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1997年 12月
連載128回

まだまだ続くCPU戦争
インテルの独走に追撃可能か

中島みゆき「なみろむ」グー!
TA新時代始まる
  早いもので、もう今年も12月です。毎年毎年同じ書き出しとなってしまいますが、「師走」というのは追い立てられるような気がしますね。
 年末恒例としていた「お祭り小僧の独断と偏見で選ぶパソコンニュース」を止めてからもう数年になります。パソコン世界の加速度はどんどん早くなり、1年という単位では区切れないと思うようになったからですが、それにしてもその動きの速さは「パソコン業界で飯を食ってなくて良かった」と実感するだけのめまぐるしさです。でも、一般の業界でもバブル崩壊以降の流れは厳しいものがあり、株安・円安・証券安のトリプルパンチに悲鳴を上げています。どこかに明るい話題はないものかと呟いてしまう今日この頃です。

中島みゆきのCD−ROM「なみろむ」


 10月中旬に発売された中島みゆきの「なみろむ」というCD−ROMを購入しました。発売されると言うことはインターネットのホームページで見かけていたのですが、売られている場所がなかなか見つからず、やっと購入しました。レコード店には置いてないし、普通のパソコンショップにも置いてないし、大型のショップでもあまり置いてないと言う状態でした。CD−ROMをそこそこ集めている店にしても、辞書関係、素材関係、ゲーム関係、アダルト関係といったものばかりで、特殊なジャンルの作品はあまり扱っていないようです。ビデオCDにしてもそうですが、こうしたジャンルの商品はまだまだマイナーなんでしょうね。
 2枚組のCD−ROMで、なかなか作り込まれた作品です。みゆき作品全ての曲の出だし部分を全て収録しているだけでなく、レコードのジャケット、歌詞集なども全て収録、インタビュー記事までも入れています。まさにCD−ROMでなければ出せない作品です。「なむろむ壱」を入れると、ユーザーの生年月日と名前を聞いてきます。これに答えて進むと、彼女の発表した歌の年代とユーザーの年齢が画面上に表示され、懐古趣味にぴったりです。彼女の代表作でありデビュー作とも言える「時代」は1975年、娘が誕生した歳だったのだと改めて思い出し、自分がどうしていたかなど、いろんな想い出が浮かび上がってきます。彼女のアルバムはかなり購入していますが、前後関係が少々曖昧になっていたり、紛失してしまったりしていました。こうして一覧で見ながら聴きたい曲をクリックするだけで歌が流れ出す、オートプレイモードにしておけば順番に流してくれる、BGMとしてもばっちりです。歌詞の検索モードもあり、パソコンを用いる利点をうまく生かしています。惜しむらくはマルチタスクが利かない点と、曲全部が収録されていないという点です。1台しかないパソコンでは、曲をBGMにして他の作業は出来ません。私の家では1台をこのCD−ROMに当て、他のパソコンで通信などをしています。また、曲全部これだけの容量を収録するためにはDVDにならなければ駄目なんだろうな。早くDVDで再構成して出して貰いたいと思います(まだ私のパソコンにはDVDは入っていませんが)。その時はついでにカラオケモードも欲しいと思う私は少し変でしょうか。娘に見せたところ、「彼女のファンはパソコンを持っていたり、年代が高い人も多いから、こうした試みが出来るんだね」とその作りの出来映えに驚いていました。ファンである私の贔屓目はイチオシです。

CPU戦争、ますます混沌に。
Socket7とSlot1の戦い、熱き展望の果てに


 昨年末に発表されたばかりのMMX Pentiumはもう世代代わりを余儀なくさせられそうです。インテル80486の後継として登場したPentiumは、互換機チップメーカーのAMDやサイリックスの追撃を受けて、その世代代わりを急いできました。インテルはCPUをマザーボードに装着するときの方法としてソケット方式を生み出し、その方式はPentiumのSocket7、PentiumProのSocket8まで進んだわけですが、互換機メーカー撃退のためにPentiumUでは新しいアーキテクチャであるSlot1を打ち出してきました。このSlot1ではインテルは特許で固めたため、互換機メーカーはSlot1対応のCPUを打ち出すことが出来ません。そこで、互換機メーカーはSocket7を利用したままPentiumU相当のCPUを開発してきました。今回コンパックやIBMが低価格パソコンとして売り出してきたパソコンのCPUがこれです。パワーユーザーの間でも超人気ですから、秋葉原でさえ手に入らない状態が続いています。しかし、これだけでは次世代に対しては極めて弱いため、彼らはこのSocket7に拡張をかけることを明らかにしてきました。AMDのSuper7構想がこれです。Slot1でしか新しいグラフィックバスであるAGPは有効に働かないと言うインテルに対し、Socket7でAGPサポートされるPCIチップの開発、ベースクロックの高速化、MMXの拡張、CPU内への2次キャッシュの組み込み等、次々と新しい技術を導入してくるようです。AMDではSlot1ピン互換のCPUの開発も行っているとのことですが、特許の関係もあり完全互換にはならないとすれば、発売する時期での互換チップのシェア次第と言うことになるのでしょうか。
 サイリックスも次世代MediaGXとも言われる「MXi」というCPUを発表しました。MMXを拡張したコアアーキテクチャを持ったチップで、2チップでMPU、AGP、DVD等次世代のパソコン心臓部をほとんど機能させるというもので、高性能低価格のパソコンの台風の目となることでしょう。

IA-64(64ビットインテルアーキテクチャー)CPU登場


 インテルも負けてはいません。ヒューレッドパッカード社との協力で開発した64ビットチップ「Merced(マーセッド)」の発表を行いました。このチップは、IA-64(64ビットインテルアーキテクチャ)を採用し、従来のIA-32とソフトウェアの完全互換性があるといわれています。つまりWindowsNTならそのまま走ると言うことになるでしょうね。16ビットのアーキテクチャを引きずっているWindows95が主流を占めている現在のパソコン状況の中で、この「Merced」の発表がいかほど意味を持つのかとも思われますが、その方向性をユーザーに指し示したという点では大きな意味を持つことでしょう。マイクロソフトにとっては「安心安心」と言うことなのでしょうね。もっともこのCPUの主戦場はUNIXということになるでしょうから、DECから「PentiumUはAlphaの特許を侵害している」と訴えられていた裁判がネックになると思っていたら和解となり、DECはインテルから大金をせしめAlphaから事実上撤退することになりました。これでインテルは64ビットCPUの世界ではDEC、HPという2台巨頭を陣営に引き込み、敵がなくなってきそうです(SUNはやっぱり独自路線かな)。
 次世代のロードマップを明らかにしたインテルは、当面の敵である互換チップメーカーに更なる攻撃を仕掛けてきました。その第1陣はMMXPentiumの大幅値下げです。第2陣として低価格PentiumUの方向を打ち出してきました。PentiumProで歩留まりの悪さに音を上げ、2次キャッシュをCPUの外に投げ出しCPUとキャッシュをカートリッジに納めたPentiumUですが、低価格化のためにキャッシュレスのものと、再び内部に入れ込むものを開発すると打ち出してきました。

高性能も大事だが、低価格化が


 どうもパソコンは高性能化という命題より、低価格という命題の方が大きな意味を持つようになってきたようです。パソコンの価格を支配する1番大きなファクターはCPUの価格です。私のパソコンはDELLの266PentiumUマシンもありますが、メインに動かしているのはまだあのバグありPentium90です。それでも別段不自由はありません。現在MMXPentium166MHzは20,000円程度で非常にコストパフォーマンスに富んでいます(Pentium166MHzも同価格)。乗せ換えてやろうかなとも思っているのですが、最近は妙に横着になりケースを開けるのが億劫になっています。それもこれも、現在の使用環境に対して格別な違和感がないからです。ということは、Windows95環境ではサイリックスのMediaGX(166)を載せたマシンなどは最もコストパァフォーマンスに富んでいるのかもしれません。先月号でも書きましたが、AGP機能が必要なパソコンというのは3DのCADやゲームをするユーザーに限られているのかもしれません。もっともMMX機能だって安ければ買えばいいわけですから、高性能化が悪いと言っているのではなく、現在ではコストパァフォーマンスを一番うまく考えることが出来る時代になったということなのでしょう。
 3ヶ月も経てば「旧式パソコン」という時代ではありますが、よくよく考えてみればPentiumマシンになっていさえすれば、あまり深刻に「旧型」と考える必要はありませんね。もっとも486からPentiumへの移行期に486パソコンを買って、それを持ち続けている人には少し悲しいものがありますが、Pentiumマシンになってさえいれば2万円程出せば速いCPUに取り替えることもできるし、Windows98になってもあまり変わらないのじゃないかと思います。ということは、Pentium90マシンって、相当長い間現役で頑張れる寿命のマシンということになりますね。

隙間アイテムも面白い



 さて、長い間「幻のアイテム」と思われていた「つなぎ商品」が発売されました。ひとつはスマートメディアを3.5インチFDDで読ますことが出来るという「FLASH PATH」、もうひとつは突如として登場した「HiFD(ハイファイエフディ)」です。どちらの商品も次世代の本命とは思われませんが、それなりに有効なアイテムであろうと思います。
 デジカメ黎明期、コンパクトフラッシュと雌雄を争い本命ではないかといわれていたスマートメディアですが、最近ではコンパクトフラッシュの方が多く採用されるようになってきました。それはコンパクトの方が値段が高いとはいえ、大容量をサポートしていたことに要因があると思います。このコンパクトとパソコンを繋ぐ周辺機器に「Flashmate2000」という商品があり、パソコンのパラレルポートに接続してかなり速いスピードでパソコンからコンパクトのデータが読めるというものです。1万円弱の商品であるため、ノートパソコンを持たないデスクトップユーザーには人気があります。「FLASH PATH」もパソコンとスマートメディアを繋ぐ周辺機器ですが、発想がとんでもないもので、メモリをFDDで読ませるというものですから、その完成は危ぶまれていました。ところがとうとう12月には発売になるそうです。うまくいけばスマートメディアの後押しになるだけでなく、3.5インチFDDの8MBでの利用など面白い利用法も考えられたのだが、どうも時期を逃してしまったのではと言う思いがします。
 もうひとつ、もっと早く出ていたらと思わせる商品が3.5インチFDD「HiFD」です。現在ではスーパーディスクという名前になった「LS120」の対抗商品ということになるのでしょうかね。従来の3.5インチFDDのメディアである2DD/2HDの読み書きが出来て、しかも両面で200MBの記憶容量を持つ製品がソニーと富士フィルムから出た「HiFD」です。このデバイスの特徴はディスク回転数の高速性とデータ転送速度の速さにあります。2HDにかわる起動用のメディアとして、現在CD−ROMやZIPといったものもBOISがサポートしてきたりしていますが、結局3.5インチFDDに全面的に変わるものが登場していません。スーパーディスクにその可能性を感じたのですが、性能の面では今ひとつ、読み書きの速度が速くないのです。発売と同時に購入したディスクは私の部屋で隅っこに転がっているだけです。2DD/2HDの読み書きが出来て、しかも大容量起動ディスクとしても活躍できるのですから、ベアドライブとして安く出回ったりすると面白いデバイスとなるのですが...。

ブートデバイスあれこれ


 ブートデバイスの話を少し書きましたが、TOSHI先生はBIOSのブートディスクの項目にCD−ROMが載っていたので、起動CD−ROMを制作しようと頑張っているようです。上記の「HiFD」にしてもそうですが、2DD/2HDとHDD以外からのブートはまだまだうまく作動しません。でも、システムがこれだけ肥大化してくれば起動メディアの容量は大きなものが必要となってきます。外部記憶装置の中で簡単に書き換えて起動メディアを作れる可能性があるものにMOディスクがありますが、とうとうMOもATAPI対応製品を出して、起動ディスクとして認識させる方向に進むようです。これもちょっと「今さら」という気もするのですが...。

TAの新潮流


 最後の話題は、新しいTAの登場についてです。NTT-TE東京から低価格高性能なTAであるMN128が発売されてから2年が経ちますが、この間でISDNは非常に普及しTAはどんどん安くなってきていましたが、新しい機能というものはあまり付加されていませんでした。パソコンLANを構築しているところでは、次のTAはルータだとばかり、。NTT-TE東京からはSOHO対応版のルータ型のTAが発表されたりもしていました。ところがここに来て、シャープとNECからPHSを子機として登録できるTAが発表されました。後発のシャープ製品は発想は面白いものの、製品としてはまだまだと思われますが、NECのAtermIW60は非常に面白い製品です。この製品の特長は2つあり、ひとつがPHSを子機として登録できることであり、もうひとつがオプション品としてバス接続間の通信が可能な「高機能S点ユニット」を用意している点です。ISDN機器はDSUの先に最大8台まで接続することができるのですが、それぞれのTAの間で内線通話をしたり、掛かってきた電話を転送することができない欠点がありました。ところが高機能S点ユニットを使えば、これが出来るようになってくるのです。つまり、家庭内交換機を実現することが出来るだけではなく、ちょっとお金と工夫をかけるのなら家庭内無線ネットワークまで可能となるようです。新しいTAの動向は注目する必要がありそうですね。

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