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どんどん夏めいた日が続いています。もう気分は夏と言いたいところですが、その前に訪れるのが梅雨です。日本の経済にとっては夏は暑く、冬は寒く、梅雨にはしこたま雨が降ってといったように、基本的な季節の風情を満たすことが肝要なのでしょうが、いかんせん自然というのは気ままなもので、しかも最近はこの自然界に人間達のハイテク生活が及ぼす影響というのが強いらしく、ますますややこしい時代になってきているようです。でも、太陽がじりじりと照りつける夏というのは素晴らしい季節です。少しくらい雨が多くても辛抱しましょうね。 さて、私は先月号でお話ししたように、オランダ出張のまま原稿の締め切り日を迎えるわけで、こりゃ困ったと少し前に書き上げることにしましたから、今月号のお話は少し時期を外したものも多いかも知れませんが、ご勘弁を。
無線って信頼できる?
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ということで、何から始めようかと思っていたら、"「Pocket PCにもBluetoothを!」米Socketがデモ披露"という記事を読みました。これって、新しい無線通信規格であるBluetooth、それをMicrosoftがパームトップに対抗して出すというPDAであるPocket PCに載せようと言う話なのですが、私はノートパソコンの赤外線通信というやつでイマイチだったものですから、どうも無線というと構えてしまう傾向があるのです。しかし、時代は確実に無線時代に突入していることは分かります。先月号で、電話も常設有線電話時代から携帯というか無線電話が主流の時代になったということを書きましたが、でも今のところ私は携帯電話を好きになれません。というのは、やはり無線の状態によって通話状態が悪いことが多く、正確な話でなくてはならないビジネス上の会話はいつも有線電話の方に切り替えている経験があるからです。簡単な話ならいいのですが、きわどいというか込み入ったビジネス上の会話を怪しげな通信状態の無線電話でやっていると行き違いなどが起こることがあるため、確実な通話状態のとれる有線電話に代えるわけです。これはノートパソコンの赤外線通信にも言えることで、遊びとして使うことは面白いのですが、なかなか使えない通信を仕事で使おうとは思わなかったのです。
確実なものしか会社で使えない
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私の会社でも最近はパソコンをそこそこに導入していますが、数年前までは私以外にはパソコンを使えないため、あまり真剣にパソコン導入を進めていませんでした。ある時社長に「新しいパソコンを購入したいのですが...」と話しかけたとき、社長は「この間購入したパソコン(*このパソコンも当時数年前に型落ちのものを安く買い入れて使っていたものでした)、あれはまだ使えるでしょう。そんなに無駄遣いをしなくてもいいのでは..。それに、誰がパソコンを使うの?」と言われてしまい、言葉を返せなかったことをこの「ランダム・アクセス」に書いた記憶があります。こういった事情があるものですから、会社で使うパソコンというか、ソフトというものは私が使い込んで、確実に生産性を上げるというもの以外は購入しませんでしたし、結論としてはいつも1時代遅れた確実なシステムしか導入してきませんでした。本当にコストパァフォーマンスと言うことを第一に検討してきたものです。常に我が家が会社システムの実験台であったという経験を持たれた方は「PC通信」の読者には多かったことでしょう。社長も最近は時代の流れを感じたのか、私の言うことが分かってきたようですが、「パソコンは貴方の趣味だから..」と言われたことは、「仕事」と「趣味」を分けて考えてきたと思っていた私にとって”パソコンを知らない人にとってはそういう目で見られているのか”と実感したものでした。ですから、我が家のシステムは常に最先端、会社のシステムというのは常に1世代遅れというのが今もっての私の会社の常態な訳です。
最近のLAN環境
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そこで、もう一度現状のLAN環境というか、無線環境を復習してみましょう。私の会社は私が常勤している本社だけでなく、他に2つの事務所がありますが、先般私が悪戦苦闘して設定したISDNルーターを導入したのはそのひとつの事務所です。ここはあまり年寄り達の目が光らないと言うか、事務所に常勤しているメンバーがある程度パソコンに精通しているものですから(?)、使い方さえ教えておけばそれなりに活用してくれる一番小さな事務所だったからできたことで、これが雑多なメンバーがいる本社ではなかなか理解が得られないわけです。その上、現在の会社の中に新しくLANケーブルを這わせるというのは難しいわけで、ここで導入するのなら無線LANだろうなと考えています。現在の無線LANといえば、有線のEthernetへとリンクできる形でつくられているものが多いわけで、この規格というのは各社独自のものが多いため、ひとつのものを導入すると後もそれを導入し続けなければならないと言う問題点もありました。しかも、その速度の多くは2Mビット/秒のものが主流で、10BASE接続というのが常識でした。ところが昨年の末、11Mビット/秒の新規格である「IEEE802.11b」という規格ができたため、各社がこぞってこの市場に参入してきました。メルコは「AirStaion」という無線端末の親機の機能と有線LANへのブリッジ機能を備えたアクセス・ポイントである低価格な製品を発売しました。その価格は3万台で、無線LANカードの価格も1.5万円程度までこなれてきています。もっともパソコン本体の価格が5万円程度の時代となっているわけですから、当然といえば当然なのでしょうが、こうした製品を用いればケーブル施設が億劫な事務所などでも簡単にネットワークが組めるわけです。私もこれを考えてみようと思っているところです。
新規格「Bluetooth」
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このような有線LANに近い使い方をしようとする無線LAN規格に対し、話を始めに戻すと「Bluetooth」という規格は近距離無線データ通信技術です。約10m位の範囲をカバーする無線技術で、これを使うとパソコンの回りからケーブル類がなくなるとか、現在のモービル環境全てをサポートできるとか、いま注目の無線技術なのです。Microsoftが次世代のWindowsロゴを取得する必須条件にBluetoothへの対応を明らかにしたように、USB2.0規格と共に次世代PCには不可欠な仕様となるため、ここでちょっとした知識を勉強しておきましょう。このが注目されているのは、正式に仕様が固まってきたということのほかに、当初かなり価格が高くなるのではと言った危惧があったものの送受信用機器の低価格化に目処がついたことと、日本国内での利用周波数の規制が緩和されそうなため、この規格が日本でも利用可能になるという点が大きいのです。では、近距離の無線環境とはいってもどんな性能なんだという声が聞こえてきます。 これによく似た技術としては、先に私が書いたノートパソコンとPDAの間などで既に使われている赤外線通信規格IrDAがあります。しかし、こちらは直進性が高い赤外線を使うため、あいだに障害物があると通信が行えないばかりか、ちょっとでも機器の位置がずれると通信が途絶えてしまうため、どうも使い勝手に今ひとつといったものでした。現在私が使っているケーブルレスマウスもこれですから、使い勝手がいまいちなわけです。それに対して、Bluetoothは無線規格であるため、直進性など関係ありません、問題は通信速度というか応答性だけということになります。使用する周波数は2.4GHz帯、最大データ転送速度は1Mbps(実質721kbps)、通信距離は10メートル。というもので、通信速度そのものはそんなに早いものではありませんが、1MHz毎に79個のホップと呼ばれるチャネルを設定し、1秒間に1600回切り替える周波数ホッピング方式というノイズに強いデータの送受信を行うことができるそうで、様々な使用方法が生まれてきます。Bluetooth対応機器は周波数ホッピングパターンを決定するマスター(親)とその通信相手となるスレーブ(子)で構成されます。マスターは一度に最大7台のスレーブと同時に通信が出来、マスターとスレーブを合わせた8台で作るネットワークをピコネットと呼びます。またスレーブは複数のピコネットに属することが可能ということです。パソコン本体にマスターを導入すると、キーボード、マウス、プリンターといったものがケーブルレスで繋がる可能性もありますが、現在USBの普及がめざましいことから、こうした可能性よりも、携帯電話やノートパソコン、PDA、家電製品などとの連携から始まっていくことでしょうね。会議室なんかで全員がノートパソコンを取り出すと、マスターのサーバーと繋がって各自のパソコンでプレゼンが展開するなんて事になるのでしょうが、私の会社のような小さなところではいつこんな事になるのでしょうかね。
HPA液晶ノートパソコン
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パソコン販売は相変わらず好調のようです。あまりパソコン導入に積極的ではなかった我が社でも、少しずつパソコンを導入してきていますから、時代の流れというものでしょうね。私が訪問しているゼネコンの現場事務所では各自がノートパソコンを持ち込んだり、事務所で購入したりで、おおよそ全員がパソコンを使っている時代になりました。数年前、Windows98が登場したとき、これからは事務所内でLANですよと話したり、組んであげたりしたことがありましたが、今ではどこの事務所もLAN環境を最初から作っています。我が社ではあまりパソコンを使う機会がなかったので、事務系でしか利用していませんでした。しかし、これでは時代に遅れてしまうと、工場にもパソコンを導入しようと、パソコンの購入と講習を始めることにしました。パソコンといえば高いものという意識しか持たない年寄りに理解を促すため、できるだけ安いものをとインターネットで購入することにしました。ノートパソコン数台とデスクトップを購入したわけですが、1台平均10万円程度という計画を立てて調べました。ソーテックや高木産業には12万円程度のノートパソコンがありました。彼等に利用させようと考えているのは、CADとシーケンサですから、通常のソフトが入ったパソコンなんて関係ありません。また、使用目的がはっきりしていますから、それさえ満足する性能があればいいわけです。しかし、この安いノートパソコンの液晶というのがHPA液晶というもので、TFTが標準となってしまった今日、これはどんな性能なんだろうと少し考え込んでしまいましたが、この時代あまりにも酷い液晶ではないだろうと考え直し、エイヤとばかり注文してしまいました。あとでこのHPA液晶というのを調べてみると、要するにSTN液晶の改良版だったわけです。液晶が登場した当時、あまりにTFTが高くてSTNの初期改良版であったDSTNがよく売れた時代がありましたが、TFTの価格がこなれてくるに従ってDSTNの製品は市場から消えていきました。HPAという名前は、単純マトリックス液晶を改良しコントラストと応答性を高めた液晶を総称する用語で、STNとの差別化を図るため使用がすすめられている、という注釈を見て理解できました。パソコンが届いた日、私は出張で出かけていたのですが、帰ってきて「カラーはどうだった?」と若い社員に訊ねたところ、「何か問題でもあったのですか」と聞き返されました。私が今度のパソコンの液晶はTFTという最近の標準液晶でないことを説明すると、「そんなこと気がつきませんでした」と応えるのです。実際に自分で確認すると、やはり視野角度はTFTとは大違いですが、正面から見る限りはなかなかのものです。会社で用いる使用目的のはっきりしたパソコンというのは、性能と価格を見比べてコストパァフォーマンスの良いものを選ぶべきだと再確認したわけです。
肝心の講習ですが、パソコンを持っているメンバーでさえもキーボードが満足に打てなかったり、Windowsの基礎操作を理解していなかったり、大変なものです。あまりパソコンに興味が持てない人たちにとっては苦痛以外の何者でもないのでしょうが、社内レベルの向上と言うことを考えれば、やらさざるを得ません。互いが同じレベルということから、人よりも先にという競争心が芽生えてきてくれると嬉しいのですが...。
Duron登場
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Soket7とK6シリーズで低価格市場を賑やかせたAMDでしたが、Soket7時代からSlot時代、再び新しいSoket370時代へと変遷するマザーボードの行方にとうとうK6シリーズを終了してしまいました。では、全面的にAthlonにシフトするのかな、これじゃインテルのCeleronに対抗できないぞと思っていたら、インテルと同じ戦略を採ってきたようです。「AMD Duron(デュロン)」というCPUで、Athlonと同じコアを利用して、Athlonとの違いは二次キャッシュ容量が少ないことというから、PentiumUとCeleronの関係と一緒です。まだ私も詳しいニュースが分からないので、差込形状がどうなっているのか知りませんが、やっぱりSoket370になっているでしょうね。とにかくAMDが頑張ってきてくれたためにCPUの価格がどんどんこなれたものになってきたわけだし、高性能化のスピードも上がってきたわけですから、Duronの性能には期待したいものです。
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