OMATSURIKOZO HOMEPAGE RANDOM ACCSESS 1999-04
OMATSURIKOZO's talk salon


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1999年 4月
連載144回

エミュレーターは楽しい
ROMROM君、ありがとう

インテルの独壇場は崩れるのか
AMDのK6−V、K7が生み出したもの


 急に暖かい春の季節になってきました。春3月はまだまだ暦の上だけの暖かさでしたが、4月になってくると夜桜も春の夜風が心地よい宵を迎えられます。こんな季節は「あっ、日本に住んでいて素晴らしい」とつい独り言が言いたくなるときです。皆さんも近所に桜が咲く場所があれば、夜そぞろ歩きを楽しんでみたらどうでしょう。一人で歩くのも良いし、恋人や連れ合いと歩くのも良い。私のような飲んべえはポケットにちょっと小瓶をしたためて、桜の下にちょこんと腰掛けて少しほんのりするのが楽しいものです。ぎらぎらするものが少しずつ削ぎ落ちてきているこの頃、ちょっとした暖かみに幸せを感じてしまう自分に再感動してしまっています。
 さて、少しずつ私の中にアドレナリンが戻ってきているという話は先月号でも書きましたが、その分泌量はかってのような急激なものではありませんが、少しずつ回復期には向かっているようです。それは、とにかくパソコンにお金をつぎ込み、時間をつぎ込むことこそが自分を燃え立たせているという思いこみから少しずつ脱却しつつあるという、少し醒めた目がともなった回復のようです。私にとってのパソコンと言えば唯一「パソコン=見栄」と定めていたわけで、この心情は今持って変わらないとはいえ、ただそれだけではないと言った気持ちを抱き始めています。

年若い私の友人たち


 今月は僕の友人であるROMROM君のインターネット探訪の楽しみ方とその享受を受けている私の話から始めてみましょう。私はパソコンを初めてから今日に至るまで数多くの年若い友人たちのお世話になるばかりの、どちらかと言えば口先ばかり達者なパソコン見栄ユーザーです。10数年前、大学出たばかりの土木屋さんと出会ったとき、彼は私のことをパソコンのオーソリティと誤解していろいろな質問を投げかけてきました。時代は98のDISKBASIC全盛時代でしたから、私がMS-DOSの話をすると食い入るような真剣さで向かってきたわけです。適当な参考書を買い与え、こんなものは常識だという顔をしていたら、FORTLANだ何だとコンピューター言語について質問してくるものだから、これからはC言語を勉強しておけばいいなんて答えてしまっていた。それを真に受けた彼はそのうちに少々のC言語を勉強してきて私に質問をするわけです。その時私は「俺は数行のBASIC位は書けるけれど、プログラムなんて書いたこともないし、これから書こうとも思わないよ」と答えたことがあります。その彼とは現在も付き合っていますが、彼曰く「僕はお祭り小僧さんに騙されていた。でも、凄く刺激になりました。」と言ってくれています。こうしたスタンスは今もって同じです。私がパソコンに関わり続けているのは、唯一見栄ですから、他人よりは刺激的な情報を仕入れ続けていなければならないわけです。つまり、その彼にしても私を追い越した後は私への情報提供者に、あるいは逆師匠に成り代わって貰わないと私が蒔いた種は消えていってしまう訳なんです。そうした友人たちがどこからともなく現れ、私に数々のパソコンの刺激と享楽の仕方を伝授してくれるわけです。ROMROM君もその一人です。

インターネット裏情報サイト


 その彼が最近エミュレーターにはまっています。インターネット裏情報は現在3つのジャンルに絞られているといっても過言ではありません。ひとつは言わずと知れたスケベジャンルです。これは大衆的にも認知されている最大のテーマであり、おじさんたちがインターネットに手を出す最大の理由です。次がアプリケーションソフトの違法ダウンロードです。有名なアプリケーションが様々なサイトにアップロードされていましたが、最近は影を潜めてきました。高価でも手に入れたいと思うようなソフトの数が減少してきているから、そこまでしてアップしたりダウンロードしようと思う人たちが減ってきたからのようです。もっともインターネット規制が強くなってきたという理由もあるでしょうが..。最後がエミュレータです。エミュレータソフト自体には違法性はないのですが、これを取り巻く環境はいろいろ問題も内蔵されています。そりゃあ、いくらエミュレータを走らせても走るアプリケーションがなかったら何の面白さもないわけですから、当然その上で走るアプリが問題となってくるわけです。もともとこうしたグレーゾーンの話題には敏感な私もROMROM君に教えられるまではそこまで進んでいるとは思いませんでした。

違法だってコピーも文化だ


 数年前、香港からスーパーファミコンのゲームソフトが全て収録されたCD-ROMを買い集めてきたり、プレイステーションのコピーCD-ROMや黄金針(これを使うと違法コピーされたCD-ROMを動かすことが出来る。現在ではチップを埋め込んでコピーガードを外す方法が一般化している。でも、この方法も今回のファイナルファンタジーではプロテクトされている)を購入してきたという前科を持つ私にはちょっと迂闊な話でした。そう、だんだん市民社会に生息する安住性にとらわれ、やんちゃな牙を失い欠けていたという訳です。だって、違法であろうが違法であるまいが、パソコンやそれを取り巻く環境において、お上や大企業が打ち立てている論理なんてものに縛られることよりも、「おおっ、とうとうこんなコトも出来るようになったのか!」という面白さの方に軍配を上げてしまう方が楽しいではありませんか。確かに莫大な金をかけて開発されたソフトがコピーによって資金が回収もできないという悲劇に対しては同情もします。しかし、ソフトメーカーが言う「本来ならばこれだけの利益が生まれていた」という概算は少々嘘っぱちです。彼らの計算には小さな成長がそのまま一直線上に大きくはばたく事はあり得ません。ソフト産業においても、コピーまで含めた宣伝効果がそのソフトの普及をもたらしているという事実もあります。今日の「一太郎」にしてもあの当時の爆発的なコピー版が出回ったればこその成長であったわけで、その宣伝効果と使用操作性の普及が今日の地位を作ったという事を浮川社長だって認識していることでしょう。まあ、今日「体験版」と称するものが多く出回っているのはその証拠でもあるわけですが、コピーするほどの価値のないソフトもあるわけです。私はコピー礼賛というものではありませんが、コピー文化がパソコン世界の中で大きな技術的位置を占めてきたという事実は認めています。だって、パソコン黎明期においてはコピープロテクトの技術とそれの解除技術がパソコンハードの大衆的解析とソフト普及を図ったと私は認識しているのです。

みんなWindows98で動いちゃう


 ROMROM君がインターネット上をさんざん探し回って集めてきたエミュレーターソフトは感心してしまうほどのものでした。ひとつにはエミュレーターの種類、ひとつには集めたROM(ソフト)の数です。ハードウェアの飛躍的な高性能化によって、過去のハードウェアを現在のハードウェアでエミュレート(仮想化)することが簡単になってしまったと言うこともあるでしょうが、ROMROM君の話によれば、x86系のハードウェア上で他のCPUの汎用的なエミュレーターが開発されているため、現在ではひとつひとつのハードのエミュレーター開発が非常に早くなっているという話です。彼が集めてきたエミュレーターは、PC-6001、PC-8801、APPLE2、ファミコン、スーパーファミコン、セガマシン、PCエンジン、ゲームボーイ、アーケードゲーム等々で、プレイステーションやNINTENDO64までもありました。MACでプレイステーションのソフトが走るエミュレーターについては、ソニーが著作権侵害として訴えて訴訟沙汰になったという話はROMROM君も書いていましたが、抵触するコードがなかったと言うことでシロと判定されたと聞いています。これらの最新のハードウェアエミュレーターは、パソコンの性能がそのエミュレートに影響するため、よっぽど高性能なものでないと動かないと言う事もあります。「最新のハードウェアに変えてまでしてエミュレートするのなら、ゲーム機を買った方が安いじゃないか」という声が聞こえてきますが、ゲームをしたいだけならばそのとおりでしょう。エミュレーターを楽しんでいる人たちは、そうした損得勘定以上に、パソコンの可能性の面白さに惹かれているわけですから、そんな理由で留まることはないでしょうし、この世界はどんどん広がっていくというわけです。ROMROM君はエミュレーターを動かすためにグラフィックボードにVoodooを加え、ジョイパッド接続コネクター購入などとせっせと投資しているようです。

やっぱりパソコン知識は必要なんです


 試してみたところ、1世代前のゲーム機やパソコンのエミュレーターはほぼ満足する動きとかなりの完成度がありました。しかし、こうしたエミュレーターを動かすには少々コツがいるというか、若干のパソコン知識が必要です。現在ではエミュレーターはかなりユーザーインターフェースも良くなってきているとは言えますが、基本的にはハードウェアは個人個人のマシンで微妙に異なるため(そう言えば昔のNEC98はハードウェア構成が単純で良かったものです)、それらを考えてチューニングしてやる必要も出てきます。また、操作性も異なるためマニュアルというかテキストを読んで、結局はトライアンドエラーを繰り返すことによってしか動かすことが出来ません。こういうところがオタクっぽくて良いですね。

インターネット探索方法


 どんなところを徘徊してこんなソフトを集めてきたのかとROMROM君に尋ねたところ、最初はサーチエンジンで「エミュレーター」とか「あやしい」とかの言葉を入れて引っかかったところを回っているうちに、手応えのありそうなところからリンクを辿ってまわったのだと話してくれました。Yohhoのようなジャンル別になっている検索サイトではこうした世界は排除されているので、サーチロボットを使っているgooのような検索サイトから辿る必要があると言っていました。エミュレーターソフトはすぐに手にはいるでしょうが、いろいろな種類があるためどれが再現性の高いものなのかを見つけることも大切です。また、ここから先は違法領域となりますが、アプリソフトを探し出してくることも面白さです。これはどうして集めるのかと聞くと、細かくサーチしているとリンクしているところから時々「お宝」を見つけることが出来るそうです。掲示板などの書き込み情報はとても大切だとも話してくれました。彼は今ではそうした関係のブックマークは相当な数になっているそうですが、基本的にはキーになっているサイトを固定的にまわっているそうです。 開発している人たちのエネルギーにも脱帽しますが、こうした探索者にも感心してしまいます。彼が話してくれたNINTENDO64のROMなどは非常に複雑なやり方でアップされているため、ダウンロードは相当に難しいようです。まず、ROMカートリッジに入っているROM容量は32MBですから、そのあまりの大きさにプロバイダーに見つかってしまう、ダウンロードに時間がかかりすぎると言ったような問題があるため、いくつかのものに分割アップしているそうです。しかも、それの分割ソフトは表面上は画像ソフトのような顔をしていて、それは単純に拡張子を変えているだけでなく、実際に画像が現れるそうです。しかし、その中に実行ファイルが隠されていて、それを抽出するソフトと合成するソフトもあって、それも見つけだしてこなければならないと言う話です。こりゃあ、なまじの根性ではダウンロードもできないぞ。私は根性がないので、寝てしまうことにしました。ROMROM君、頑張ってね。

AMDの躍進


 インテルからPentiumVが発表されると、AMDからK6-Vが発表されました。やるもんですね、AMD。このCPUの評判はなかなか良くて、同一の周波数ならPentiumVよりも高性能だという話が伝わってきます。浮動小数点演算性能ではPentiumVの方が優れているが、MMXの拡張命令であるSSEはAMDの3DNow!に及ばなかったと「日経バイト」には指摘されている。数年前のCPU市場のおいてはインテルが高性能分野、AMD以下の互換チップメーカーは普及分野と完全に棲み分けが出来ていたのだが、アメリカにおける1000ドルPCの普及は新しい世界を生み出したようです。つまり、この市場があまりにも大きくなりすぎたため、インテルは急遽Celeronを登場させなくてはならなくなるし、ここで純益を上げたAMDは高性能CPUの開発が出来たため、市場棲み分けから全面戦争の形になってきたようです。次世代CPUにおいてもAMDはK7というCPUを発表して、インテルの後追いから対等の勝負を仕掛けるほどの勢いを感じさせています。実際の市場においてはまだまだインテルの独占場ですが、大手のパソコンメーカーでAMDのCPUを使わないと言い切っている企業はもはやなくなってきています(大手でインテルCPUしか使っていないのはDELLだけ。ここだってもう腰は上げているでしょうね)。数年前なら考えられなかったような世界です。かって、エプソンはNECに対抗するためにAMDの互換286を用いたわけですが、パソコン市場が386CPUに移行する過程で、インテルから満足に386が供給されなくなってNECに水をあけられたことがありました。今まで大手のパソコンメーカーは、現在のCPUの供給の問題もさることながら、次世代の保証がない互換メーカーに対して一線を画してきていたわけですが、どうやらAMDはこの点をK7の提示でクリアしたようです。やるもんですね。
 OSにしたところで、数年経つとどうなっているのか分からないですよ、マイクロソフトさん。



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