OMATSURIKOZO HOMEPAGE RANDOM ACCSESS 1998-11
OMATSURIKOZO's talk salon


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1998年 11月
連載139回

先物取引って恐いです
当分大人しくしておこーっと

レガシー(遺産)フリーって
どんな意味?


 朝晩はすっかり冷え込んでくる季節になりました。秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、日増しに日が短くなってきます。休日にはちょっと車を跳ばし郊外の寺院や野山などを訪ねると、秋の香りをたっぷりと感じてしまう今日この頃です。皆さん、秋のパソコンライフはいかがでしょうか。

私の物欲回復


 hillsさんはCD−Rの4台目を獲得されたそうですが、私も4倍速のCD−Rを衝動買いしてしまいました。日曜日にインターネットで秋葉原情報を見ていたら、4倍速のCD−R(松下製)が29800円で売られているという記事を見つけました。私が現在所有しているCD−Rは2倍速のものなので書き込み時間が1時間近くかかってしまいます。この位の金額なら買ってやれと、翌日の出張の時久しぶりに秋葉原に出かけてみました。1年くらい前までは出張で東京に出かけるときには必ず秋葉原まで足を延ばしていましたが、最近はどうも気が進まなくなり滅多に足を延ばすことはなかったのです。今回は目的の店も分かっています。1件目の店では売り切れてありませんでしたが、2件目の店では31500円になっています。思ったより少し高かったのですが、1台購入。陳列台を覗いていたら、ハードディスクも安くなっています。若い友人が大容量のハードディスクを欲しがっていましたので、クォンタム6.5GB・IDEのものが23000円も購入しました。私の物欲が少しずつ蘇ってきているようです。

ちょっとスケベが大火傷


 さて、私の物欲はそこそこに蘇ってきてはいるのですが、日本の経済情勢のというのは泥沼にたっぷりと浸かり込んでいるようで、気持ちがなかなか高揚してきません。日曜日のサンデープロジェクトで田原総一郎が与野党のメンバー達にいろいろ突っ込みを入れるのですが、これといった妙案が聞かれることはありません。私の仕事の方は何とかやっていますので、小物を購入するのはどうと言うことはないのですが、大物に手を出そうとすると女房の目もあります。そこで今回小遣い稼ぎに非常に危ないゲームに手を出してみました。だって、日本の預金金利なんて今ではないも同然、アメリカのシティバンクなどに口座を持ったら(口座を開くのに30万円の預金がいるそうですね)、預金金利は預け高に応じて高くはなるそうですが、預け高が低くなると維持費まで取られると言う話も聞きました。日本のビックバンもそういう方向に向かうってことなのでしょうね。つまり、少々の小遣いを持っていても少しも増えない時代、ちょっと危険でも良いから増やしてみてやれとスケベ心を起こしたのが悲劇の始まりでした。

ヘッドファンジの謎


 先般、好調なアメリカ経済界に大きな影を落としたのが大手ヘッジファンド会社の倒産です。このヘッジファンドというのがくせ者で、とにかく年利40%なんてものを出していたというから、どんなマジックを使っていたのだと言いたくなります。日本でこんなファンドを出したら「ねずみ講か?」と言われてしまいますよ。実際、数年前政界まで巻き込んだ金融疑獄事件であるオレンジ共済等々は、金利こそ彼らと同じようなものを提示していたのですが、内実は新しい顧客の金を金利と称して古い顧客にばらまくと言った手法で、現在の日本国家の年金と同じことをしていたのですからパンクするのが当然だったわけです。ところが、アメリカのヘッジファンドは実際にそれ以上の儲けを上げる投資をしていたのです。また、他の会社はまだまだ破綻することなく利益率は落としながらも維持している現状があるわけです。このマジックは、補償金で取り引きできる市場が世界中にあるからです。
 世界経済がグローバル化して、お金が実体経済から独立して一人歩きし始めた、ある意味で非常に危険な金融資本主義時代になってしまっているわけです。こんなこと、日常生活しか関係ない庶民である我々にはとんと関係ないことかもしれませんが、我々の日常生活を支える実体経済も、この世界中を駆けめぐるお金の乱舞によって大きな影響を受けているのです。アメリカで集められた世界中の金持ち達の金は、その金を見せ金にしてさらに銀行からも融資を受けて、破綻した会社だけでも17兆円あったと言われています。彼らはその金を補償金として金融市場に乗り出し、世界中で170兆円の取引をしていたということです。ここで問題となるのは、17兆円しか持っていないにも拘わらず、170兆円の取引をしていたという事実と、その金がアメリカや日本などの成熟した資本主義社会にはあまり投資されていなくて、発展途上国に多く投資されていたと言うことです。
 たとえて言えば、投資する金額が小錦のような体格の人だとすると、成熟したアメリカや日本のような金融市場はプールです。このようなところに小錦が入ったとしても水嵩はあまり上がりません。ところが発展途上国の金融市場は煎ってみれば風呂です。あっという間に水嵩は上がってしまいます。彼らは発展途上国の経済を豊かにしようと言った魂胆はなく、ただ自分たちの資本をより有効に使おうとしただけです。効率の良い投資は、発展途上国群であるわけです。しかし、こうした諸国の政情は非常に不安定で、当然リスクも高いわけです。例の破綻したヘッジファンド会社の破綻要因はロシアのルーブル切り下げです。もちろん、彼らだってそうしたリスクは承知してやっているわけですが、彼らがその投資に用いていたところのコンピューターソフトがその事態に対して有効に働かなかったのでしょう。10年ほど昔に起きたアメリカのブラックマンデーの悲劇は、株価が落ちてきたら売りに廻れと言うコンピュータープログラムの指示があちこちの証券会社から発したところに要因があるといわれています。今や、金融プログラムの正否は金融会社の命運を担っているのかもしれません。つまり、ヘッジファンド会社は自分たちの豊富な資金を使って、世界金融経済を手玉に取っているわけです。
 もうひとつの問題である資金の10倍からなる取引がどうして出来たのかと言うことです。我々庶民から考えると訳が分からないように思いますが、我々だって月賦や頭金だけで商品を購入することがあるでしょう。つまり、金融市場の買い物に頭金だけ払って商品を手に入れ、そのものを実際にてに入れる前にもっと高く売れる人に売りつけてしまうという手法があるわけです。当然、買い手法と同時に売り手法もあるわけですが、この頭金で取引が出来る市場が世界中にあるわけです。ただ、この手法は大変危険な手法で、俗に言うところの元本保証無しのハイリスクハイリターン商法と言うことです。だって、100万円の商品を購入するとき、10万円の補償金だけで仮にこれを購入して105万円で新たに買いたいという人に売りつければ、10万円の元金に対して5万円の利益ですから50%の利益率ということになるわけです。反対に90万でしか売れなかったとすると、10万円の元金に対して10万円の損金が生じて利益率-100%、即ち元金がパーということになってしまいます。もっと恐ろしいのは、だれも買い手が見つからなかったら、それを自分で購入しなくてはならなくなり、残りの90万円を都合しなくてはならなくなることです。これが彼らの手法です。

私も参戦してみたが惨敗


 こんな危険な世界は我々庶民、決して手を出しては行けないのですが、スケベな私はちょっと手を出してみたのです。日本でこんな取引が出来るのは、先物取引といって、1年先の買い物を現時点で少額の補償金で取り引きすると言うものです。私が手を出したのが「金」の先物取引です。当時、金の価格が少しずつ戻しかけていたところだったので、この流れに乗ってやれとばかり資金を投入しました。初めからあまり高い利益率を望んでいなかったので、利益率が30%程度になった時点でウリをかけて逃げました。半月で利益率が30%ですから凄いものです。まあ、ここまでは良かったわけですが、取り扱い会社に金を残したままにしていたところ、金がまた下がってきてこの辺りで再び買わないかという電話が入ったのです。ちょうどそのころ仕事が忙しくてあまり深くも考えず、買いを承知してしまったのが運の尽きです。国会で金融関係の法案が通ったということでは為替レートが変化しなかったのに、銀行破綻前の処理についての与野党の合意が付いたというニュースで円が一気に高騰してしまいました。もう悲劇です。価格レートの大幅な動きは金価格にも大きく影響します。毎日がストップ安です。あっという間に儲けていた金まで入れてスッテンテンです。もう、気持ちが良いくらいスッテンテンです。実はヤケクソなんですがね。この記事は女房には読ませられませんよ。
 先物取引って言うのは本当に博打なんです。実体の伴わない金のやり取りって、ある意味のバーチャル取引ってことになりますね。合掌。

最近パソコン状況


 さて、やっぱりパソコン関係の話題も入れなくてはなりません。日本経済が疲弊しているとはいえWindows98の登場以来、パソコンの個人消費は好調だそうです。それもノート型の需要は固く、価格下落を期待して買い控えをしていた人には残念ですがノートの価格は堅調なようです。デスクトップでは日本でもそこそこ低価格PCというのは話題にはなっていますが、どうもパソコンに多くの夢を感じている日本のパソコン見栄ユーザーには低価格パソコンというのは今ひとつ受けないようです。しかし、世界の方向は確実にこの方向に向かっています。今期AMDはK-6シリーズの好調で黒字決算になりそうだそうです。それだけ低価格パソコンの売り上げは好調だと言うことです。インテルは、自らの高価格戦略の見直しを迫られ、ハイエンドパソコン用のCPUだけでは勝負にならないと低価格PC用のCeleronの高性能化バージョンを売り出してきました。こうした戦略はインテルの従来の高収益体制を覆すものではあるのですが、市場の方向がそちらに向かう以上王者は受けて立つしかないのかもしれません。

レガシーフリーの行方
パソコンがそんなに完成されてたまるか


 先月号のUSBのお話にも書いたように、この15年間続いたPC/ATの資産継承戦略はもはや破綻を迎え、どうやら2000年頃にはパソコンは新しい形に変わっていくようです。こうした新しい形とはなにかという点については、従来からもかなりいろいろ言われていましたが、先月インテルから提示された「Legacy Free PC(レガシー(遺産)フリーPC)」というコンセプトは、過去の技術遺産に縛られない形で低価格なパソコンを生み出そうと言うものです(ATバスの放棄、パラレル・シリアルの放棄、IDEの放棄など)。つまり、もうパソコンマニア達は要らない、iMacのようなユーザーが手を加えることが出来ない低価格で完成(?)されたマシンを作ろうと言うものです。
 低価格化の軸として、
1.まずMPUの低価格化(インテルではCeleron、当然互換チップメーカー達も黙ってはいないでしょう)、
2.統合チップセットの開発(サイリックス社などはMPUにPCのほとんどの機能を入れてしまおうという動きもありますが、インテルではチップセットの中にAGP機能を入れて低価格化しようとしている)、
3.ハードウェア機能のソフト化(オーディオ、モデム、DVD再生などを独立したチップで制御しなくても、パソコン本体だけのハードウェア資産でソフト的に実現する)、
4.オペレーションおよびサポートコスト削減(レガシーリムーバル、つまりパソコンの中をユーザーに触らさせないこと、拡張は全て外部のUSB IEEE等によることでメンテナンストラブルを減少させる)、
5.マザーボードや筺体、電源のコスト削減(出来る限り小さく、標準化によって低価格化)
といったものが上げられています。
 たしかにMPUが高性能化してきていますから、従来のようにそれぞれが独立した制御を有する機器を数少ない割り込み(IRQ)などでやり取りするのは非効率です。こうした流れは当然起こってくるでしょうし、必然といっても良いでしょう。しかし、数年前ビデオメモリとシステムメモリを共有化しようと言う動きが出たけれど、これを共有するとシステムパフォーマンスが落ちると敬遠されたことも事実です(メモリの高速化と低価格化で実現は可能になってきましたが)。また、あまりに共通化されてしまうと、独立系のマザーボード会社やビデオチップ会社、その他多くのパソコンベンチャー達の息の根まもで止まってしまいかねません。必ずゲリラのような動きは登場してくるでしょうし、ここまで広がってしまった独立系のパソコンベンチャー企業達が黙ってはいないでしよう。現在のようなPC/ATの資産をモロに引き継いだようなパソコンではないにしろ、必ずユーザーのチューニングが出来る形でのパソコンは当分の間根強く生き残っては行くでしょうね。まあ、そうでなくては面白くなくなってしまいますからね。頑張れ、独立系パソコンベンチャー企業達、パソコンマニア達。


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