OMATSURIKOZO's talk salon

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2001年7月号
連載171

インターネットで繋ぐ
スーパーコンピューター構想

DVD-ROMがぐんぐん面白くなる
常時接続月額2280円時代始まる

 「今年の夏は暑いぞ」というのが気象庁の予測ですが、さてさてどうなるのでしょう。もっとも「暑い時期には暑く、寒い時期には寒く」という季節配置が日本の経済には必要ですから、暑い夏は望むところといった次第です。私のこの夏、久しぶりに積極的に夏を楽しんでみようと思っているところですが、皆さんの夏はどんなものになるでしょう。

見栄張りパソコン仲間
デュアルCPUとUD


 さて、このところパソコンネタは停滞したままで困っています。Pentium4 1.7GHzが登場したり、それらしい新しいものが発表されたりするのですが、どうも私のパソコンライフと直結するというわけには行かないのが今日この頃です。こんな私と反比例に今急に元気になってきた友人がいます。昨年末まで「通信をするだけに新しいパソコンなんているか」とやせ我慢をしていたわけですが、私のPentium4マシンへの背中押しと同時に、わたしのお下がりPentiumVを手に入れた彼は、どうも止まらなくなってきたようです。1ヶ月ほどはお下がりPentiumVで辛抱していたようですが、デュアルのマザーボードを手に入れてからはまっしぐらにディープな世界に舞い戻ったようです。先日新しく作り上げたマシンを我が家に持ち込んで自慢たらたらです。PentiumV1GHzのツインCPU、SCSIのHDD、1GBメモリー、「色々改造していったら、前と同じものはFDDだけになってしまった」と大笑いです。つい先日まで「HDDも最近はATPIが性能が良くなったので、別にSCSIでなくても充分」なんて言っていたのに、しっかりとSCSIで固めています。メモリもアメリカから輸入したと256*4で1GBです。「こんなに改造して何に使うんだい」というと、「スケベだけではなくて、最近は社会貢献に手を出している」なんて言い出します。「一体どんな社会貢献だ?」と聞くと、「これみて見ろ」と画面上にマンデングローブというか、塩基の構造図というか、複雑な面白い模様を作り出すプログラムを走らせています。「ひょっとするとアレか」と訊ねると、「ピンポン、πの計算をやらせてパソコンの性能がどうだこうだという時代は終わった。社会貢献をしながら、パソコンの耐久度を測るのが最先端だ。俺は1週間ずっとこれを裏で走らせながら、インターネットをしたり、DVDを見たりしたんだけれど、やっぱりデュアルのCPUだよ、まったくCPUの負荷は低いもんだよ」とやっぱり自分のマシンの自慢話の方に走ってしまいました。 「ところで話には聞いていたんだけれど、このプログラムは?」と話を元に戻すと、早速インターネットでhttp://www.ud.comに飛んでくれました。このプログラムというのは、インターネットに接続された世界中のパソコンの余剰パワーを医療研究に役立てるソフト「UD Agent」v.99です。Windows 95/98/Me/NT4.0/2000に対応したフリーソフトで、現在米インテルのダウンロードサイトからダウンロードできます。「小児死亡原因のトップ、白血病の治療薬研究では癌に耐性があるとされる数億種類の分子を検証しなければならない。この作業を完了するには米国立癌研究財団が最低で2,400万時間必要だという。これを促進するためにインテルと欧米の科学研究団体などが中心となって発表した、インターネットに接続された世界中のパソコンの余剰パワーを利用して検証時間を短縮するというプロジェクトのため、「UD Agent」が開発された」というもので、とにかく世界中のパソコンの遊休時間を集めてスーパーコンピューターを上回る仕事をさせようと言う壮大なプロジェクトのわけです。

日本のミーハーも捨てたもんじゃない


 「ところで、これを見ろよ」と見せてくれたのが、このプロジェクトに参加しているたくさんのチームの成績表です。インテルなどの企業だけでなく、たくさんの国のメンバーが参加しています。その中のランキングトップにTeam2chというのがあります。このプロジェクトは個人で参加することも出来るのですが、チームで参加することも出来るそうで、チームのランキングを競っていました。「これがあの有名な2ch.netだよ」と彼が教えてくれるのですが、どう有名なのか知らない私は「えっ」と聞き返すと、もう1人の友人が「去年のバスジャックの犯人が犯行前に書き込んだことで有名になったサイトだよ」といいます。二人の話を聞くと、とにかくゴミタメのように書き込みが多いサイトのようで、そこに集まっている人たちがチームを作ってこれに参加しているようです。彼は「ゴミも集まればここまでなる」と冗談半分に話していましたが、メンバー数だけでなく、処理数においてもランキングトップです。日本のネットチームがこんなところで活躍していたのかと妙な感動を覚えました。彼らが帰った後、インターネットで検索するとこのプロジェクトに対して冷ややかな目で見ている人たちも多いことを知りました(アメリカの製薬会社にタダで使われるだけだとか、日本の国益はとか、ハッキングされるぞ)が、インターネットが生み出した巨大なスーパーコンピュータの構想というものに心動かされてしまいました。http://www1.freeweb.ne.jp/~p-q/を覗くと日本語でこのプロジェクトの参加の方法が載っています。私も参加することにしました。

気分はDVD-ROM


 このところDVDの話題がソフト・ハードともに高騰しています。プレーステーション2によって圧倒的に増えたDVD-ROM再生装置に、アメリカ製のソフトが低価格でソフトを供給してきています。ワーナーは2000円台でかなりのソフトを出していますが、他のメーカーもこれに追随するという話が聞こえてきます。私も5枚程度買い込んでいますが、どうもパソコン上で見ると転がってみることができないという不便さを感じ始めてきました。やっぱり映画は大きな画面で、しかも我が家で見るなら寝転がってみたいと思うようになっていたわけです。一度子供達が友人からプレーステーション2を借りてきたのでこれを今のテレビに繋いでみたのですが、やっぱり良い。子供達はプレーステーション2を買おうというのですが、もうゲーム機はいいとパスして、DVD-ROM再生機を考えていました。  先月、ソニーのVAIOシリーズにDVD-ROMにDVD-R/RWが付いた機種が発表され、パソコンをビデオ感覚で使おうというコンセプトが強くなってきました。単独でもDVD-R/RWやDVD-R/DVD-RAMが発表されたり、カノープスが高性能なMPEG2のチューナーボードを売り出してきたりと、テレビのビデオ録画にDVDが用いられる世界に入ってきたことが分かります。そうした時、パナソニックからDVDビデオレコーダー DMR-E20という機種が発売されることになりました。価格は135000円と言うことですが、実売価格を調べてみると10万円を切っています。一番安いところを探して予約をかけるともう予約終了となっていました。なかなかの人気のようです。パナソニックではモニターを募集していたので、これにも応募しておきましたが、多分ダメでしょうね。

DVD-Rは固まったぞ


 ここでDVD関係のおさらいです。現在のDVD-ROM環境はCD-ROMの出始めからCD-Rが生まれて少しずつ普及し始めた頃と酷似しています。CD-ROMの規格も乱立したものの、結局少しずつ淘汰され、現在ではCD-R/RWが完全に普及してしまいました。DVD-ROMはまだ規格が統一されていないから不安だと考える人たちも多いことだと思います。しかし、どうもDVD-Rまでは固まってきたようです。DVD-RはDVD-ROMとDVD-Videoのマスタリングメディアとしてスタートしたのですが、DVD-R for Generalというプロユースの規格とDVD-R for Authoringという一般向けの規格に統合されました。市販の多くのDVD-ROMはDVD-Video規格であり、DVD-R for Authoringはこのフォーマットをサポートしています。問題はデータファイルとしてDVDをどうサポートするのかがまだまとまっていないと言うことです。ライティングソフトはまだ一般的とはなっていません。CD-RではCD-Rのバックアップやデータ書き込みが主な用途で、ビデオCDや音楽CDと言うものは副次的に考えられていましたが、圧倒的にデータ量が多くなったDVD-Rではデータファイルと言うよりもAV用と考えられていることが分かります。ですから、DVD書き込みフォーマットについてはまだまだ規格が完全に固まったとは言えないのですが、DVD-Rについては固まってきました。つまり、DVD-Rに書き込まれたDVD-Video形式のものは、パソコンであろうとDVDプレイヤーであろうと再生できるって事です。このファイルを後でどう料理するかはパソコンでしかできないでしょうが、DMR-E20で書き込んでくれるDVD-R形式のものは汎用性があるってことのようです。ということで、DVD-R環境についてはパソコンでやるのは当分「待ち」と言うことにして、プレイヤーを購入しようと決めたわけです。まだ、ものを手に入れたわけではありませんから何とも言えませんが、デジタルで録画再生できるってことは、アナログのような頭出しや上書きなどの心配はありません。スイッチひとつと信じているのですが、どんなもんなんでしょうか、パナソニックさん。

噂のADSL


 さて、最後の話題はADSLサービスです。昨年末にはNTTがこのADSLサービスを妨害していると公正取引委員会からクレームが付いた問題のインターネット接続方式です。この方式についてはNTTがあまり乗り気ではない、つまり中小にも商機があるといくつかのベンチャー企業が名乗りを上げました。ところがNTTの切り返しの早さは、彼らがネットワークを完成する前に総合力を賭けて市場に乗りだしてきたことです。ADSLサービスのシェアを見てみれば、サービスが始まって半年でNTTが50%を超えていました。中小のベンチャー企業は予定獲得数を獲得できないままアップアップして、新規に参入しようと計画していた三井なども逃げ出してしまいました。おいおいおいと思っていたところ、やりましたね、孫さん。ソフトバンクはこのADSLサービスを月額2280円でと打ち出してきました。会員はわずか1週間程度で15万人、1年で100万人をカバーすると豪語しています。しかもこのサービス、回線速度もNTTのフレッツADSLよりも速いと言います。一般的に使われているG.992.2 Annex C規格ではなく、Annex Aと言うより速い規格だそうですが、詳しいことは私には分かりません。ただ、下りが最大で8Mbpsというのは本当なら凄いものです。このサービス、東京や大阪といった大都市だけのものかと思っていたら、バックボーンとしては、7月末までに、全国をカバーする1,500のNTT局をギガビット回線で接続、海外との接続もソフトバンクグループ各社の国際回線を使用することで最大10Gbps相当を確保するというからめっちゃくちゃ凄いではありませんか。こりゃ絶対NTTだって驚いてるに違いありません。私だって動揺しています。評論家達は「こんな金額でこんなサービスが出来るわけがない」と言っています。私だって「ホントかいな」と呟いてしまいましたから。孫さんの新生銀行や強引なやり方には多少嫌気がさしていた私ですが、このインターネットインフラへの切り込みにはただただ諸手をあげて賛同してしまいます。

ソフトバンク 東京メタリック通信まで飲み込む


 といっていたら、ADSLサービスの先駆者であった東京めたりっく通信がお手上げのニュースが聞こえてきました。この東京めたりっく通信、NTTのやり方には相当頭に来ていたことでしょうね。さんざん接続を拒否し続け、公正取引委員会からひと言言われた途端自分たちもやろうとしていたのですなんて言いだし、挙げ句の果てはユーザーをごっそり持って行ってしまったわけですから、こんちくしょうと思ったとしても当然だと思います。そのおかげでソフトバンクグループは東京めたりっく通信をうまく傘下にしてしまいました。巨大な敵の前で苦戦している東京めたりっく通信にとってはソフトバンクは有り難い援軍に映ったのでしょうか。うまいですね、ソフトバンクのやり方は。でも、この吸収でソフトバンクグループのADSLサービス「Yahoo! BB」はあっという間に業界第1位の位置に辿り着こうとしています。
 このソフトバンクグループのインターネット世界への殴り込みは、けっしてNTTだけが驚いているわけではなく、現在の接続業者達や参入を計画していた者達全てにとって「脅威」のひと言だろうと思います。つい1ヶ月前までは常時接続の接続料がやっと5000円程度になったと喜んでいたユーザー達、その半額でしかも高速接続が可能となるというのですから、乗り換えを考えている人たちも多いことでしょう。つい数年前、月額3万円程度で常時接続がなんて騒いでいたことを思えば、この接続料は隔世の思いというより、「嬉しい」のひと言です。
 貫徹しろよ、「Yahoo! BB」


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