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2000年10月号
連載162

台湾旅行に見た
アジアンバイタリティー

CD-Rメディアは目茶安
VCDはまだまだ海賊版世界 でも...


 秋だというのになかなか涼しくなってこない今日この頃ですが、みなさんお元気ですか。夏に雨が少なくて給水制限が行われたかと思うと、9月には集中豪雨に見舞われた地方が出てくるなど大変な年でしたね。火山活動、集中豪雨に見舞われた地方のみなさん、大変でしょうが頑張ってください。シドニーオリンピック、始まる前までは何とも思っていなかったのですが、始まってみるとなかなか熱くなるものですね。女子ソフトボールなんてほとんど見たことがなかったのですが、パワフルな動きに感心してしまいました。メダルの数なんて関係ないやと思いつつも、やっぱりどの位とれるのかなと期待を抱いてしまうのも人情でしょうか。

台北・高雄・・花連の旅


 さて、今月の話題は台湾旅行です。私が近い国なのに行ったことがない国と言うに、韓国と台湾がありまして、韓国には2年前に行って来ましたが、今回は台湾です。実はもう10年ほど前になりますが、拗ねに傷持つ私は「反共」を国是とした国のピザがとれなくて、台湾への申請を出したところ「貴方の入国を我が国は望んでいません」と言われた経験があったわけです。時代は変わり、ほとんどに国で2週間程度までの観光目的にはピザが要らない時代になってきましたから、韓国にも出かけ、台湾にも出かけることができるようになってきました。女房と一緒の旅行ですから、光華商場だけを廻ることはできませんが、2日間の台北自由行動のついた高雄・花連の旅を選んでみました。

入国審査


 台北の空港に到着すると、長い入国審査の行列ができていました。昔デトロイトの空港でこの入国審査が遅れて乗り換え便に遅れたことがあった記憶が蘇ってきました。このところ、ヨーロッパなどではあっという間に通過させてくれるものですから、久しぶりの行列に驚いてしまいました。よく見ると一人ひとりの審査が長いのです。1時間位の待機時間が過ぎ、やっと私達の審査です。まず女房を進ませ、次に私が受けたのですが、パスポートをスキャナでとったり、キーボードを打ったりしているわけですが、何度もやり直しているのです。女房は昔のことがありますから、私の入国に問題があったのではと心配顔で待っています。ディスプレイは審査される側からはなかなか見えないようにカバーを掛けていたのですが、審査官が「ちょっと待って」と言う素振りを見せて何かしたので、ディスプレイをちょっと覗き込んでやったところ、Windowsをリセットしていたのです。どうもパソコンが暴走してしまったようです。そうか、入国管理システムはWindowsなのか、だったらこの遅延はシステム処理が遅いからなのかも知れないと想像してしまいました。再度パスポートをスキャナでとったりしていましたが、あっさり審査を通過しました。女房が「もう心配したんだから」と言うのを聞きながら、「台湾は世界のパソコン工場ではないか、もっと処理の速いシステムくらい導入しとけよ」と心で呟いてしまいました。

台湾の屋台は楽しい


 その日は高雄まで飛び、夜、市内の屋台を廻ってみました。観光案内には屋台の店での食事は衛生上あまり好ましくないとは書かれていましたが、いろんな食材が並んでいる屋台を見ると何か食べてみようと思う気持ちになります。豚の臓物を並べている台には、脳から腸まで何でもありますが、これは女房には向きません。屋台の前の台で食べている人たちを観察すると、発泡スチロールの器の中に入れて貰って食べています。ひとつひとつの器は小さくて家族やカップルで何品か取って食べているようです。その日には現地のガイドさんが同行してくれていたので、彼がこれなら日本人が食べても大丈夫と思われる店で、お奨めを提案してくれたので言葉の問題はありませんでしたが、このやり方なら自分たちだけでも食べれるなと思いました。果物も豊富で、買い求めたパパイヤをほおばりながら散策したわけです。

中国語は簡単?難しい?


 その後花連に廻り、花連から鉄道で台北まで帰りました。中国語の発音というのはまるっきり理解できないのですが、漢字というのは便利なものです。書いているものは簡単な表現なら理解できます。最初は漢字の羅列と思っていたものも、じっくりと見ていれば意味が浮かび上がってきます。ただ、日本と中国ではまるっきり意味が違う使い方をしているものがありますから、これは注意です。「火車=汽車」「汽車=自動車」「機車=オートバイ」「站=駅」といったものなのですが、面白いものに日本にない漢字や古い書体がいっぱいあります。古い書体についてはある程度の想像がつくのですが、上と下が上下についた漢字になると何だろうと思うわけですが、パソコンショップでカード類にみんなそれがついています。英語の表示と中国語の表示が一緒にあるとき、漢字の意味がよく分かります。食べ物屋で「蚤」によく似た漢字を見かけるわけですが、なんで蚤を食べるんだと訝っていたら、卵のことだったのです。パソコンショップでもカード以外にもたくさんのパソコン漢字があります。音の組み合わせの当て字の場合と意味を持った組み合わせのものがあるようですが、女房は中国の人たちというのは自分たちの言葉を大切にしていると感心していましたが、これはどうなんでしょうかね。日本語にはカナというものがあるために外来語を受け入れやすいと言う特徴があっただけなのかも知れないわけですから、一概には言えないとは思いつつ、でも新しい概念を次々に漢字にしてしまう才能には驚きを感じてしまいます。「請勿走」という中国語は、英語にすれば非常に簡単です。「Please don't run」ということになってしまいます。漢文を勉強したとき、「v」や「一」「二」と言った記号を入れて読んだ記憶が蘇ってきます。高校の教師が漢文を単純に日本語化して教えてくれたことを悔やんでしまいました。英語文法と照らし合わせながら教えてくれたのならもう少し漢文世界が広がったのかも知れないと思ってしまいました。

疾走するオートバイ群


 高雄でもそうでしたが、台北について驚いたのはオートバイの多さです。10年ほど前に聞いた話では、1台のオートバイに家族4人が乗っていたというのがありますが、今ではそんな風景は見かけません。ただその多さには驚きます。信号待ちした後一斉に走り出すオートバイは圧巻を通り越して感動さえ引き起こします。ほとんどのオートバイはスクータータイプのもので、数年前からヘルメット着用が定着できたというスタイルは老いも若きも一緒で、広い通りにはオートバイ専用レーンを複数列で連なって走っていきます。何となく活気を感じてしまうのはそうした小さなものの動きがせわしないからでしょうか。

夜市は日本の縁日?


 士林夜市という夜市に出かけたところ、MRTという都市交通(市内は地下で、郊外は地上)の駅を降りたとたん、凄い人混みです。歩道からあふれ出した人たちは車道にまではみ出し、通りの店の前にはびっしりと屋台が連なっています。食べ物屋、射的屋、エビ釣り屋、小物屋、まったく日本の縁日と一緒ですが、どこの路地に入り込んでも人が溢れかえっています。うろうろしているうちに自分たちが今どこにいるのか分からなくなるほどの迷路に入り込んでしまいます。これは土曜日の夜市だったからそうなのかどうかは分かりませんが、まったくアジアンバイタリティを感じさせてくれます。人の顔かたちはまったく日本人と同じですが、言葉だけは通じないという変な違和感を感じます。ここまで来た以上しっかりと楽しんでしまおうと、食事も屋台で済ますことにしました。店でどうやって注文しようかと迷っていたら、注文票を持ってきてくれました。中国名でメニューが書かれているものに数を書き込めということらしいのですが、どんな料理なのかは分からないまま、「肉」「魚」「麺」「飯」という組み合わせを見ながらエイヤと決めてしまいます。一品ずつの量はそれほど多くないのでたくさん注文しなければ問題はありません。喉が渇いたので飲み物をと思ったのですが、女房が水だけはダメよと注意します。だったらパパイヤと牛乳の「木瓜牛乳」だったらいいだろうと言うと、氷の中に問題があるかもというのです。缶ジュースでも買えばいいのでしょうが、やはり夜市のものが飲みたい。作っているのをじっと観察したところ、冷やした牛乳とパパイヤ、砂糖をミキサーで混ぜているだけのようなので買って飲んでみました。美味しい。そうなったらだんだん大胆になってきました。肉まん、ドーナツ、いろんなものを買い込んでは食べてみました。昔の縁日の楽しさを思い出してしまいました。

台北の足 MRT


 さて、台北の足ですが、タクシー代は安いとはいえ私は仕事柄公共交通機関が好きなのです。台北の公共交通機関はこのところ急激に完備されてきたそうです。地下鉄の駅は広くて快適ですし、地下街も整備されてきています。MRTの初乗り料金は20元(75円)ですから、市内観光はもっぱらこれに決めることにしました。1日乗車券というのがあって150元です。これを購入すると裏に名前を書かされますが、かといって証明書と一緒に出せと言うわけでもありません。通常の改札は自動改札ですが、1日乗車券では手動で開く別改札を通させられます。慣れるとこれはこれで楽しいものですが、日本のように同じ自動改札を通させて貰いたいものです。

光華商場


 光華商場にはこの地下鉄を使いました。台北駅から2つ目の「忠孝新生」からパソコン街には徒歩2分ほどです。あまり広い区画ではありませんが、そのあたりは全てパソコン関係の店ばかりです。日本の日本橋や秋葉原のような感じで、韓国や香港もそうでしたが、アジアの世界独特のパソコン文化といったものでしょうか。ヨーロッパやアメリカなどでは決して見かけない風景です。当然メーカー品も扱ってはいますが、多くの店ではパーツ売りをしています。これもアジア独特の風景です。帰国して秋葉原にも寄ってきましたが、本当によく似た雰囲気です。並んでいる商品は多くの場合日本と変わりはありません。数年前訪ねた香港や韓国ではまだノートパソコンはそれほど店で見かけませんでしたが、台湾ではノートパソコン専門店がかなり出ていました。もっとも他のパーツ店が人でごった返しているのに、ノート専門店ではゆったりと商談が進んでいるといった感じ、ちょっと上品な感じがしました。CPUにしても1GHz級なものはものは見かけませんでしたが、日本市場と変わらない品揃えはしてありました。値段もそう変わりがありません。面白いものはないかと歩き回りましたが、香港で見かけたようなキワモノはありません。ハードで驚いたのがCD-Rの普及です。どこの店でもCD-Rメディアが輪投げのように重ねられていて、100枚500元(1750円)と言った値段さえあります。全て袋無しです。つい買おうかとも思いましたが、しれた値段のものですから止めました。どうしてこんなにCD-Rメディアが売られているのかなと思っていたら、CD-Rコピー機が売られていました。2台のCD-ROMが付いている機械で、上が単純なCD-ROMで下がCD-Rというもので、パソコン無しで簡単にコピーできる優れもの(?)です。ケース本体だけ売ってくれないかと交渉したのですが、互いに満足な英語が通じないので交渉は決裂してしまいました。
 こんなCD-ROMコピー機は何に使われているのかが、光華商場のビルの中にはいると分かりました。光華商場の中は古本とソフト屋で一杯です。ソフト屋は、PCソフトの店よりもVCD(ビデオCD)とDVDソフトで満たされています。DVDソフトの値段はあまり安くありませんが、VCDソフトは安い。というよりも多分ほとんど海賊版なのでしょう。海外物が多く占めています。日本のトレンディーテレビドラマが1クール分8枚組で250元(875円)程度でたくさん売られています。私も古畑シリーズを娘に買ってきてやりました。つまり、VCDソフトのコピーが一番の需要と言うことなのかも知れません。当然あちらの世界ではPSソフトのコピーについても盛んだったのでしょうが、5年ほど昔の香港のような状態ではありませんでした。なんだかちょっぴりガッカリ。海賊版コピーを売っているのは、本に商品名と金額を書いたものを持ち回っている人達で、彼に注文をするとどこからかコピーCD-ROMを持ってきてくれるわけです。全部英語版と中国版なので、メニューを見せて貰うだけで終わりにしました。こうした海賊版売りは秋葉原でも時々見かけますが、その数はやはり台湾の方が多い。でも、香港の海賊版売り場の盛況を思い出すと、なんだか猥雑なものがどんどん消え去っていく悲しみを覚えてしまいました。
 台北には「自助餐」という総菜屋があります。光華商場近くにもありました。どんなルールで注文して良いのか分からないので、外で観察していると発泡スチロールのパッケージを持って、おばさんの前に並べられている数多くのおかずを好きなものだけ指させばいいようなので試してみました。うーん、どのおかずにしようと多少迷いましたが、選んだおかずは想像した味と似ていて満足しました。お腹一杯食べて100元を切ります。発泡スチロールの器は洗う必要がないのでしょうが、そのゴミはどうなるのでしょうと少し心配もしました。
 5日間の旅はあっという間に終わりましたが、街を歩くとその国の何かが見えてきます。別に買い物をしたわけでも、特別美味しい料理を食べたわけでもないのですが、何か心が満たされたのは、元気のいい国を見たからかもしれません。台湾も中部に行くと昨年の地震の傷跡が多く残っていると言われますが、台北だけを見ると他の国のことと思ってしまいます。アジアンバイタリティ万歳。



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