が多いため、と言うよりは、パソコンを長く使っている者の諦観というか、多少の不都合は辛抱して使うという癖を持っているものですから、完璧に聞きたいという素人さんの質問には参ってしまいます。いろんなアドインツールも、それを十分に使いこなしていない私には当惑するのですが、とうとうインターネット経由の通話ソフトが普及し始めたようです。この通話プロトコルも標準化しそうと言うことなので、プロバイダまでの通話料で国際電話がかけ放題と言うことになってしまうわけです。外国でも電話サービス業社が政府に規制を持ちかけているという話ですが、流れを全面的にくい止めることは出来ないでしょうね。友人の一人が今度ドイツに転勤になると言うことなので、是非インターネットに接続するよう勧めています。まあ、当分の間、インターネット絡みの混乱は続きそうです。

最近のパソコン基礎知識

 このところ私のウダ話ばかりが続いています。少し、最近のパソコンの技術動向について書いてみましょう。まあ、雑誌のつまみ食いとでも考えて下さい。パソコン購入の際の参考にでもして下さい。
 CPU。あれだけ期待されたパワーPCですが、肝心のIBMの及び腰で今一つ精彩がありません。パワーMACのみ孤軍健闘していますが、パワーPC搭載複数OSマシンCHRP機の見通しは暗いので、もはやインテルの市場を奪還することは不可能でしょうね。インテルのCPU戦略はなかなかの者で、互換チップメーカーは完全に振り切られたかと思っていたら、インテルにも落とし穴があったのですね。ペンティアムプロ(第6世代チップ)が、32ビットに最適化されていないWin95のおかげで実力が発揮できないところに、互換チップメーカーたちが第6世代チップアルゴリズムを取り込んで、ペンティアム互換チップを続々投入してきました。インテルは負けじと、マルチメディア機能を搭載したペンティアム(MMXテクノロジー P55C)を発表と、まあ賑やかなものです。166Mzペンティアムで最強なんて言っていたら、あっと言う間に時代遅れと言うことになってしまいますよ。村田さん。とにかく、パソコン世界の流れは速い。自分のマシンのアイデンティティをどこに求めるのかが問われるでしょうね。
 次は、メモリ。16MB搭載が常識となってしまった時代。少ないメモリで泣いているユーザーは、メモリの増設をするしかないわけですが、メモリの価格の行方はどうなるのでしょうね。円安と生産調整でメモリの価格は上がるという人もいますが、メモリの価格は今後ますます下がっていくでしょう。特にEDORAMは下がってくるでしょう。いくらWIN95がメモり喰いとはいえ、パソコンのバブルもそろそろはじけるので、メモりも剰るはずですから。こうなったら、16MBなんて言わず、32MBが標準装備だ。
 外部記憶装置。ハードディスクの値段はもう底値に近い。あと安くなるのは2GB以上の大容量ハードディスク。1GBがこれ以上安くなって1万円台に突入しても、もう関係ないって言う感じですね。
 CD−ROMは、ATAPIでは6倍速さえも2万円時代。4倍速内蔵なら5千円なんて言うバルク(メーカーが製品のために購入していたのが、製造が中止になって市場にあふれ出したもの)が出てきています。ATAPIのCD−ROMはCPUに直結しているので、4倍速以上速くてもCPUに負担をかけすぎてあまり意味がないかも。高速なCD−ROMが欲しいならSCSI接続を考える必要があるかも知れません。でも、もうこれ以上ならDVD(あの東芝とソニーが喧嘩してやっと決まった新しいCD−ROMの高密度版)の登場を待つほうが得策かな。DVDではCD−ROMのソフトはほぼ何でも読めることになっているのですが、CD−Rで書いたものだけは読めないそうなので、CD−Rの持ち主としては少し寂しいですが。(CD−ROMと言えば、とうとうプレイステーションのCD−ROMのコピーが可能になりました。詳しい話はまた来月号でも。またCDエクストラ規格、ドリカムの新作アルバムもそうなのですが、WIN95ではビデオや古いアルバムのサビの部分まで聞けるんですよ。面白いものが出てきたものです。どうもこの規格にのっとった音楽CD−ROMはますます発売されるようですね)
 最近の外部記憶装置の百花繚乱は甚だしいものがありますが、簡単に話を進めます。100MB級から。ZIPを買うのならエプソン製に限ります。安い上、ACアダプター、ユーティリティが優秀。120MBのフロッピードライブ、従来の1.44MBが読めて、スピードが速いという話ですが、まだ現物にお目にかかったことがありません。私としては興味深いものですが、時期を逃したらお終いという感じ。600MB級。MO、HS、PDの争いと言うことになるのですが、私のお薦めは230MB互換の640MBのMOドライブ。TOWTOPでは、富士通の内蔵640MBのMOが早くも7万円くらいで出されていたということもありますが、なんといっても日本国内で出回った128MBのMOディスクを考えれば、MOがダントツとなるでしょう。もう、私は腰が動き始めています。
 プリンタ。カラーインクジェットプリンタとレーザープリンタ。どちらも値段がこなれてきたので、お好きにどうぞっていう感じ。性能差はあまり感じたことはありませんが、メジャーなものにしとくべきでしょう。
 イメージスキャナ。カラー時代はプリンタだけではありません。フルカラーのフラットタイプのカラーイメージスキャナの金額は5万円近くまで下がってきています。少し小遣いを持っていて、絵に興味のある人はぜひ購入すべきでしょうが、私もそろそろ欲しくなっています。
 その他。DTM、音楽関係のハードとソフトも安くなってきました。甥っ子がギター少年だったのですが、とうとうDTMをやりたいからパソコンが欲しいと言ってきました。MACユーザーにさせてはならないので、2年前の486/33マシンをやって、DOS/Vユーザーにたらし込みましたが、音楽関係も進んできていますね。
 いやーぁ、こうやって考えてみると、パソコンと付き合うということは本当に難しいものですね。


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