OMATSURIKOZO HOMEPAGE RANDOM ACCSESS 2000-05
OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス
2000年5月号
連載157

感動ですね,パソコン世界
今日の強権者は明日の敗者か

インターネット世界に潜む
可能性と淫媚性,表と裏は


 山には若葉が映え、野や畑には花が咲き乱れる季節になりました。本当に美しい季節です。こんな事を今さら思うのも、この冬の終わりに父が亡くなったからなのでしょうか。「命」というものの素晴らしさを感じさせてくれるのがこの季節だからでしょう。みなさん、今年のゴールデンウィーク、どんな予定を立てていますか。私はこのゴールデンウィークにはベネルクス3国を廻ってみようと計画していたのですが、父の急逝によって今年は断念してしまいました。でも、ゴールデンウィークの終わりの頃からやっぱりオランダに出かけなくてはならなくなりました。もっとも仕事なので...。ということで、来月号の記事、間に合うだろうかと今から心配しているところです。

まだまだ激動するかパソコン戦国期


 今月にも色々な事件が起こりましたね。Microsoftの敗訴。ハイテク・インターネット関係の株の暴落。インテルのLinuxへのオープン化対応。でも、こんな事はパソコン関係の事件として言うならいつも起こっていることです。つい、先だってまでは、「Microsoftはソフト業界の悪の権化」だと言った調子で語っていた人も、「パソコン世界などはまだまだ未成熟の技術に彩られているのであって、Microsoftの栄華もつかの間の夢だ」と言い出して来たりもしています。つまり他の業界と異なり、この世界での絶対性はかなり不安定であるということを認めているわけです。私もその通りだと思っています。私がしばしばこの「ランダム・アクセス」で語ってきたことのひとつに、「自分がこの世界で飯を食ってなくてよかった」というのがあります。あまりに技術革新の早いこの世界では、今日の栄光は明日の転落と言うことが多いため、ユーザーとしてみている分には面白いのでしょうが、供給者というか業者にとっては本当に息が抜けないものがあると推察してしまうわけです。パソコン世界に興味を覚え、常にこの世界を見続けておよそ20年が経ちますが、その世界の変遷は私のビジネススタイルにも大きな影響を与えてきました。「絶対の存在」と思われていたものがたったの数年間のうちに「One of them」に転落する、あるいはそうした存在でもなくなり消滅してしまうという歴史を見続けていると、現在のリストラ騒ぎなんて当然というか、パソコン世界の動きが経済世界全体の波及したに過ぎないのだと達観したりするわけです。しかも、インターネットの窓を開けてしまったパソコン世界は、もはやパソコンという小さな世界に留まってはおれないと言うことさえも考えさせてしまいます。

携帯電話の隆盛


 NTTドコモのiモードが売れて売れてとうとうハングアップ寸前のところに来たそうです。数ヶ月前、日本最大のプロバイダはiモードだという話を書いたことがありますが、先月とうとう携帯電話の加入者総数が常設電話加入総数を上回ったというニュースを聞きました。10数年前、大きなBOXに収められていた自動車電話はあっという間に小型化され、あっという間にビジネスマンだけでなく中高生までが持つようになってしまいました。これはその機能が素晴らしかったと言うだけではなく、私のようなハード=金、ソフト=サービスといった概念を持つ人間に対して、携帯電話機はただ同然・サービスに金を使ってくれと言った販売方法の巧妙さが受けたのでしょうね。常設電話を申し込むと今でも加入金7万円が求められるのは、資本を持っていなかった電電公社時代の古き伝統(?)を守っているのでしょうが、これでは手軽に加入できる携帯電話の利便性にはかないませんよね。この事業のやり方をうまく作り上げたのが「光通信」という会社で、昨年ここの社長が一躍長者番付に登場して驚かせたわけですが、今年になってどうも風向きが悪くなってきたようです。まあ、伸びるときには伸びるのでしょうが、これだけ携帯電話が普及してしまえばその伸び率は当然下がってくるわけです。ハイテク・インターネット関連会社の脆弱さを見せたようですが、ソフトバンクの孫さんではありませんが、こうした人たちはなかなかしたたかで、また次の手を考え出すのでしょう。やはり凡人ではありません。
 さて、iモードは電話機の出荷台数を抑え、当分基地や中継局の整備にいそしむと言うことらしいですが、思いがけない急展開はしばしば混乱を招くものです。でも、これから先日本人は電話機をひとり数台の時代になってくるのでしょうかね。

小説「クラッシュ」に見る電脳世界


 そこで、もう一度現状のLAN環境というか、無線環境を復習してみましょう。私の会社は私が常勤している本社だけでなく、他に2つの事務所がありますが、先般私が悪戦苦闘して設定したISDNルーターを導入したのはそのひとつの事務所です。ここはあまり年寄り達の目が光らないと言うか、事務所に常勤しているメンバーがある程度パソコンに精通しているものですから(?)、使い方さえ教えておけばそれなりに活用してくれる一番小さな事務所だったからできたことで、これが雑多なメンバーがいる本社ではなかなか理解が得られないわけです。その上、現在の会社の中に新しくLANケーブルを這わせるというのは難しいわけで、ここで導入するのなら無線LANだろうなと考えています。現在の無線LANといえば、有線のEthernetへとリンクできる形でつくられているものが多いわけで、この規格というのは各社独自のものが多いため、ひとつのものを導入すると後もそれを導入し続けなければならないと言う問題点もありました。しかも、その速度の多くは2Mビット/秒のものが主流で、10BASE接続というのが常識でした。ところが昨年の末、11Mビット/秒の新規格である「IEEE802.11b」という規格ができたため、各社がこぞってこの市場に参入してきました。メルコは「AirStaion」という無線端末の親機の機能と有線LANへのブリッジ機能を備えたアクセス・ポイントである低価格な製品を発売しました。その価格は3万台で、無線LANカードの価格も1.5万円程度までこなれてきています。もっともパソコン本体の価格が5万円程度の時代となっているわけですから、当然といえば当然なのでしょうが、こうした製品を用いればケーブル施設が億劫な事務所などでも簡単にネットワークが組めるわけです。私もこれを考えてみようと思っているところです。

インターネット世界の詐欺行為


 インターネットといえばネットオークションが大流行のようですね。嵌ると止まらなくなると言った参加者の話が雑誌などでよく見かけるわけですが、チャットとよく似た世界なのかも知れませんね。オークションに参加するメンバー達にある種の共通の仮想空間を提供し、それがまあ実利的なものにもなるかも知れないと言う満足感は、インターネットが持つ仮想空間と同一性を孕んでいるのかも知れません。とはいうものの、またこれにつけ込んで詐欺行為を働く人間達が登場し、金を振り込んでも品物が届かないと言った苦情が新聞などにしばしば出てきています。「クラッシュ」ではありませんが、このインターネットの世界では我々が想像もできないテクニックを持ったプログラマー達もたくさんいて、彼等の中にはクラッカーとして他者に悪意に満ちた行為をする者達が居ると言うことを肝に銘じている必要があるのかも知れません。もっともインターネットオークションなどで詐欺行為に及んでいるのは、そこまでインターネットのなんたるかを認識している犯罪ではなくて、単に今まで行っていた犯罪行為の方法をインターネットに持ち込んだだけですから、私達が注意しておかなければならない点は通常の取引において注意しなくてはならないことと同じです。新聞などを読んでいてよく思うのは、こうした犯罪行為をインターネット固有の犯罪行為として語っていることです。これから先、ますますインターネットにかかわる犯罪行為は増えていくでしょうが、これをインターネット固有のものと一般的な犯罪行為がインターネット上で起こったと言うものを見分けて考える必要があるでしょう。

ビジネスモデル特許


 もう一つインターネット関係で注目すべき問題が出てきました。これは単にインターネットだけの問題ではなくて、日本とアメリカの特許に関する認識の違いも現れていて、今後インターネットなどで国際間の枠がはずれたときに起こる新しい係争事件の幕開けなのかも知れません。
 インターナショナルサイエンティフィック社(IS社)という会社から数多くのインターネットプロバイダー事業者に"日米で取得したという「インターネットの時限利用課金システム特許」に基づく警告文"が届いたという話です。IS社は、ビジネスモデル(BM)特許を盾に、同様の仕組みを採用している事業者にライセンス契約の締結を促してきたそうです。このBM特許という概念は、日本ではまだ成立していないものの、米国では本のインターネット通販で飛躍的に伸びたAmazon.comが、書籍販売のBarnes&Noble社を提訴するなど、いくつかの権利侵害紛争が顕在化しています。この係争の決着はまだでてなくて、これは米国でも論議を呼んでいるわけですが、とうとう日本でもBM特許を武器に係争が始まったというわけです。ビジネスモデルという言葉の定義自体も現在では曖昧で、一般に「儲けを生み出す具体的な仕組みを内容とする特許」といわれる程度なのですが、「儲ける仕組みといっても人為的な取り決めだけでは特許の対象にならない。アイデアを具体化するソフトウエアなどの仕組みが必要」というのが日本での考え方の主流だったわけです。しかし、「アイデア」だけで特許を認める米国世界の考え方が日本でも普及するとなれば、ビジネスのやり方に大きな変換が訪れることだけは確かだろう。しかしながら、あまりにも包括的な特許というのは危険きわまりないと感じてしまうのは私の頭が固いからなのでしょうか。。

小型メモリの行方


 会社の大先輩がデジタルカメラを購入したのです。彼は定年退職してから我が社に顧問としてきて貰っている人で、もう65才を越えているのですが、未だに好奇心の固まりのような人で、前の会社の定年前にパソコンを購入してインターネットにも接続するようにしたのです。私の会社に来てからもハードディスクのバックアップ用にとMOを購入したり、ISDNを導入したりといろいろ自分で本と格闘しながらパワーアップしていました。その彼が数ヶ月前からデジカメをどうのと言う話をしていたところ、ソニーのサイバーショットを購入したというのです。彼のノートパソコンはWindows95なのですが、サイバーショットのパソコンへの接続はWindows98でないとダメだと書いてあって、弱っていました。「そんなことはないでしょう。コンパクトディスクやフラッシュメモリが載っているわけだから、それは簡単にノートパソコンに接続できますよ」と図を書いて説明しているうちに、「あっ、そうか、ソニーはメモリスティックだった」と思い出したのです。今回メルコからメモリスティックにも対応したカード・リーダーが発売されると書いてあったので、それを検索してみると対応はしているがソニー製のPCカード・アダプタが必要となるとのこと、やっぱり私はカメラの性能がどうかという以上に汎用のメモリの方がいいなと思ってしまったわけです。PS2にメモリスティックが標準に採用されていればもっと爆発的に普及したのでしょうが、またひとつ新しい標準が生まれただけのような気がしてなりません。
 そういえば、また新しいメモリカードというか、小型メモリが登場してきましたね。「Thumb Drive(サム・ドライブ)」という名で、これはUSBのスロットに直接差し込むことができるチューインガムサイズの小型メモリで、現在のWindows98マシンでは新しいスロットがまったく必要ないという点で画期的ではあります。新日エレクトロニクスという会社から発売されるのですが、同社のWebサイト(http://www.shin-nichi.com/)か電話かの通信販売だけで取り扱うと言うことなので、これも普及という点では怪しいですね。まあ値段は手頃というか、16MB版が5980円、32MB版が9980円、64MB版が1万6800円、128MB版が3万2800円といったもので、これの中身はフラッシュメモリのようです。これがデジカメや他の周辺機器に簡単に接続できるようになれば、ハブ経由で面白い遊びができるようになるかも知れませんね。まあ、他人が持っていないうちにちょっと見せびらかせるのは面白いおもちゃでしょう。あまり先走りすぎても高いおもちゃになるということは、私が購入したMPmanにもあるわけですが、あまり金額が張らないのでちょっと興味を覚えているところです。
 面白いおもちゃといえば、任天堂のゲームボーイを制御器として用いる電動ミシンが発売されるそうです。昔は花嫁道具に必ずミシンがついていて、子供達の服などは母親が縫っていたものですが、最近は店に行けばピンからキリまでの服が並んでいて、家庭内にミシンなどは見かけなくなってしまいましたね。それでも、個性的な物を作りたいと思ったらやっぱり手縫いのミシンは離せません。小型でCPUが入ったマシンが登場してきて、ゲーム感覚で服作りをしている人たちもいるそうです。家庭用ミシンは、価格5万円以下の電動ミシン、電子装置を組み込んで制御する価格5万〜10万円程度の電子ミシン、そして価格10万円以上のコンピュータミシンに大別されるそうなのですが、ジャガーではこのコンピューターの部分にゲームボーイを当てることによって低価格なミシンを発売するそうです。面白い発想で、楽しくなってきました。ミシンだけでなく、それこそインターネットレンジよりゲームボーイレンジの方が実用的かも知れませんよ、シャープさん。



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