OMATSURIKOZO's talk salon

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2002年9月号
連載185

DVDの普及は何を生み出したのか
DivXがマイナーにホット


USB2.0だって密かにブレーク
こうなったらDVDを丸ごとコピー

 暑い夏ももう終わりです。いやぁ、本当に暑かったですよ。今年の夏は北日本とその他の地域ではまったく異なった天候となってしまいましたが、私の住んでいる地方では雨も降らずまったくの酷暑でしたよ。皆さん、夏休みはどう過ごされましたか。私の今年の夏休みは暦には恵まれていたものの、とうとうどこにも行かず家でゆったりと過ごすことになってしまいました。
 1週間の夏休みがあったにもかかわらず、新規のパソコンを組み立てるわけでもなく、パソコンとは関係なく読書と映画鑑賞三昧でした。このところ英語の小説を読み続けていたもので、日本の小説がだんだん溜まってきました。良い機会と言うことで、単行本を数冊読み終えました。映画といえば、ジェームス・キャメロンの「ダーク・エンジェル」というTVシリーズがDVDで10巻売り出されたので、これを買い込んで見始めたら止められなくなってしまいました。彼の作品のヒロインはなかなか魅力的なのですが、この主人公もいいですよ。この10巻で1シリーズは終了し、ヒロインは死んでしまうのですが、どうも再生させられて2シリーズが始まるようです。また、買い込んでこなくては...。

今,DivXがマイナーにホット


 このDVD、とても面白かったので友人に貸したところ、DivXにして返してきてくれました。そこで今月の最初の話題はDivXです。最近この「PC通信」でもROMROM君を始めとしてDivXの話題がしばしば取り上げられていますね。彼の記事は本格的にDivXを試してみようと思っている人には大変参考になる記事なのですが、私のお話は技術的なものというよりはDivXを取り巻く状況について少し話してみることにしましょう。

パソコンで動画が不思議だった頃


 こんなことを書くのはいまさらとは思うのですが,DivXについてのまずはおさらいから。もう10年近くになりますか、秋葉原の店先で486マシンにRealMagicというボードを載せたパソコンの上で、ディズニーのアニメがテレビのように動いているのを見て驚いたものです。MPEG1という動画圧縮の規格があり、そのデータをRealMagicというボードで再生すると、非力なパソコンでも動画が走ることを知りました。当時の常識ではパソコンで動画を走らせるには小さな画面で解像度の悪いものしか再生できないと思われていたものでした。それがフル画面でテレビのように写っていたわけですから驚いたものです。このMPEG1という規格は、ビデオCDという規格の民生再生機(日本ではほとんど普及しませんでしたが、香港台湾などではよく見かけました)でも見ることができるようになり、多くのソフトが発売されました。そのうち、パソコンのCPUが486からPentiumへと移行すると、RealMagicといった再生専用ボードがなくてもソフトエミュレーションができるようになってきました。我が家で、香港から書き込んできた海賊版映画ビデオCDを見せて、女房に「パソコンでもこんなに綺麗に映画が映るようになったぞ」と言ったら「ビデオとどこが違うの?私だったらテレビの大画面で見る方がよっぽどいいわ」と言われてがっかりしたことを思い出します。しかし、MPEG1でWindowsの中の小さな窓で動画が動く時代からフル画面で動画が動く時代になったわけです。

MPEG2(DVD)時代に突入


 このMPEG1という規格はますます発展し、DVDはMPEG2という規格に載った動画圧縮で実現しています。MPEGの規格にはその他、MPEG3、MPEG4とあるのですが、MPEG2の画面の美しさはDVDに採用されたように従来のビデオを上回るものでした。我が家でDVDを買い込んできて再生したところ、さすがの女房も「これ、綺麗ね」といったものでした。このDVDにしても、民生再生機が発売されていたにもかかわらず、ビデオCDの時と同じようにパソコンにDVD-ROMと専用再生ボードの組み合わせが発売されたものでしたが、パソコンの能力の飛躍的な向上とパソコン価格の低下がソフトエミュレーションをあっという間に普及させてしまいました。我が家でも最初にDVDを再生させたのはパソコンで、次がPS2、最後が専用再生機でしたから、パソコンを持っている多くの家庭でも同じようにものだったでしょうね。

MP3はすっかりメジャーに


 話は少し代わって、MP3という音楽規格がありますね。今では一般的なものとなってきましたが、数年前は全くマイナーな存在でした。普通のデータ量のおよそ10分の1に圧縮しても音質が極端には落ちないと言う音楽データ圧縮規格です。実はこれもMPEG規格を用いたもので、サウンド部分だけを取り上げて作ったものだったのです。当初はパソコンを持った人達の中だけで話題になっていたのですが、そのうちにウォークマンのように持ち運んで聞きたいという人達の要求に応えるように携帯MP3が登場してきました。しかし、携帯MP3が登場して来るには色々問題も多くありました。ナップスターというフリー音楽配信WebとMP3がしばしば音楽著作権侵害と言うことで叩かれたため、MP3=コピーというイメージで携帯MP3の発売に対して音楽関係からかなりのクレームがあったようです。テープレコーダでのコピーではコピーを重ねたり、再生を繰り返すと音質が劣化してくるわけですが、デジタルデータはコピーを重ねても劣化しないと言う処が大きな問題となっています。MPEG2規格のDVDの発売についてもハリウッドからの賛同が得られずかなり難産をしましたから、デジタル時代の著作権については色々試行錯誤が続くことでしょう。携帯MP3ではメモリに音楽用とあるものしか再生できないような工夫をして、メモリに課徴金を掛けていますが、ユーザーも納得できる位の課徴金で済む折り合いが必要となってくるでしょうね。

DivX 驚異の動画圧縮


 そこで、DivXです。DivXもMPEG規格のひとつであるMPEG4という規格から生み出された圧縮率の高い動画規格です。何しろ、DVDの4.5GBのデータをCDの640MBの中に納めてしまうのですから驚異の圧縮率です(もっともDVDのすべての情報を圧縮して入れているわけではありません。字幕等の設定までは出来るものではなく、洋画なら字幕版のみと言ったものになります)。画像の質はDVDと同等というわけにはいきませんが、なかなかの優れものです。MicroSoftもWindows Media Playerの中にMPEG4のコーディックを入れようとしたのですが、著作権等の色々な問題があって中途半端なままです。現在もっとも普及しているMPEG4準拠のエンコード・コーディックがこのDivXです。再生のみのコーディックだけならhttp://www.divx.com/でフリーで手に入れることができます。エンコード(他の形式で再生する動画データをDivX形式のデータに変換する)までサポートするバージョンは有料となっています。ビデオやテレビなどのMPEG2キャプチャボードは現在たくさん発売されていますが、DivXはそのエンコードをMPEG4準拠でソフトで行ってくれるわけです。非力なパソコンでエンコードしようとしたら、1本のDVDのエンコードに36時間も掛かったという話を聞いたことがありますが、Pentium4の最新のマシンなら5〜6時間程度でエンコードするそうです。私の友人の中にはこれに填ってしまった人がいて、友人達が持っているDVDをかり集めて全てDivX化しているのです。おかげで私にもお裾分けがやってきて、見ていなかった映画を見ることができました。
 DivXの再生は、http://www.divx.com/で手に入れたコーディックをインストールするとWindows Media Playerにその機能が反映され、Windows Media Playerで行えます。全画面で見ても耐えれるだけの画像となりますが、スムースな動きを期待したいのなら600MHz以上のCPUのマシンで再生した方がいいでしょう。このDivX規格、さてMP3のように民生再生機が出てくるようになるでしょうか。あまりメジャーになりすぎても規制がきつくなる可能性があると思いますから、密かに仲間内で楽しむことにしましょう。

USB2.0はブレーク寸前


 さて、次の話題はUSB2.0の普及具合についてです。 パソコンと周辺機器をつなぐインターフェースであるUSBは、その手軽さ便利さから爆発的な普及を果たしてきました。キーボードやマウスなどの入力機器、プリンターやスキャナーなどの出力機器などから始まったUSB対応機器ですが、今ではハードディスクやCD-R、DVD-RAMドライブなどのストレージ製品もUSB接続をということになってきます。こうなると問題になってくるのが、USBの転送速度の遅さ。最大12Mbpsというのは、マルチメディアデータを扱うには少々心許ないスピード。大容量のデータを転送するためには早い転送速度を保証する規格が必要です。そこで登場したのが、USB2.0規格です。USB2.0の最高転送速度は1.1の40倍にあたる480Mbpsで、IEEE1394と互角以上の転送スピードを有しています。しかし、このUSB2.0、なかなか普及しなかったのです。というのは、完全に規格が固まらなかったからで、今もってマザーボードに直接付いているものはないし、WindowsXPでも標準でサポートされていないと言う事情があったからです。その上、そんな大容量のデータを外付けで使う用途というものが普通のパーソナルユースにはなかったともいえるでしょう。そこで、現在早い転送速度を要求するストレージ機器ではUSB1.0とUSB2.0、あるいはIEEE1394がサポートされるという中途半端な仕様のものが出回り始めているのですが、今ひとつと言うことで見送ってきました。私が少し注目しているアイオーデータのハードディスクビデオレコーダなどはパソコン接続用の端子がUSB1.0のままです。これじゃ使い物になりません。まあ、最初の製品といったものはこんなものでしょうが。

USB2.0の用途が見えてきた


 では、USB2.0は一体どうなるのでしょうかといえば、大容量のデータを扱う必要なアプリケーションが登場することによって一挙に普及してくる可能性が大です。そのアプリケーションが実はDivXです。昔はハードディスクのバックアップに外部トスレージをと言われていましたが、こんなにもハードディスクの価格が下がってくるとハードディスクのバックアップもハードディスクでということになり、ライドシステムが流行ってきています。私の場合、頂いたDivXのCD-Rを「Clone CD」でハードディスク上にコピーし、それをその時々で「DEMON tools」で仮想ドライブを設定して映画を楽しんでいますが、こんな事をやっているとハードディスクの容量はいくらあっても足りません。つまり、外部ストレージとしてのハードディスクが必要となってきそうなのです。いくら速いCD-ROMだとは言ってもやはりCD-ROMはですCD-ROMです。ハードディスクに収めているデータを再生する方がずっとスムースに動きます。そろそろUSB2.0は射程に入ってきたようです。

DVDだって丸ごとコピー


 今月号の話題がDVDのコピーのような話になってしまったついでに、DVD-ROMをそのままDVD-Rにコピーしてしまおうという話にも触れておきましょう。昔、DVD-RAMが発売されたとき、「これを買えばビデオのようにダビングができるのか」と聞いた友人がいましたが、彼にDVDの規格の難しさを教えるのに苦労したことを思い出しました。「DVDの価格も下がってきたことだし、欲しいソフトは買えばいいのじゃないか」とあっさり言ったところものの、「できるかできないか」という命題については興味を持っていたことは事実です。ところが最近雑誌をあたっていると、「DVDを丸ごとコピーしよう」と言う記事にしばしばぶつかるようになってきました。当初は、片面1層のものだけだったのが、両面2層に、そのうちに片面2層のものまでをコピーする技術が発表されてきています。昔からのイタチごっこはこの世界でも始まっているようです。単純に内容だけを楽しみたいのならDivXで充分でしょうが、字幕の変更まで含めてコピーしたいというならこれに挑戦せざるを得ません。もっとも私はまだやっていませんが。
 内容を読むと、ハードは当然Pentium4、ハードディスクは60〜80GB、メモリは最低256MBといったところで、本命の記録型のDVDということになるのですが、これはパイオニアのDVD-R/RWがいいとありました。推薦は「DVR-A04-J」とありましたが、色々読んでいると結局コピーにチャレンジしたい人はDVD-R/RWが良いと言うことらしいです。DVD+RW/+Rもなかなかお奨めということです。ハードが揃ったところで、どうしたらコピーが採れるのかと言うことになるのですが、2つのソフトウェアが必要になってきます。つまり、DVDの内容をそのままハードディスクに写し取るリッピングツール、続いてそのデータをDVD-RやDVD-RWに書き込むことができるライティングツールです。リッピングツールのお奨めは「DVD Decrypter 3.1.1.0」ということです。これはインターネットからダウンロードできるそうです。ライティングツールについて言えば、DVDにまで対応してきたCDライティングソフトであった「B's Recorder GOLD」や「neoDVD」がなかなか良いと言うことです。チャレンジしてみた人は教えてください。


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