OMATSURIKOZO HOMEPAGE RANDOM ACCSESS 2000-09
OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス
2000年9月号
連載161

PentiumVとAthlon1GHz対決
頑張れ AMD!

インターネットを廻り
「.NET」とe-BIOS


 今年の夏は暑かったですね。いや、過去形ではなくまだまだ暑さは続いています。暑さ寒さも彼岸までといいますから、今しばらくこの暑さを楽しむことにしましょう。夏休み、いかが過ごしましたか。どこにも出かけない夏休みというのは暑さに参ってしまうだけといった感じで、ちょっと淋しいものがありましたが、父の初盆をゆっくりと過ごすことによってなんだか日本の夏ってこんな感じだったのだという郷愁を覚えてしまいました。

PentiumVとAthlonの1GHZの対決


 さて、この夏のパソコンの話題といえばどの雑誌も取り上げているインテル・PentiumVとAMD・Athlonの1GHz対決ですね。私もそうですが、最近の我がPCユーザーズのメンバーはとことんの先行ランナーからは脱落して、ちょっと斜めに構えながらコストパァフォーマンスが高くなったものを買っているという傾向があるわけですが、やっぱりこの1GHz対決というのは興味深いものがあります。2000年という区切りのよい年に1GHzという大台に突入したCPU、しかもインテルにダントツ引き離されていたAMDがここに来て俄然頑張っているというのが面白いわけです。

SlotからSocketへ


 ここで少しPentiumV・Athlonについて整理をしておきましょう。インテルもAMDもPentiumVとAthlonという同じ名前で高速なチップを発表し続けているわけですが、どちらのチップも中身が変わってきていることはみなさんご承知でしょう。詳しくいえば色々ありますが、簡単にいえば2次キャッシュをチップ上に組み込んできたというという点にあります。そして、その結果CPUはますます高速になったわけですが、チップの形が変わりSlotタイプのCPUからSoketタイプに逆戻りしているという点です。インテルがPentiumUに移行しようとした当時、2次キャッシュを外付けからひとつのSlotにまとめるアイデアを考えだし、特許でガチガチに固めたSlot1を提案してきました。当時互換チップがSoket7という土台のもとではかなりの勢力を有し始め、外付けであった2次キャッシュではCPUの能力は制限されると考えたインテルは、ひとつのパッケージの中にCPUと1次キャッシュ(これについてはi486 からCPU内部に採用されている)2次キャッシュを梱包することで他社と差別化を図ろうとしたわけです。これがSlot形式のCPUの誕生です。キャッシュメモリとはメインメモリのデータの一部を一時的に記憶した高速なRAMで、CPU から低速なメインメモリヘのアクセスを減らして処理を高速化する方法として非常に有効な手段なわけです。CPUの処理能力が低かった頃は,RAMへのアクセス時のタイムラグはほとんど問題にならなかったのですが、CPU が高速化するにつれ,RAMへのアクセスが追いつかなくなり,これを解決するためにキャッシュメモリが置かれた様になったわけですが、これを高速なやり取りができるCPU内部に取り込もうしたのが、この間のCPU改良の要であったわけです。インテルはKatamiからCoppermineへ、AMDは旧タイプからThunderbirdへと昨年末から今年にかけて急激な転換を始めてきたわけです。両者ともこの改良によってその能力は格段にアップされ、しかもCPU内部に1次キャッシュだけでなく2次キャッシュまで内蔵したわけですから、もはや複雑な構造であったSlotタイプは必要なくなってきました。この流れは当然下位CPUであるCeleron・Duronにおいてはますます顕著です。簡単な構造であるSoketタイプに上位・下位のCPUがさせるわけですから、汎用性はぐっと上がってきます。とりあえず下位のCPUでマシンを作り、CPUの取り替えでパソコン能力をアップグレードできるというのは魅力的な方法です。ただ、Soket7の時代とは異なりそれぞけの会社で仕様が違うため、インテルではSoket370、AMDではSoketAというのはちょっと頂けませんがね。

AMDの大攻勢


 この夏、AMDはAthlonの大攻勢をかけてきました。Athlon 1.1GHzを発売しただけでなく、Athlon 1GHzに至っては5万円台前半に突入してきました。さて、この攻勢にたいしてインテルはどう動くのでしょうか。次世代CPUの商品名をPentium4という名前にしたという発表はあるものの、未だにPentiumV1GHzの歩留まりが悪いインテルとしてはどんな反撃を見せるのか、興味深いものがあります。もっとも判官贔屓の強い私としては、ここで少しAMDに頑張って貰いたいと願うだけです。

Microsoft「.NET」とは?


 さて、ハードウェアの話としては上記のようなCPU戦争があるわけですが、ソフトウェアの方も新しい動きが出てきています。Microsoftが発表した「Microsoft.NET」です。WindowsNTの後継であるWindows2000を発売し、この秋にはコンシューマ向けの最後のバージョンであると銘打ったWindowsMEを発売するMicrosoftですが、どうやら彼等にはパソコンの世界での戦争は終了した、新たな世界での開拓を始めなくてはならないと考えてきたようで、「Microsoft.NET」構想はパソコンの領域を逸脱してWeb世界を対象とした新しいWindowsの提案のようです。この考え方そのものは例によってMicrosoft独自のものではなく、数年前に提案されたWebブラウザとJavaとNC (Network Computer)で、Windows支配を破ろうとしたモデルによく似ているのです。当時においてはインターネットのインフラがそれほど整備されていなかったため、今ひとつリアリティがなかったわけですが、急激に普及してきたインターネットインフラがMicrosoftをしてその道に追い込んだようです。もっともMicrosoftにしても素直にそれを認めるわけがないですから、例によって手の込んだすり替えを行っていて、Javaに代わる開発言語であるC及び C++言語の開発システムを継承しているというC♯言語というものを用意し、OSやCPUに依存しない新しい環境での「バーチャルWindows」というものを作り上げようとしていると思われるわけです。
 もっともこのあたりについては専門家でない私には詳しくは分からないのですが、Microsoftまでが次世代を見越してWindowsの引っ越しを考えている、しかもそれを対外的に発表したという事実に注目するわけです。次世代の中でMicrosoftが生き残るのか、敗北するのかは分からないわけですが、どうやらインターネットの普及はもっともっと凄いことが起こる幕開けなのかも知れないと感じさせてくれます。
 今年の始めにインターネットは確実に常時接続時代に突入すると書いたわけですが、この勢いはますます過激になってきているようです。私の家でもケーブルテレビ回線でインターネット常時接続となりましたが、今年に入ってからどんどん廉価な固定料金で常時接続を実現するサービスが生まれてきました。NTTが始めた指定プロバイダへの固定料金サービスなど、数年前にはとても考えられなかったサービスですが、今回発表されたNTT-MEと大京の光ファイバーと無線の常時接続サービスなどを見ると、もはや電話回線を用いたダイアルアップ接続などは古のインターネット接続方法になってしまったのかとも思ってしまうわけです。確かに、この数年のインターネット熱というのは熱病かとも思うほどの盛況で、パソコンの普及率などを見ると、昔を知る私なんかにとっては信じられない思いを持つわけです。数年前には日本にはインターネットに接続するインフラがまだまだ整っていないから、インターネットの普及はなかなか進まないだろうなどとまことしなやかに言われていましたが、どうもこの間の動きはインフラの方が進みすぎて、実際には使用する人たちの方が戸惑ってしまうのではと思ってしまうのは私のひが目でしょうか。だって、かの昔にBasicができないからとパソコンを押し入れにしまった多くの人を見、現在でもインターネットに接続すると言ってパソコンを購入したもののプロバイダにも接続できないまま埃を被っているパソコンを持つ人たちを多く見ている私には、このインフラの整備は「鶏が先か、卵が先か」と言った皮肉を感じてしまうわけです。

女房に取られたパソコンとその後


 というのは、先月号で私が冗談で購入したパソコンセットを女房にとられた話をしましたが、彼女のパソコン体験というのがまさにそれなのです。彼女のために設置したパソコンですが、当然インターネットにも接続できるようにしました。メールBOXをどうするかと考えたわけですが、簡単にできるようにWebメールであるhotmailに登録してやりました。彼女の友人達で、私のメールアドレスに時々メールを送ってきていたところの人たちに女房のメールアドレスを連絡し、女房も当初は時間をかけてメールをしたためていましたが、一二度のやり取り以降はパソコンの電源も入れません。「おいおい、せめて1日に1度はメールの確認はしろよ」と言っても、「うんうん」と生返事ばかりです。そのうちに彼女の友人から「メールを出しておいたけど...」と電話が入ってきます。また、メールを受け取ったことを確認してもその返事は電話でするといった次第です。どうやら、キーボードを叩きつけない彼女にとってはメールのやり取りというのは手紙以上にめんどくさいみたいです。メールというのは、電話のように掛ける時間帯を気にしなくて良い、手紙のように形式張った形でなくても良い、といった利点を了解できないようです。最近、携帯電話でメールのやり取りをしている人たちのメールのルールというものは、どうも私達パソコン通信から入ったものには理解しがたいものがあるのですが、私の女房に至ってはそれ以前のようです。結局、彼女のために与えたパソコンというのは、帰省してきた息子のインターネットアクセスマシンになってしまったわけですが、息子が都会に帰ってしまったこの秋には女房のインターネットアクセスを少し習慣づけてやらなくては...。

e−BIOSの可能性


 またまたインターネット関連の話題となってしまうのですが、VIAから新しいBIOSの提案がありました。e-BIOSといって、BIOSだけでインターネットアクセスを可能にしようというものです。BIOSというのはパソコンの起動を司る最低限のプログラムで、従来のBIOSは基本的に最大でも2Mbitまでのものでした。このBIOSというのはパソコンにおいて非常に重要な位置を占めていて、互換機が互換機である生命線でもあり、かってはこのBIOSを巡る互換機の著作権問題が大きな話題をさらっていたものですが、いまではIBM-PC互換のパソコンというのは当たり前というか、常識となってきたため、BIOS著作権問題などはいにしえの話題となってきています。ということはこの10年以上にわたってまったく進化をしなかったのかといえば、部分的には色々進化をし続け、現在話題の中心でもあるクロックアップなどもBIOSで簡単に設定もできるようになっています。しかし、それらはあくまで従来機能の延長線上の機能であって、革命的な提案ではありませんでした。今回のVIAの提案は、BIOSそのものを4Mbitに拡張して、その拡張した部分に新たな機能を載せてしまおうというもので、その機能の最大の目玉はWebブラウザを搭載しようと言うものです。では、BIOSにブラウザを載せたからといって何の意味を持つのだと言われても、ほとんどのユーザーにはピンとこないかも知れませんが、現在インターネットに接続している人たちにとっては自分のマシンが世界に繋がっていることがどんなに大切なことなのかが分かるでしょう。デバイスドライバをすぐさまインターネットでとってこられるとか、トラブルシューティングに対する回答を得ようとか、切実な問題に対する解答が常に目の前にあるわけです。ところが、パソコンがハングアップしたり、ハードディスクが壊れてしまいWindowsが立ち上がらなくなってしまったら、もはやインターネットにアクセスすることもできません。こんな時、パソコン単体でもインターネットにアクセスする機能があったらWindows環境も再構築することが可能です。つまり、BIOSにインターネットアクセス機能が付いていれば良いわけです。VIAでは、このブラウザ機能の上にE-mail機能やその他のインターネット機能を載せようと言っているわけで、簡単に言えばインターネットに接続するのにもはやWindows環境などは必要ないと言うことも言っているわけです。忙しいときにパソコンの電源を入れ、Windowsが立ち上がるまで数分待ち、その上でWebブラウザを立ち上げてからインターネットに繋がるなんてかったるいわけです。電源を入れたら即座にインターネットに接続することなどi-MODEなどは当たり前、新規に作られる端末機では当然という流れになるでしょうから、パソコンがますます縁遠いものになる可能性が強くなってきているわけです。そんなとき、パソコンを立ち上げて即座にDELキーを押すとe-BIOSが立ち上がり、インターネットアクセスだけはできるなんて良いじゃないですか。もっともVIAそのものもこのアイデアが今後どうなるのか現在マーケッティングをしているということなので、面白いアイデアがあったら教えてやってください。私は本当に面白いアイデアだと賛同しているところです。



returnreturn

ご覧いただき誠にありがとうございました

All Rights Reserved (C) Copyright 1995-2000, ClubOH, PC-CLUB.