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1997年 5月
連載121回
Pentiun II がやってくる
新PCIチップは付いてくるか
改造記事はトレンディー
パソコン時代の冒険物語
待望のゴールデンウィークがやってきます。野山もすっかり新緑に包まれ、最高にすがすがしい季節です。こんな時は思い切って派手なTシャツを着込み、携帯パソコンを持って勢いよくドライブに出かけましょう。もっとも携帯パソコンなんて言ってるところが少々変態っぽいですが...、まあ「PC通信」も「パソコン情報誌」ですからいいでしょう。
ホームパソコンって何だろう
先月はモパイルパソコンについて書きましたが、今月は久しぶりにデスクトップパソコンの近況について書いてみましょう。最近デスクトップパソコンで話題を集めているのは、ホームパソコンという概念と企業内の端末パソコンと言うことになるでしょう。仕事にも使えると言うことで普及したパソコンですが、趣味の人は別にして、家庭内で一定の位置を占めるパソコンというものにはなかなかお目にかかれません。この分野こそがパソコンの次なる市場なわけなのでしょうが、今だこれだという商品が登場していません。昨年末、日本IBMと東芝から「黒いパソコン」(MACにもありましたね)が登場し、床の間においてもおかしくないホームパソコンというふれこみでしたが、どうやら売れ行きは芳しくなかったようです。NECからは28インチの横長テレビとリモコンキーボード、AV機能をつけたホームパソコン「セレブ」が発売されました。これはアメリカでgateway2000が大型テレビをセットしたパソコンを発売していたことに端を発しているのでしょうが(悪口を言う人は、昔の六本木パソコンPCー6601の再来とも言っていますが)、NECの凄いところは、gateway2000が大型テレビであってもVGAモードしかサポートしていなかったのに対し、大型テレビにふさわしい高解像度モードまでサポートしていることです。パソコン本体の性能も拡張度は低いものの、ハイエンドのクラスです。うーんと唸らせるものの、値段も超ハイエンドで、売れるのでしょうかね。どうも、メーカーはまだまだ家庭内パソコンという概念がつかみ切れていないように思います。インターネットテレビというのも発売されましたが、やっぱり売れ行きは芳しくないようです。
では、家庭用パソコンという概念はどんなものなのでしょう。現在家庭の中にあるテレビに代えて、茶の間にでんと構えさすものを安易に家庭用パソコンというイメージにしているのではないでしょうか。でも、よく考えてみたら今では「茶の間にでんと構えるテレビ」という概念そのものが崩壊してきています。今ではテレビなんてものは一家に一台どころか部屋に一台の時代、テレビを中心にした茶の間のイメージは昭和50年代に崩壊してしまったのではないかと思います。こうしたアナクロなイメージに乗ったコンセプトで時代の最先端を行くべき家庭用パソコンが商品開発されていることに驚きを感じてしまうのは私だけでしょうか。
ビジネスパソコンの戦い
この点、企業内パソコンはある意味で商品コンセプトが明らかです。一課に一台から一人に一台、生産性の向上というコンセプトは分かりやすいと言えます。ところがここに来て、NCとnetPCの対立点が次のコンセプトの対立を表しています。つまり、サーバとなる大型機の下に限られた機能の端末機をネットワークで接続するというのがオラクルなどが提唱するNCで、端末機には最低限ハードディスクと単独で使用できるだけの能力を持たせようと言うのがマイクロソフトのnetPCです。両者の考え方の相違点は、新規に端末機を入れたときのハードだけでない人的なものを含めた維持管理費に対する考え方にあって、一概にどちらの方がコストが安いとは言えないようです。ただ、マイクロソフトのnetPCは、オラクルのNCがもしも成功してひとつの市場を作られたらいけないと心配したマイクロソフトが、全市場に張り出すためのひとつの布陣であることは間違いありません。私自身の考え方は、オラクルのNCはサーバ・クライアントの世界への先祖帰りのような気がしてかないません。たしかにインターネットによるネットワーク普及によって、アプリケーション(ここにJAVAが登場するのだ)さえネットワークから取り込んでこようという動きもありますが、現在のネットワークのインフラを考えれば現実的とは言えないでしょう。自分の扱うマシンには最低限のアプリケーションが入っていて欲しいと私は思ってしまいます。
やっぱりパソコンはネットワーク
このような企業端末ハードの話題が賑やかになっているということは、そうしたハードの需要が確実に生まれつつあることを物語っています。ハイエンドなハードスペックのパソコンが生まれている一方で、こうした機能を絞ったPCの需要が生まれ始めているというのは、パソコンの性能が一定の段階にまで達してきているという証拠でもあるわけです(486/66以上のマシンなら、WIN95は充分動きますよ)。つまり、これから先の企業においてのパソコンとは、個々のパソコンの性能アップよりもネットワークに繋がる一定の性能を持った端末パソコンが求められてきているということになるのでしょうか。
ここで翻ってホームパソコンを考え直すと、ホームパソコンもキーワードはネットワークのような気がしてきます。一家に一台の大型テレビと共に各部屋にそこそこの小型テレビ、この現状が今後のホームパソコンのあり方なのかもしれません。つまり、台所には台所で使うソフトが入っている簡易パソコンがあり、子供部屋には子供たちが扱うソフトが入っているパソコンがあり、それらはひとつのサーバマシン(このマシンがマルチメディアパソコンになるのかな、あるいは裏に隠れるパソコンになるのかな)と連結していて、銀行オンライン・ホームバイキング・家庭セキュリティ・電話なども扱っているといったものになるのではないでしょうか。このとき、端末となっているハードは今のパソコンとは少し形が違ってきているかもしれませんが、AV機能を取り込んでいるから家庭用などといった馬鹿げたコンセプトからは解放されたものとなっているでしょう。私が今モービル用に使っているLibrettoなんていうのも、家庭端末としては有効なのかもしれませんよ。もっとも端末ハードの金額がディスプレイ系+Pentium100+8MBRAM+200MBHDD+ネットワークカードで最低でも10万円を切る必要があるでしょうが、もうこうしたパソコンは目の前に来ているように思えます。ちょっとしたパワーユーザーたちの家には数台のパソコンとネットワークが組まれている時代ですから。
パソコン改造
自作記事が大流行
最近元気があるパソコン雑誌の内容は、どうもハード改造記事が多いと思いませんか。ゲーセン信ちゃんご推薦の「Hollow PC」は、初心者用パソコン雑誌と銘打ちながら、中身は改造記事がバンバン載っていて、「よいこの皆さんはまねしないように」といった断り書きがついているといった案配です(私は悪い子ですからこの雑誌の記事のまねをしてウルトラマンの改造を試したのですが)。こうした特集はどうもパソコンマニアだけでなく、マニア予備軍にも受けているようで、読書コーナーには「私には出来ませんが改造記事は楽しい」といった便りが届いています。うん、これはかの昔「ザ・ベーシック」がプロテクト解析記事でにぎわった当時を彷彿させます。私などもあの解析記事の内容などは分からないまま、それでも熱中して読んだものでした。分からないままでも読み続けていれば少しずつ意味が分かってくるものだと思ったものです。当時はソフトであるプロテクト解析、現在はハード解析、どうも新しいパソコンマニアや予備軍が生まれ始めているのではないでしょうか。
ハード改造の要求というのは、よりマニアックな人たちの間ではとうの昔からあったわけですが、日本においてはサイリックスの互換386が第一の契機となったように思います。98で固められていたパソコン状況の中では、ハードを改造することは禁断の世界だったわけですが、互換チップを載せ代えるだけでハード性能が向上すると聞き、私も試してみたものでした。そうこうしているうちに、アイオーやメルコがスッピンのCPUではなく、それぞれの機種用にアレンジしたり、さらにクロックアップを試みたりした製品を売り始め、CPUのアップグレードというハード改造はマニアたちのものから一般的なものに広がって、いわゆるパソコン社会の中では一般常識として認知されるようになってきました。
頑張れ、ハード改造派
そうしたハード改造黎明期の中で登場するのがDOS/Vです。DOS/Vの登場の当時、ハードはプラモデルのように組み立てられるという概念が理解できず、私も戸惑ったものです。98しか知らなかった私にとって、部分的な改造については了解していても、マザーボードまでが購入できて丸ごと違うコンピューターに変身させることが出来るなんていうことは想像もつきませんでした。当時、私がアメリカからGatway2000の486/33マシンを購入しようとしたとき、仲間たちの「届いても壊れたらどうするのか」というのに対して、「同じ性能の98よりずっと安いのだからもう一台買えばいい」と答えたものでしたが、届いたマシンのハードの中身と説明書(当然英語)を見ていたら、パーツさえ取り替えればマシン全体を取り替える必要がないことを思い知らされたものでした。私が自作機の話を書いたのもこの頃のことだったでしょう。あれから5年ほど経ち、DOS/Vマシンが標準化されてくるに従い、ハードの改造・自作は当たり前という感覚がだんだん生まれ始め、とうとうマニアたちはより過激に基盤についているハンダを飛ばしての改造まで及んでしまったということなのでしょうか。
だって最近の若い人なんて最初のパソコンから自作機ですというのが出てきているのですよ。なまじ昔の98なんて知らない方が大胆になれるというか、変な常識がなくていいのかもしれません。パソコン雑誌に載る改造記事をそのまま実行するほどの度胸はないものの、自分と同じパソコンも改造すればもっと凄いものになるという満足感を抱いているのでしょう。ヒーローを夢見た子供の頃のように、改造・自作記事はパソコン小僧たちの冒険物語なのかもしれません。そうしたマニア予備軍たちの熱い期待に応えて、ハードの性能をぎりぎりまでチューンナップするマニア(廃人)たちの奮闘、頑張って貰いたいものです。
Pentium II がやってくる
PemtiumUの発売が近くなってきました。このPemtiumUはMMX機能を持ったPemtium Proというだけのものではなく、新しいチップと考えた方が良さそうです。従来マザーボード上のソケットに挿入されることになっていたCPUですが、PemtiumUはROMカートリッジのような形で取り付けられます。このカートリッジには、PemtiumUと2次キャッシュを特殊な仕様で繋いで載せています。Pemtium Proでは2次キャッシュがCPUに同封されてメモリアクセスの高速化を図っていましたが、PemtiumUでは価格を抑えるため従来Pemtiumと同じように外に出された。外部キャッシュに追い出されたことによるメモリアクセスの速度低下をカートリッジ方式により解消しようとしたようです。こうした仕様を取ったことで、PemtiumUは従来のPemtium Pro用のマザーボードには載せられません。このPemtiumUの投入により、Pemtium Proは初期Pemtium60MHZと同様にいずれ消えていく運命をたどるのではないかと思います。
問題は、PemtiumUに対応するPCIチップの投入がいつかということになります。現在のパソコンの性能は、単にCPUの性能がよいというだけではなく、PCIチップの性能が大きく関係していて、インテルと次々と新しいPCIチップを出してきていますが、PemtiumUに最適というものは出されていません。初期のPemtiumU対応マザーボードでは440FXが搭載されているでしょうが、噂によると440LXという新しいチップセットがじきに投入されるということです。最近のPCIチップの特徴は、高速メモリへの対応、Ultra DMA/33というIDEハードディスク高速データ転送対応、USB対応など、新技術がどんどんつぎ込まれています(ということは、新技術を自分のマシンで使いたいと思えば新しいチップが載っているマザーボードに交換しなくてはならないということになってしまうわけです)。440LXでは、これらに加えてAGPという新しいグラフィックスカードをコントロールする機能が付加されています。ISA、VL、PCIと進んできたグラフィックスカードの行方は新段階を迎えようとしています。
うーん、ここまでスケジュールは確定しているとはいえ、現実の製品発売は半年ほど遅れたサイクルで登場してくるだろうから、PemtiumUマシンはいつ買ったらいいのだろう。ここが思案のしどころなのです。「辛抱、辛抱」と言い続けてきたこの1年でしたが、現実に中途半端な仕様ながらPemtiumUが搭載されたマシンが出てきたら腰がふらつく自分を想像して苦笑いをしてしまいます。私が今作ろうと思っているパソコン仕様は下記のようなものです。
CPU
PemtiumU233で満足しよう
PCIチップ
440LXまでなんとか待とう
HDD
Ultra DMA/33対応IDEをスロットタイプで交換可能にする。
メモリ
最低64MB
SCSI
SCSI2で満足しよう
CD−ROM
できればSDX(HDDをキャッシュに使う仕様)対応のもの
CD−RW
これを内蔵しようと考えている
グラフィックカード
早くAGP対応のボードが出るといいな
OS
NTを入れようかな
問題はいつにするかだな。こうご期待。
return
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