ADSL・IP電話戦国時代
OCNさえIP電話サービスを始めたよ
お祭り小僧のランダム・アクセス
日に日に緑が美しくなってくる季節ですが、今年は何故か気分が晴れ渡りません。週末には必ずと言っていいほど雨模様の日が続いていると言うこともあるでしょうが、ブッシュの戦争が心を暗くしているからでしょう。戦争が早期に終わったことはそれなりに嬉しいのですが、これでアメリカの新保守主義が幅を利かすのかと思うともっと陰鬱な思いがします。アメリカって国は本当に奇妙な国です。「正義」って概念が好きなのでしょうが、彼らの「正義」っていうのは、私には「狂気」としか思えないのですが、皆さんはどう思いますか。自分たちの力の客観性に対する想像力が欠けているとしか私には思えません。自分たちだけが世界を導いているなんて考えていたら、今に足下を掬われてしまうでしょう。
さて、パソコン世界ではどうなんでしょうか。規格と規格の戦争は先月号でも書きましたが次世代DVD-ROM、無線LAN、ASDL等、どんどん高度化してきています。携帯電話のデジタルカメラの画素数もとうとう100万画素数に達すると言っています。おいおい、おいらはどうしたらいいのだとつい叫びたくなってしまう今日この頃です。
無線LANは11Mbpsから54Mbps時代へ
今月は、私の新しい無線LANの導入についてのお話から始めましょう。2年ほど前、家の中に有線LANのケーブルを繋ぐのに困ってしまい、無線LANを導入したことはお話ししましたね。アイオーデータの無線局(アクセスポイント)とUSB接続の子局を導入した後、メルコの無線カードも導入しました。この無線規格は各社共通となっているため、アイオーの親局とメルコの子局とでも問題なく通信ができました。この規格はIEEE802.11bというもので、一般的には11Mbpsの転送速度を持つものだと言われています。まあ、実際のスピードとしては2〜5Mbps程度と考えておいた方がいいでしょうし、通常のインターネット接続などでは問題がなかったと思えます。実際、最近都会で流行りの無線ネットカフェなどの親局もこの規格のものです。我が家でも2階にある私の部屋と1階の居間にあるDivx専用のパソコンを繋いでいましたが、インターネットなどの接続には問題がありませんでした。というのは、無線LAN導入当時の我が家のネット環境はケーブルネットでしたが実行速度が1Mbps、YahooBBに変更しても12Mbpsとはいうものの、我が家の環境での実行スピードは2.5〜3Mbpsがいいところであったため、家庭内LANの実体はこんなものだろうと考えていたわけです。しかし、1階の居間にあるDivx専用パソコンに2階のメインパソコンからDivxの大きなファイルを転送しようとすると、必ず途中で通信エラーが生じてしまい、まともには転送できないことが分かってきました。また、Divx専用パソコンから私の部屋のパソコンにあるデータを出力させようとすると画像のスムースさは失われてしまい、時には転送エラーになるのです。どうも映像転送をしようとすると11Mbpsの転送速度という建前では不足のようです。
IEEE802.11aとIEEE802.11g
こんな時、新しい無線LAN規格が登場してきました。IEEE802.11aとIEEE802.11gです。この2つの規格について少し説明をしましょう。数年前に無線LANが登場した時、各メーカーの独自の無線がでましたが、それがIEEE802.11bの規格にだんだんと収斂してきました。私が無線LANの導入を真剣に考えたのがこの当時で、先にも書きましたがどのメーカーの製品を購入しても通信が可能となっていましたし、現在の無線LANの主流もこの規格です。しかし、時代はどんどん変わってきます。もっと速い通信規格はないのか、という要求は次の規格を生み出してきます。それに応えて登場したのが IEEE802.11aとIEEE802.11gです。
IEEE802.11g規格はまだドラフト段階で、完全な規格が固まっていませんが、数社から発売が始まってきています。私が購入したメルコ製品もそうした段階のものです。本来、IEEE 802.11g規格は、無線LAN市場に革命をもたらす大きな期待を背負った規格でした。これまでのIEEE 802.11bと同じ2.4GHz帯を利用しながら、最大速度を11Mbpsから54Mbpsに引き上げられる点はユーザーにとって既存の資産を活かしながら無線環境をアップグレードできるメリットがあり、メーカーにとっても低コストで機器を開発できるという大きなメリットをもたらすものでした。しかし、この2.4GHz帯というが問題で、この周波帯はノイズが入りやすいとか距離が伸びないなどの問題点を抱えたままのものでした。その結果、先陣争いをしたメーカーからの製品にはバクがあったり、あまり性能が良くないものが出てきたために評価を落としている点があります。つまり、IEEE802.11g規格は普及規格のIEEE 802.11bと互換性を持つ、ということは同じ欠点(ノイズに弱い)を持つ、しかし従来よりは圧倒的に高速な規格と言うことです。
これに対して、IEEE802.11aはIEEE 802.11bの上位規格と思われがちですが,実際にはあまり共通項はありません。使用する周波数帯は5GHz。そのため,2.4GHzを使う802.11bと違い電子レンジなどからの干渉がないという特徴があります。変調方式も802.11bのDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式とは異なるOFDM(Orthogonal Freqency Division Multiplexing)という方式を採用していて,1チャネル当たりのビット数が多い。そのため最大データリンクレートは802.11bが11Mbpsであるのに対して802.11aは54Mbps。IEEE 802.11gと同じと言うことになっていますが、実際のスループットは802.11aの方が優れていると言われています。しかし、2.4GHz帯の802.11bや802.11gに比べ有効範囲は狭く,距離によるスループットの変化が大きい。アンテナの向きを変えただけでも,入り組んだ室内レイアウトでマルチパスが発生しやすい環境でもスループットが落ち込むし,さらには遮へい物により通信できなくなるなど,外的要因によってスループットが変化しやすいという傾向もあります。これらの欠点についてはいずれ前進すると思われますが、802.11gの登場は規格の動揺を生み出しています。特に802.11aは法律で現在,屋外利用が禁止されているため2.4GHz帯の802.11bや802.11gの有効性との勝負が始まっているともいえます。
待ちきれず、メルコ802.11b/gを買いました
もっとももう少し経てば、a/b/g全ての規格を備えた親局(アクセスポイント)が登場してくることは間違いありません。ではどうして「今」私がIEEE802.11g規格の製品を導入したのでしょう。まず、「新しもの好き」という私の性癖と、「コストパァフォーマンス」に拘るという点からです。最初にお話ししたように、私は「今」転送速度の速い無線LANが欲しかったのです。しかも「廉価」にです。メルコのEEE802.11g製品は、まだドラフト段階の製品であることをうたいながら、私がIEEE 802.11b製品を購入した当時より安い価格を提示していたのです。802.11a製品の価格は802.11g製品の倍からのものですから、私にはちっとも魅力的には見えなかったのです。その上、無線LANのアクセスポイント製品のほとんどはモデムルーターを兼用しているものが多いのですが、メルコの製品群にはアクセスポイント専用機と、PCIスロットに入れる子局(無線アンテナ付き)があったのです。私はこうしたシンプルな仕様の機器が欲しかったのです。
では購入した後の感想はと聞かれたならば「一応満足です」と言ったものです確かに従来の無線LANより速いです。メルコはドラフト確定後には正式版のファームウェアを提供すると言っています。まあ、現在の環境で満足できるのなら、他社の機器と繋がらなくてもいいやと考える私はメルコの術中に嵌っているのでしょうね。導入の手順は非常に簡単なもので、始めて無線LANを導入した当時には分からなかった概念が了解されていたものですから、あっという間に設定が終わりました。今では、2階のメインマシンHDDにコピーしたDivxデータを居間のプラズマディスプレィで楽しんでいます。等倍速再生ではまったく問題がありません。やはり、無線LANは転送速度が速くなくては。
ADSLとIP電話・OCNフォン
会社でもIP電話だぞ
さて、もう一つの話をしましょう。私の会社の大阪事務所で、フレッツADSLとOCNフォンを導入したお話をしましょう。実は長い間大阪というインフラ環境のよいところでありながら、私の会社の事務所ではインターネット環境がISDNのままだったのです。というのは、本社のあるところが片田舎なものですから、未だにADSLの見通しもつなかい、それなのに大阪だけADSLにしようという気力が起こらないという消極的な理由から、めんどくさがりの私が放っておいたのです。ところが今年の4月からOCNフォンサービスが始まると聞き、やおらADSLに変更申請をしました。YahooBBのサービスでは、モデム兼VoIP機器が送られてきて、これに電話線を接続しただけでYahooBBフォンのサービスが受けられました。こんな簡単な形で長距離電話が安くなるのなら、市外電話をかけまわっている我が社では大きなメリットだと思っていたのですが、法人ユーザーへのサービスと個人ユーザーへのサービスは違うのではと躊躇していました。ところがOCNに電話したところ、別に問題ありませんという答えが返ってきたので、大阪事務所のフレッツADSL+OCNフォンへの変更作戦を開始することにしました。
大阪事務所では、1本の電話回線をISDNにしていて、それをビジネンホンとインターネット兼用、もう1本の電話回線をアナログのままFAXに繋いでいました。そこで、このFAX回線をADSLに変更し、この回線に子局を2つ持つ無線電話を接続することにしました。つまり、かかってくる電話は今まで通りISDNで受け、かける時にはOCNフォンにしようと考えたのです。申し込んだところ、申込が込んでいたため約1ヶ月ほどかかってしまいました。おいおい、YahooBBに負けてしまうぞ、NTTグループ。
やっとADSLインターネットは通じた
NTT局内の工事も終わり、会社にはVoIP機器が送られてきました。モデムはこちらで購入しておくと答えていたにもかかわらず、モデム風の機器が送られてきたときには間違って送られたのかと思ったのですが、説明書をよく読むとどうもこれはOCNフォン用のVoIP機器だったのです。ADSLモデムはNTT-MEのルーターモデムを購入していたのですが、VoIP機器を接続するにはルーター機能を外す必要があることも書かれています。「うーん、これは困った。数台のパソコンを繋ぐためにはルーターは別に買わなくてはならないかもしれない」。どうもYahooBBで経験した方法とは違うようです。色々接続を変えてみるのですが、インターネットにも接続できません。ましてやOCNフォンもうまく繋がっていないようです。だんだん頭が混乱してきました。
そこで、迷った時には基本に帰れとばかり、VoIP機器を外してモデムだけを繋いでインターネット接続に挑戦するのですが、どうしてもうまく接続できません。とうとう、サービスセンターに電話したところ(かなり長い時間繋がらなかったのですが)、どうもノイズを拾っているようで接続がうまく行っていないと言う結論に達しました。ADSL回線というのはモニターができるのですね。こちらのパソコンから局にアクセスして、接続状況を確認できるらしく、「お宅からの信号は局まで来ていますが、すぐに切れてしまい、通信が保持できてないようです。交換局のポイントを変えてみましょう」とか言ってくれましたが、結局その日には繋がらず、翌日メンテナンスの人が会社までやってきてくれました。社内の電話線のやり変えるとあっさりと繋がってしまいました。インターネット環境はこれであっさりと解決しました。
VoIP機器はどう繋げるのだ?
さて、次はOCNフォンです。こいつがまたまたうまく接続できないのです。私の概念ではADSL回線をまずスプリッタに接続、一方を電話器に、もう一方をモデムルーターに接続、その後パソコンからモデムルーターの設定をする。これで終わりのはずだったのですが、この間にVoIP機器が入るわけです。これが単純にスプリッタから電話機の間に入ればいいと言うのなら問題がないのですが、この機器に電話回線のみならずモデムからのLANケーブルまで繋ぐとあるから、ややこしい。当然モデムルーターのルーター機能は殺しました。とすれば、複数のパソコンにインターネットを繋ぐにはVoIP機器から新たにルーターが必要なはずと、色々やってみるのですが繋がらない。思い切って、VoIP機器の次に単純なハブを繋いでインター熱とに繋いでみると、これがうまく接続できたのです。「そんな馬鹿な」とは思いつつ、インターネットでこのVoIP機器を調べてみると、この機器にはルーター機能が付いていたのです。もっとはっきり説明書に書いておいてくれと叫びたくなりました。
結局、難産のあげくインターネット接続、LAN環境、OCNフォン全てが機能するようになったのですが、若い連中から「OCNフォンは音が悪すぎて使えない」という苦情に参っています。私が使っても時々音質が悪い時もありますから、「馬鹿野郎、音より金だ」とは言えないところがあります。NTTさん、いくら儲けが少なくなるとはいえ、サービスを開始した以上「音質保証」も頼みます。