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1997年 11月
連載127回

よくやった NEC!
NXで世界コンパチ路線だ

デジタルカメラはメガピクセル
デジ・アナ共有時代になる
 秋風もめっきり冷たくなってきた今日この頃です。私が子供の頃には11月といえば木枯らしが身に滲みたものでしたが、この頃はCO2が増えてきたためか、妙に暖かくなってきたように思います。鼻水を垂らした子供なんて見かけることがなくなりましたが、これを豊かというのでしょうか。どこか違和感を感じる今日この頃です。でも寒い冬が嫌いな私には嬉しいのですが。

しぶとく生き残りをかけたNEC


 さて、先月はパソコンネタをほとんど飛ばしましたが、今月は先月サワリだけで止めていたNECの98変更の話とアップルの路線変更について、もう少し話すことから始めましょう。
 9月の末にNECは98路線変更を声明しました。実質ATコンパチ路線への変更です。この路線変更はパソコン通の間で「やっぱり」と「とうとう」の言葉で迎えられたわけですが、ではなぜこの時期にということに対しては明確な声明が出ていません。私の嫌いな高山取締役さんは「今度の98NXはATコンパチ機ではありません。マイクロソフトのPC97と98規格に則った新しい規格の98です」と開き直っています。彼に言わせれば「死んでもATコンパチ機とは言いたくなかった」ということです。9月の末に出された1面の広告記事には98シリーズの変更については何らコメントされていません。多少パソコンをかじったことがある人にこの新聞広告を見せても、「また新しい機種が出たのだろう」としか感じなかったそうです。で、「この機種では従来の98シリーズのソフトは動かないんだよ」と教えても、「そんなものほとんどの人が使ってないでしょう」と冷たく言われてしまいました。どうも、こうしたNECの路線変更を感慨深く眺めているのは、98とともにパソコン黎明期を生き、98から早く決別した者達だけなのかもしれません。うーん、NECの粘り腰の凄さを再び見せつけられました。とはいえ、この路線変更はパソコン業界に大きな波紋を呼び起こすことでしょうね。
 日本IBMからは「とうとう恐れていた事態になった」という声明が出ていました。しかし、本当に脅威を感じているのは富士通でしょうね。このメーカーの製品でなければだめだという熱狂的なユーザーを持っていない大手メーカーの1番手は富士通でしょう。シェア第2位を維持しているとはいえ、NECが独自路線を貫いていた間隙を縫っての第2位、シェアの低下が懸念されます。

どうして今世界標準なのか


 さて、ではなぜNECは路線変更に踏み切ったのでしょうか。やはりOSの開発が難しくなってきたからでしょうね。エプソンが早々と98からATに乗り換えた理由というのが、Windowsの移植問題にあって、その開発と経費が売り上げに見合わなくなったことがあります。NECとしてはWindows98の98シリーズへの移植はどうにかやり遂げることでしょうが、Windows95にしても莫大なソフト開発の費用だけではこと足らず、ハード面でもずいぶん手直しをしてきました。最近の98ハードでは昔のDOSソフトはほとんど走らなくなってきたことをご存じですか。つまり、OSであるWindows95の方に優先順位があったわけで、昔の資産がどうのこうのといったのは「もう昔のこと」になってしまっていたのです。OSがハードとますます密着した形で開発されてくる以上、ハードの独自路線はまずいのです(この話は昔よく書いたものでしたが、NECは表面上の整合性の裏でハードをどんどんATに近づけてきたものでしたから、その強引な手法に私は舌を巻いていたのです)そこで、PC98というマイクロソフトの規格名を利用して、「今だ!この時期を逃してはない」と踏み切ったのでしょうね。
 販売店は困るでしょうね。店頭にある98NX商品を98であると思って購入しようとする人に、いちいち「この機種では98DOSのソフトは決して動きません」と説明しなくてはならないし、「どうしてだ」と詰問する客にはもう少し詳しく説明する必要もあるだろうし、しばらく混乱はするでしょうが、時代の趨勢を判断して路線変更をやり遂げたNECの底力はやっぱり凄いものです。
 でも、いくらATコンパチではないということを力説するためとはいえ、16ビットバスであるISAバスをひとつも付けないなんて、行き過ぎじゃないの。確かに16ビットバスがなくなるとP&Pはやりやすくなりますが、ちょっとしたジャンク物ってISAが多いし、そうした物にチャレンジできるって言うのがPCワールドの楽しさなんですよ、NECさん。

世界標準を分からない男 ジョブス


 こうしたNECの解放路線変更の対極にアップルの鎖国戦略があります。ジョブスの最大の欠点は、ハードに入れ込みすぎる点にあります。彼はアップルの低迷を互換機が自分の市場を犯しているからと判断したようで、先月号でも書いたように、互換機メーカーに対するOSの供給を停止することにしました。世界パソコン市場で10%を切っているMAC市場の中、互換機メーカーを叩き出せば元のシェアを確保できると考えているようですが、これって時代錯誤も甚だしいと思いませんか。数が数を呼んでいく世界というのがパソコンの世界で、少数に落ち込んでしまえばあっという間に転落してしまうのですよ。いくらMAC−OSが優れているとか、MACユーザーはどうのこうのといっても、選択肢を縮小してしまえばやっぱり転落してしまいますよ。現状においてまだまだMACが優位であるという市場があるとしても、今のパソコンの世界においてMACでしかできないことってほとんどありません。ハイパーテキストを登場させた当時のMACの先端性は衰えてきているのです。この辺の現状認識がジョブスには掴めていないのでしょうか。
 PowerPCを基にしたCHRPマシンの上で、MAC−OSばかりか複数のOSを走らせようと試みられた仕様はこのジョブスの路線変更で潰えてしまいました。インテルとマイクロソフトが強いと言うことよりも、このように事態を見るにつけ、対立企業の路線間違いが彼らをますます巨人にしてしまうのだと痛感してしまいました。

マイクロソフトはガキ集団なのだ


 またもやマイクロソフトに独占禁止法が検討されているとのことです。今回は業界内部からの告発ではなくて、独占禁止法の専門家からの告発だそうです。彼は「今まで何度かマイクロソフトが告発されたが、これは躍進を続ける企業に対する業界のひがみと考えていた。しかし、パソコン以外の領域に次々戦略をのばし始めているマイクロソフトを検証してみるとこれ以上の大企業化は危険だ」と言う内容をコメントしていました。確かにマイクロソフトの動向には危険な香りがしています。パソコン世界というのは、他の産業が10年かかって到達した歴史を10年で作り上げるほど急激な技術進歩の上に構築されているため、法規制などは追いつかない面があります。多くの人たちはこの現象を単純に技術進歩が急激すぎることから生まれたものであるということまでは認識していても、ビル・ゲイツの野心を従来の成功者の野心と同一視している点に間違いがあります。従来の成功者達も必ず時代のイノベーションを核としながら登場するわけですが、彼らのほとんどはその後イノベーションより、企業維持・組織維持に経営戦略を移動してしまうのです。ところが少しませたガキであったゲイツは、自分のパソコン技術をうまく商売に乗せ、その後も新技術をうまく取り込んできたわけです。その戦略にはなかなか巧妙なところもあるし、運もあったわけですが、彼の本質はガキのままで「いつでもNo.1でいたい」というものではないかと私は思うのです。ですから、MSネットワーク戦略がインターネットに負けると分かった瞬間IEを無料でばらまいてでもインターネット上でNo.1になろうとしたのではないでしょうか。彼のがむしゃらなガキ的な要求こそがマイクロソフトの原動力であり、パワーであるわけです。夢見る少年ではなく、現実的にNo.1であり続けることを望んでいるガキですから、実にしたたかとも言えるわけです。学生達の同好会のままに大企業になった世界初の企業なのかもしれません。こうした本質を見誤って法規制に出かけても、なかなか網にはかかりにくいだろうな。

メガピクセルが普及型に入った



 デジタルカメラの話題は尽きませんが、ここに来て大きな変換を迎えました。ひとつは100万画素数の時代、ひとつはデジタル・アナログのデータ変換です。
 現在普及型のデジタルカメラの解像度は一般的に35万画素数ですが(その中にあってカラリオは60万画素数ですから売れているんですね)、とうとう普及型の世界に100万画素数が登場しました。コダックのDC210ZOOMは8万円の定価です。従来こうした製品は数10万円という物でしたが、その価格設定にはただただ驚かされました。では、その他の機能を削っているかと言えば、デジタルカメラの必須アイテムであるモニター、カード共にサポートされています。特に表したいのは、ファイル形式をJPEGと同時に、これからのデジタル写真の標準フォーマットになるであろうFlashPixを取り入れていることです。コダックからこうした製品が出た以上、ライバルである富士フィルム社からも出てきそうですね。オリンパスからは1眼レフタイプで10万円で85万画素数、13万円で140万画素数の製品も出ました。数万円の低価格製品とは異なった新しい流れが生まれそうですね。

デジタルデータで富士カラーフィルム


 デジタルカメラ関係ではもうひとつの動き、富士フィルムからFDIサービスというのが生まれました。昨年私がデジタルカメラを購入したとき、女房がこの出力はどうするのかと訊ね、カラープリンターで印刷するというと「何だ」という顔をしたと書きました。女性達の多くは銀塩写真のような出力でないと満足してくれないのです。これをそれらしく出力する方法にビデオプリンター(昇華型プリンター)があったのですが、性能と価格と手間を考えるといまいちの物でした。ところがとうとう富士フィルムはデジタルデータとアナログデータの相互利用の道を、FDIサービスというインフラ構築で提案してきました。カラープリンターやスキャナがなくても、アナログからデジタルに、デジタルからアナログへとデータをコンバータしてくれるだけでなく、デジタルカメラのデータをフジカラープリントしてくれるのです。富士のDSシリーズではスマートメディアそのものを持ち込めばいいし、FlashPixフォーマットのFDDやZIPで持ち込むことも出来るそうです。このFlashPixへの変換ツールは富士フィルムのホームページからダウンロードできるそうです。フォトCDがなかなか浸透しなかったように、街の写真ショップではなかなかこうした動きには連動しにくい点もあるでしょうが、時代は確実にデジタル・アナログが融合する時代へと動いているようです。私も自分が撮っているデジタル写真をカラープリントしてみようと考えています。

AGPグラフィックボード登場


 6月に最先端のマシンとして購入したデルのDimensionH266マシンはあっという間に旧機種となってしまいました。私はそのことも十分承知で購入したわけですが、でも旧機種になるのは面白くないですね。今度のH300マシンではPCIチップが440LXが搭載されていて、高速な3DグラフィックスをサポートするというAGPカードが入っています。現在のH300と私のH266についてはそんなに性能差があるわけではないのですが、PCIチップセットの違いは将来の拡張に絡んできます。私が初めてATコンパチ機を購入した時代にはグラフィックカードはアクセラレータの端緒で、まだISAバスに載っていました。それがVLマザー、PCIマザーと移り変わり、とうとうAGPマザーの時代に入ったわけです。440LXというチップセットはインテルがPentiumUに開発した物ですから、当然従来のソケット7のボードには対応しません。そこで、ソケット7(Pentium用)にしか対応していない互換チップではAGPはサポートされないと言うことになるのですが、そこはそれATコンパチの世界のこと、ソケット7でAGP対応というチップセットとマザーボードも登場しました。VIAのApolloVP3で、これでAMDやサイリックスなど互換CPUも当分頑張れそうです。では、AGPバスにカードを差せばグラフィック速度が劇的に速くなるのかと言えば、そうとばかりはいえないところが難しいところなんです。確かにデータ転送速度がPCIの2〜4倍速くなるのですが、これが現在のWindows画面表示速度にはそのまま影響しないのです。AGPの特徴は、メインメモリをビデオカードのメモリと同様の速さでアクセスできる点にあり、3Dのような大きな画像を扱う場合、テンポラリーとして用いられるメインメモリを最大限活用できることわけで、これによって3Dが劇的に高速に表示されるようになる可能性は高いのです。ところが、ビデオチップがこのAGPのデータ転送をうまく制御し、OSがこれをサポートしなければ意味がなく、現在はまだそれを実現できていないのです。ですから、それがうまく動き始めた頃、マザーとAGPボードを購入すればいいのだと、自分に言い聞かせているところです。今は何にも知らなくてAGPボードが付いたパソコンを購入したと、見栄を張っている人を笑ってやるしかありませんね。

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