OMATSURIKOZO's talk salon


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1997年 6月
連載122回

Pentiun II マシンをDELLに
発売当日に注文しちゃった

最近はっているのだ
無知強権馬鹿者たちに

 ゴールデンウィークは楽しみましたか。今年の休日配分は最悪で、私の会社も暦通りと言うことになり、ゴールデンウィークといった浮かれたものにはなりませんでした。それでも新緑の美しい季節、女房と少しドライブを楽しみました。
 ゴールデンウィークがあけたと同時にインテルPentiumUの正式発表、各メーカーのPentiumU搭載機の発表と、パソコン好きのものにとっては急に慌ただしくなってきました。さてさて..。

今更の正式発表とバグ騒動


 ということで、先月号に引き続いてPentiumUと搭載マシンについて書きましょう。いやはや、スピードの速い時代になったものです。CPUの速度が速くなったという以上に、CPUの発表と同時に搭載マシンの一斉発売などというのは全く凄いものです。3月位から秋葉原ではインテルの正式発表前にゲリラ的に発売されていたPentiumUですから、パワーユーザーにとっては「まだ正式発表してなかったの?何を今更」と言ったところなのでしょうが、インテルが正式発表する直前にPentium90のバグ騒ぎと同じ騒ぎが起こりました。前回のバグについても一般的にはほとんど関係ないバグであったにもかかわらず(私のPentium90マシンは現在でもそのままバグありを使っていますが、問題が出るほどの使い方はしたことがないので関係ないのだ)、インテルが隠そうとしたためによけいに火がついてしまったという経過があるだけに、今回のバグについてはインテルは正式にコメントを出してきました。
 このバグもどうもほんの些細なものらしく、80ビットの浮動小数点数値を整数に置き代えようとするとバグが発生するというものらしく、インテルはこのバグ報告を受けてバグ取りをするとしたものの、現在出荷中にもののリコールは行わない旨を発表した。実際、このような小さなバグはこれだけの高性能なCPUではない方がおかしいし、これによって障害が起こるとは思えない。Pentium90の時にも書いたように、8ビットZ80CPUのバグ取りをして発売したNECは当時のソード社長(現在プロサイド社長)に「業界でしっかり認識されているバグはバクとは考えず、あるがままにコンパチブルとなっていた方がよいのだ」と言われたそうであるし、ある種のバグが新技術をもたらしたこともあるわけで、些細なバグをあげつらうことはないと私は考えています。もっともこんな形でインテルに無視されるのなら言わないという「バグ情報不提言」になったら大変問題でしょうが、その種の人はやっぱり提言してくれますよ、ね。

MPU第6世代戦争勃発


 さて、このPentiumUの発表は、今後のMPU戦争(PentiumUに対抗して、米AMD社の「AMD-K6」に加え米Cyrix社「M2」の第6世代戦争)の火蓋を切ったとも言えるでしょう。Slot1(PentiumU用のソケット)かSocket7(現行Pentium用ソケット)の戦いとも言えますが、インテルが今度のPentiumUにおいて他社を出し抜くために仕掛けたSlot1というCPUソケットには、様々な特許で互換を許さない仕掛けをかけていますが、それに対抗する2社は従来ソケットSocket7でその性能を発揮しなくてはならなくなったわけです。短期間においては、追随2社の戦略は何とかやっていくことができるでしょうが、インテルの仕掛けはますます巧妙になりつつあります。今回のPentiumUの発表では、PentiumUの本当の技術的な性能を発揮するためのチップセットはお預けとなってしまいました。PentiumUが本当の性能を発揮するためには、先月号にも書いたとおり、新しいメモリチップ、グラフィック関係等の制御ができるチップセットの発表が必要なわけですが、他社の追撃に対してとりあえずCPUだけでもといったところかもしれません。追随2社は、Socket7でもこれらができる新しいチップセットの発表を行いましたが、今まではチップセットはそのままインテルのものを用いながらCPUだけの開発に勤しんでおけばよかったのですが、これからはCPUの開発と同時にチップセットまで設計しなくてはならなくなるという運命を担わされたわけで、インテルのロードマップ(このロードマップは本当に実現可能かどうかを疑問視させるほど急激なもので、これが実現したとしたら今回発表のPentiumUなどはあっという間に旧CPUということになってしまう)にどのように追随できるかは疑問もあるわけですが、とりあえず弱者に肩入れをする私としては、頑張れAMD、頑張れCyrix、と声援を送っておこう。

ミーハーな私はここで当然・・・


 ということで賑やかなバグ騒動で始まったPentiumUの発表は、私に辛抱の紐をちぎってしまったようです。PentiumUマシンはPentiumUの正式発表の翌日から始まり、発売日当日に「Hellow!PC」でPentiumUマシンの紹介記事を読んだ私はすぐさまDELLのホームページにアクセスして注文してしまいました。まあ、注文も殺到していることでしょうから、このマシンが私のところに届くのはいつになることでしょうか。3日ほどしてからやっと、注文を受けたというメッセージが送られてきました。4〜6週間かかるとのこと、おーい俺は待ってるぜ。

パソコンオタクが会社で受ける待遇


 さて、我が家のパソコン状況は「とにかく最先端」というコンセプトで立ち向かっているわけですが、会社のパソコンといえば最先端が486/66、486/33、果ては386/16マシンで、WIN95なんてものは関係ないと言った世界だったのですが、パソコンが使えそうな新人が入社してきたものですからWIN95の導入を図りました。経理を担当している上司に新しいパソコンを導入したい旨を伝えると「どうしてまた新しいパソコンが必要なのか、まだ購入してから3年ほどだから新しいだろう」と言われてしまいました。こんなにパソコンではイケイケおじさんのように見えて、私は会社ではパソコンの導入をためらってきました。本当にパソコンを生かすための人材が会社にいないために最先端の機械を導入しても有効に活用されないだろうし、へたに導入しても私がパソコンオタクであるためという色眼鏡で見られることを懸念していたからです。それでもワープロやCADではそれなりに有効活用してきたし、導入金額は全てディスプレィ込み20万円以下で調達していたのですが、パソコンが分からない人たちにはパソコン1台はパソコン1台でしかなかったようで、「何でまた新しいパソコンまで必要なの?」ということになったわけです。
 今までもパソコンの必要性と将来性についてはくどいほどに語ってきていたわけですが、やっぱり自分が使わない人には頭の中でしか理解していないものだから「リアル性」が実感できないようです。「3年前かもしれないけれど、あの当時では最先端の機械を購入したのでは」と言い出すものだから、「20万円以下で最先端のマシンなんか買えませんよ、ただその時代の最もコストパフォーマンスに優れたものを購入しただけですよ」と答えました。今度購入しようと言ったのは、P/166、2GHDD、17インチモニターのコンパックのDESKPROを全部で12万円ですよ。普通で買えるものではないと私は思っているのですが、分からない人には「無駄な買い物」としか映らないわけで、こんなことでは私が精力をつぎ込んでやっている仕事全体が馬鹿馬鹿しくなったと言っても、賢明な「PC通信」の読者なら分かってくれるでしょうね。

官憲の横暴は現代においても


 腹が立ちついでというか、今月はいささか気分が重くなることが多かったのです。そのひとつに、上記の会社での話があったわけですが、もうひとつ警察権力の横暴についてです。インターネットが流行りだしたきっかけは「大人のインターネット」なるスケベサイトがあるわけですが、これらを公開しているサイトだけでなく、リンクを張っていると言うだけで警察が摘発を始めてきています。これらの管理者を逮捕しても現在の法律では「起訴」まで持ち込むことはできませんが、「見せしめ」的に摘発しているわけです。子供たちにも「健全なインターネットを」という考えも分かりますが、現在の警察が行おうとしている摘発は明らかに行き過ぎで、この作戦に乗って大きく取り上げているマスコミは自分の首を絞めていると言うことに気が付かないのでしょうかね。だいたい、「猥褻物」という概念そのものが時代によって様変わりもしているし、このように国境を越えてしまったメディアに対して、一国の警察が「敵の首を取ったように」騒ぎ立てるという行為そのものが、自国の国民に対する「恫喝」のように思えてなりません。それを商売として暴利をむさぼっていたり、暴力団に与して闇の資金を作ったりしているものたちを捕まえていると言うより、どうも「バーチャル世界の可能性」を探求しているものたちを摘発しているのではと考えるのは私の被害妄想でしょうか。国境を越えて広がってしまう世界というインターネットの可能性を、自分たちの了解する「健全で建設的」以外はつぶしてしまえと言う「お上」の思想は、自分たちの範疇以外に広がるものは全部つぶして、自分たちの管理できる範囲内に人々を閉じこめてしまおうという意識が見え隠れしているとは思えませんか。「俗」の力は、常に「お上」の建前を吹っ飛ばして活力をパワーアップしてきたのです。良識派は、「お上」につけ込まれないように自主規制を持ち出しますが(マイクロソフトのIEでは不健全サイトにはアクセスできない仕掛けもしていますが)、私は「頑張れ、スケベサイト」と言おう。

56kbpsモデムの行方はどうなる


 最後の話題は、この5月から発売され始めた56kbpsモデムです。従来電話アナログ回線の元では28kbpsが速度的には限界といわれてきたのに、なぜここにきて56kbpsモデムというものが登場したのでしょう。従来のアナログ回線用モデムは、パソコンから送り出されたデジタル信号をモデムの内部でアナログ信号に変換し、相手のモデムに送信している。アナログ信号を受信した側は再びモデム内部でデジタル信号に復元し、パソコン(あるいはホストコンピュータ)に渡している。つまり、少なくとも2回以上はアナログ信号とデジタル信号の相互に変換していることになります。ところが、この変換時にノイズが発生し、信号にロスが出てしまうため、アナログ回線の通信速度には限界があったわけです。これに対し、56kbpsモデムはノイズが発生するアナログ/デジタル変換の回数を減らすことにより、ISDN回線に匹敵する速度を実現しています。ただし、その速度が実現できるのはダウンストリーム(下り方向)のみで、アップストリーム(上り方向)についてはV.34相当の33.6kbpsが最大値となっています。つまり、通信の双方が56kbpsとなっているわけではなく、WWWのページのブラウズを中心とした環境ではダウンストリームの速度が重要であり、現在のインターネット環境を考慮した通信方法と言うことができるでしょう。実際、これを試した人が言うにはISDNには勝てないけれど、確かに28kbpsの通信よりずっと快適だと言うことです。

今はまだ少し辛抱の子かもしれない


 いいことづくめのように思えるこの規格もまだ問題があるのです。あっという間に生まれたこの規格には、現在2つの規格が並列されたまま発売されたわけで、まだどちらが主流を占めるのかが分からないと言った次第なのです。2つの規格とは、様々な動きがあったあげく結局、x2方式とK56flex方式という規格の製品が市場に流通することになりました。現在はこの2つの規格で混乱しています。それは「ユーザー無視」ではないかと怒る前に、このような規格の乱立こそが新しい規格を生み出した原動力だったことを思い浮かべて下さい。いずれどちらかが勝利するでしょうし、その勝利の一端にあなたが荷担するかもしれません。ここでは、2つの規格はどのような規格なのか、またどちらに与した方が勝利側に付けるかもしれない、保険はどのようにかけておいたらいいのか、勝利者が決まってからおもむろに購入した方がいいのかと言うことについて書いておきましょう。
 結論から言えば、勝利側(パソコン通信主催者が採用する、インターネットプロバイダが採用する)が決まってからおもむろに購入すべきで、慌てて56kbpsモデムを購入すべきではないと言うことです。ただ、あなたのモデムがまだ14kbpsモデムのままで、ここでどうしてもグレードアップしたいというのなら、自分が加入しているところのプロバイダやパソコン通信先の対応を見て購入すべきです。ただ、x2/56kbpsはTexas Instruments製DSP(DSPチップというのは今トレンディーで、このチップひとつで音源やモデム等々の周辺回路が実現できているのですよ)によって実現されているため、仮に違うプロトコルが標準化されてもDSPソフトウェアの書換えのみで対応できるというメリットも持ち合せているが、K56flex規格のハードウェアは状態によってはアップグレードできないという事態も考えられるということだけを知っておいてもらいたい。いずれにしても、この件に関しては数ヶ月の勝負だと思うので、慌てないで静観することが肝要だと思います。

1万円を切った28.8kbpsモデムは悪くない


 いま28.8kbpsのモデムはたたき売り状態で、PCカードでも1万円以下、外付けなら7千円程度で売られています。私もLibretto 50に28.8kbpsモデムを衝動買いしてしまいましたが、満足しています。1世代前の機器を安く購入するというのもひとつの手段と思いますよ。

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