OMATSURIKOZO HOMEPAGE RANDOM ACCSESS 1998-03
OMATSURIKOZO's talk salon


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1998年  3月
連載131回

「ザウルスポケット」を買って思ったこと
モバイルってどういうこと?

コンパックがDECを飲んだこと
ダウンサイジングは通り過ぎて


 年が明けてからの急激な寒波の訪れには驚いてしまいましたが、季節はもう春です。いつまでもこたつにもぐりこんでいないで、春の兆しを感じに外に出かけてみませんか。土手にはふきのとうの芽も芽吹き始めていますよ。
 我が家では女房とおふくろが「オリンピックおばさん」になってしまい、こたつの中で日本勢を一生懸命応援していますが、私はパソコン部屋で「信長の野望 将星録」に足をつっこんだおかげで時間を大きく浪費してしまいました。こうしたシュミレーションゲームという奴は、取っ付きにくいところがあるのですが、はまると時間がいくらあっても足りなくなってしまいます。ウン、生産的なことに心を向けなくてはと...。

「ザウルスポケット」を衝動買いした


 このところパソコンをいじる時間がなくて、だんだんと老化現象化してきているのではないかと心配レていたのですが、又再び元気が出てきそうな気がしてきました。実は局長が新しく発売された「ザウルスポケット」を購入してみんなに見せびらかしたのですが、その手書認識の正確と速さに驚いてしまいました。せっかちな私はすぐさま「ザウルスポケット」を購入してしまったのです。

モバイルと見栄ユーザー


 最近ゲーセン信ちゃんはいつの間にか「モバイル信ちゃん」に変身してしまい、モバイル環境について色々語っていますが、私もかねてからモバイルというジャンルには心引かれるところがあって、今までにもかなりの投資をしてきました。PT110ウルトラマンやリブレットの購入は小さいパソコンヘの憧れと同時に「持って歩けるパソコン」の貴重さを感じていたからです、初期の頃のパームトップパソコンは値段が高い上にとても使えたものではありませんでした。私が最初に持ち運びを考えて購入したパソコンは初代ダイナブックで、うれしくて毎日力バンに入れて持ち歩き、友人たちに見せびらかしたものでした。デスクトップに較べて軽いとはいえ、やっぱりA4ノートサイズのパソコンは重たかったのです。「見栄」を張るのにも飽きてきた頃、力バンの重さに首を傷めてしまい持ち歩くのを止めてしまいました。でもやっぱり「持ち歩くパソコン」には憧れ続けていたので、常にパソコン情報誌には目を通していました。
 その当時、98のパームトップパソコンであるHADAY98や工プソンのハンドヘルドパソコンにも目がいったことがありましたが、当時のマシンは中途半端な自己完結マシンで、自宅のメインマシンであるデスクトップマシンとの連係が保証されていなかったのです。この点が「見栄パソコンユーザー」である私には今ひとつ物足りなかったので、購入するには到りませんでした。
 ダイナブック以降A4サイズのノートパソコンが主流を占めるようになった訳ですが、ダイナブックで懲りた私には「持ち運びには不適、家で使うには見づらい液晶」といった印象があってA4サイズノートパソコンには手を出しませんでした。ところがパソコンも更に小さくなり、B5サイズが登場すると再び悪い虫が起こり、あの悪名高き教祖様御用達ショップでB5サイズノートパソコンを購入してしまいました。このパソコンも2ヶ月程持ち歩いたあげく、やはりその重さにくたびれてしまいました(そのころ、出張先でこの原稿をこれで書いた想い出もありますが)。その当時、ノートパソコンにもカラー化の波が押し寄せてきていたので、モノクロパソコンではなんとなく見栄が張れなくなっていたというのも持ち歩かなくなった原因でもあるでしょう。
 その後がPT110、リブレットと続く訳です。これらも全て「見栄」です。これらは小型化、カラー化といった時代のニーズに合ったもので、しかもユーザーの遊び心をくすぐるものがあったのですが、やっぱり毎日力バンに提げて歩くには重い。ちょっとHなムービーデータをHDDの中に入れておき、飲み屋や仕事先でみせびらかすのは楽しいものの、使わないことの方が多い日が続くとカバンの重さがだんだん身に滲みてきます。私の鞄の重さはなかなかのもので、パソコン以外にも会社関係の書類、パソコン雑誌、小説、漫画雑誌等々、全部で5kgあって、それを一日中担ぎ廻っているのですから、やっぱりあまり利用価値のないものは外していくようになってしまうのです。

モバイルの原点は「軽さ」にある


 モバイルといえばやっぱり電子手帳です。シャープの電子手帳は昔から愛用していて、電話帳とメモ、計算機、辞書として非常に有効に活用してきました。昔はこれもパソコンと連携するケーブル等を持っていたのですが、母艦であるマシンが98からDOS/Vに変わったとき、もはや独立艦になったままで5年以上経ってしまいました。でも、相変わらずこれは毎日仕事先で活躍しているわけです。電話帳としてだけでなく、書類を手書きしているときの国語辞典としても有効で、無くてはならないものです。でも、新幹線の中で原稿の下書きをして、これをパソコンの送るという仕事は無理です。
 そんなときに出会ったのが「ザウルスポケット」です。実は私は長い間「ザウルス」を馬鹿にしていたのです。友人にこれを購入したものもいましたが、自己完結マシンとしてしか使って無く、「手書きが出来る電子手帳」というイメージしかなかったのです。これなら「Wiz」の方が安くて軽いではないか、あるいは「見栄パソコンユーザー」の私がこんなおじさん向けのツールを持っているなどは恥ではないかといった気持ちが強かったのです。機能は別として、「カラーザウルス」なんて、ウルトラマンに影響されて作ったキワモノとしか思えなかったわけです。ところが「ザウルスポケット」はコンセプトが簡単明瞭、軽く安く、今必要な機能だけを満たす仕様にして発売されたわけです。

電子手帳にαが付けばいい


 私が欲しかったのは、「とにかく軽い」「電子手帳の代わりになる」しかも「ワープロ機能を持つ」ということだったのですが、これを満たしていたと言うことです。文字入力に関して言えば、手書きなんて駄目だと馬鹿にしていたわけですが、この「ザウルスポケット」は凄い。私のキーボード入力のスピードくらいなら、漢字で直に書けばそこそこ変わりないと言うことに驚きました。つまり、テキスト文書の入力はキーボードに限るし、漢字変換機能が満足できないと困ると信じていたのですが、そこそこに漢字を覚えていて書くことがあまり苦痛でない人には、これくらい手書き認識が出来るものを持つとキーボード能力に匹敵すると思ったわけです。この原稿もかなりの部分を新幹線の中で手書きして入力しました。「手書きは長文には向かない」などという記事がよく出ていますが、どのくらいの長さの文章を長文というのか分かりませんが、メールくらいのものなら手書きで書く方がずっと早いのかもしれないと思ってしまったわけです。もっとも文字がくせ字の人には向きませんがね。
 さて、ワープロ機能で遊んでみたわけですが、この「ザウルスポケット」には他に「表計算」「アドレス帳」「データべース」「辞書」「通信」まであります。現在、電子手帳に蓄えた電話番号をどのように移行しようかと迷っているのですが、少しずつ手入力で移行しているというのが現状です。こいつの入力が済んだら電子手帳を廃してこれ一本に移行しようかと思っています。だって、重さがそれほど変わりませんからね。ノートパソコンが1kgのところで勝負しているわけですが、この世界は100gの世界です。こいつは本当に凄い。

インターネットも軽々


 「インターネット」の接続も魅力です。これには14400のモデムFAXが付いていますが、WEBの探索を外でするわけでもなく、メールの閲覧と簡単な返事を書くだけと言うことなら14400のモデムでも充分に対応できます。公衆電話ボックスに入り、グレー電話の前でちょっとごそごそとするだけでメールを取り出すことが出来ます。なにせ、片手で持ったまま対処することが出来ますから、ケーブルも10cmもあれば十分です。Libretto 50で外から通信できたときには感動したものですが、こいつでは感動を通り越して「当たり前」という感じです。局長の「ザウルスポケット」にはモデムがありませんから、「モデムが付かないザウルスなんてザウルスとは言えないよ」と苛めているところです。それほどこの機能は使いやすいと言えます。
 辞書についても電子手帳の辞書に較べるとずっと精度が高いです。英語について言えば語彙が多いと言うことよりも、「発音記号」「変化」「例文」等が付いているので、実際の役に立ちます。昨年仕事でヨーロッパに行った時、言葉にとまどった私はこいつは役に立つと実感したわけです。出張先の電車の中などで英会話の本などをめくっているときにも、発音を確認することが出来たりして重宝しています。
 単4の乾電池2本で30時間稼働するのですが、モデムを使うとあっという間に電池を消耗してしまいます。マニュアルにはアルカリ乾電池を使うように書かれていますが、私はニッカドの充電乾電池を使っています。4本充電しておいて、2本ずつ使っているわけですが、これで1週間近くは大丈夫です。
 「ザウルスポケット」にはパソコンとの連携に「パワーコネクション」というWindows95のソフトが付いてきます。通信方法としては赤外線通信、RS232C通信の方法が書かれていますが、本体の中に接続できるピコフラッシュでも可能なようです。これについては私もまだ試してないので分かりませんが、パソコンからこのピコフラッシュを覗いてみたところたくさんのフォルダが確認できたので、フォーマット形式は同じにしている、後はファイル形式を変換するソフトである「パワーコネクション」で見ればいいのかと思いつつ、まだ試してないのです。「ザウルスポケット」の手書き認識で書いたこの原稿をパソコンに移行する方法としては、今回はインターネットメールで遣ってみました。うんうん、これで初期の目的は達成できた。

文字認識で思ったこと


 この「ザウルスポケット」の手書き認識でひとつ感じたのは、その認識力の速さと正確さなのですが、それ以上に驚いたことは「簡単な文字ほど認識率が悪く」「複雑なはずの漢字」の方が認識率が高いと言うことだったのです。アルファベットや数字は単純な画数であるが故に誤認識が多く、ある程度の画数がある漢字の方が認識率が高いのです。アメリカで大流行して、日本でも火がつきそうになっているパームパイロットですが、これも手書き認識をしてくれます。この手書き認識は英数字だけですが、この入力はひとつひとつの文字に「癖」を要求するそうです。ポケットも簡単な文字には決まった「癖」を入れると認識すると書かれていますが、画数の少ない文字の方が約束事が必要だと思い知ったわけです。かって、キーボードで入力するコンピューターにおいては漢字を有する日本では使いものにならない、ローマ字に日本語を変えた方がいいという乱暴な意見もありましたが、今では連文節で入力してもかなり満足な漢字に変換することが出来るようになってきました。こうした機能の充実は日本語を学ぶ外国人には貴重であるだけでなく、文字数の多い文化を持つ国のコンピューター文化にとってもとても有効だと思います。常識的に考えれば「負の要素」だったものが、ある技術や発想によって「正の要素」に変換するという事実をまたひとつ思い知らされました。うん、やっぱり「日本人には漢字だよ」と呟いてしまったことです。

開発環境はもっとオープンになれ


 「ザウルスポケット」の最大であり、唯一の欠点は、その上で走るソフト開発言語が大衆的ではないと言うことです。シャープも単純な自己完結マシンではなく、そのハードの上に新しいソフトが走るようそれなりには考えているようですが、あまり力を入れてないようです。MOREソフトというアドインソフトウェアもインターネットやCD−ROMで発表していますが、現在のところシャープ以外からは登場していません。その辺をもっと大衆的にすると面白い世界が始まるのではないかと思います。

コンパックがDECを買収


 今月の話は「ザウルスポケット」に終始してしまいましたが、パソコン世界の動向は私のちっぽけな思案を余所に大きな曲がり角に入ったようです。新興パソコン勢力の第1走者であるコンパックは、とうとうコンピューター世界の大物であったDECを飲み込んでしまいました。DECといえば今ではATコンパチマシンも発売していますが、コンピューター業界ではかなりの老舗であり、新興のパソコンメーカーなんぞに舐められてたまるかと思っていたでしょうが、社歴15年程度のメーカーに買収されてしまいました。DELLの勢いもユニシス辺りを飲み込むのではと言われています。たった20年にも満たない新興のパソコン勢力は、大型コンピューターメーカーをダウンサイジングで引きずり落とし、中堅コンピューターメーカーを傘下に納めはじめたわけです。パソコンという半導体ゴキブリはどうも従来の概念をどんどん覆し、我々の生活の中に浸透してきているようです。インターネットといっても数年前には単なる学術ネットだったわけですが、今では巨大な庶民ネットワークに変化してきているわけですから、時代の変化は斬新的ではなく飛躍なのかもしれないと嘆息しています。昔からパソコンを使っていたなんて先輩面していても、新興勢力のパソコン初心者の方がよっぽど凄いことをし始めてくる可能性が強いですよ。やっぱりうかうか年寄り面をしてられないな。


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