OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 2004年8月号
連載208回

もう二度と自作パソコンなんて
やらないぞ!!!!

こんなにもややこしくなったハード事情
年寄りにはきつくなったようです
 


お祭り小僧のランダム・アクセス

 暑い夏がやってきました。エルニーニョもどきと言われる気象状況は、北陸に集中豪雨とその他の地域に猛暑をもたらしました。暑い夏はどちらかと言えば好きな私ですが、寄る年波の故か、それとも今年の夏が異常に暑いためか、少々へたばり気味になっています。皆さん、お元気ですか。

もう二度とパソコン自作なんてしないぞ

 私がへたばりかけているのは、夏の高温のためというよりは、自分の打つ手がことごとく外れてきていることに寄るのかもしれません。実はパソコンもそうなのです。先月号に書いたとおり、少々暴走を始めだしたAthronデュアルに代わるPentiumマシンを作ろうとしたのですが、これが思いもかけず手を焼いてしまったのです。”もう二度とパソコン自作なんてしないぞ”と思うほど痛い思いをしてしまいました。今月の話題はそのあたりから始めましょう。

 パソコンを組み立てるのはもう10台くらいになります。そのたびに多少の”トホホ”は経験してきています。そのトホホが面白さだった時期から、できるなら無駄な時間はとられたくないと言う思いがする年代に入ってきています。ですから、既製品を購入することも選択肢に入っていたわけです。ところが、やっぱり自分のパソコンと言うことになれば”自作”というすり込みに負けてしまいました。今回も多少のトホホを味わうことだろうとは予測しながら、どんどん横着になろうとしている自分に鞭を入れることにしました。

ハードの進化の早さに戸惑う

 先月号でも書きましたが、最速とは言わないまでもそこそこに最新のものを作ろうとすると、マザーボード、CPU、メモリという一番金のかかるところは流用がきかないと言う事実に遭遇してしまうわけです。それでも少しぐらいなら流用も考えてみてみようと思い、PC2100のDDR SDRAM(Athronデュアルに搭載)が使えるマザーボードを探してみました。最新のマザーボードでもDDR SDRAMであれば多少遅くても使えることは分かりましたが、早いCPUとの組み合わせと言うことになると問題のようです。Intelのマザーボードが面白そうだったので、これをインターネット通販で購入したのですが、友人に言わせるとIntelのマザーボードはくせ者だと言うことです。どうも少しずつ泥沼へと足を踏み入れたようです。数日してマザーボードが届きました。CPUを決めなくてはなりません。Pentium4にはいろんな種類があります。キャッシュが大きくコストパァフォーマンスの高い2.8Aを買いました。当初、Athronデュアルは解体してケース、メモリ、DVDドライブなどは流用しようと考えていたのですが、CMOSをクリアすれば動くことが分かったので、結局それは残すことに決め、新しくケース、メモリ、DVDドライブも購入してしまいました。あっ、どうも次々と方針が変わってきて、泥沼に片足を完全に突っ込んでしまったようです。

久しぶりのパソコン組み立ては楽しい?

 久しぶりのパソコン組み立てを始めました。先般までパソコンを組み立てたとき非常用の液晶ディスプレィがあったのですが、このディスプレィが壊れてしまったため、今回は確認作業をするために机の上にあるモニターと繋ぐ必要があります。これがめんどくさいのです。デンと構えているモニターを動かすのも、あるいは組み立てたパソコンをモニターの届く範囲に移動するのも結構やっかいです。まあ、あまり深く考えず、とりあえず組み立てにかかることにします。

始めての取り組みに戸惑う

 定番通り、ケースにマザーボードを取り付けます。メモリはDDR SDRAM PC3200の512MBを2枚買ってきました。同じ性能で同じロットのものなら、装着場所を間違えなければ早くなると書いてありました。従来ならツインの同じスロットに入れると考えていましたが、DDR SDRAMでは装着場所がちょっと違っていました。マニュアルはしっかり読まなくてはいけませんね。次はCPUです。CPUは本当に小さいものになっていますね。同封のファンはばかでかい。まず、CPUを差し込み、続いてファンを固定しようとするのですが、どうもうまく行かない。マニュアルを参照してみるのですが、どうもうまくできない。押さえのヒンジレバーを廻したところ、片方はパチンとはまるのですが、もう一方はきつすぎて無理をしたらレバーが飛んでしまった。もう一度チャレンジと再度はめようとするのですが、どうしてもうまく押さえ込めない。まあ、CPUはうまく刺さっているのだから、この位はどうでもいいかと、次に進むことにしました。

アレ、BIOS画面さえ出てこない

 ハードディスク、DVDドライブを繋いで、ケース廻りの電源を入れたら完成です。組み立てたパソコンを私のパソコン部屋に運び込み、ディスプレィに繋ぎ、電源を入れます。ピッ、ピッ、ピー。ディスプレイには何も表示されません。アレ、パソコンの電源がいつの間にか止まっています。もう一度電源を投入。ピッ、ピッ、ピー。ディスプレイには何も表示されません。アレ、パソコンの電源がいつの間にか止まっています。何度やっても同じです。何度もパソコンを組み立ててきたけれど、BIOS画面が出てこなかったことはありません。ビデオカードが悪かったのだろうか?CPUの差し込み方が悪かったのだろうか?メモリが悪かったのだろうか?色々疑問がわき起こるものの、断定できるようなものはありません。仕方がないので、もう一度最初からやり直しだと、マザーボードから全てのケーブルを抜き出し、最初からやり直しです。

 同じように組み立てて、ちょっと気になったのはCPUファンの取り付けがぴっちりといかないと言う点だけで、他は問題があるようには思えません。再度電源を入れても結果は同じです。「こんなパソコン、ぶち壊してやれ!」と毒づいたものの、その気力さえなくしてしまいました。

友人に応援を頼む(情けない)

 次の休みの日、友人に電話して、我が家に応援に来てもらうことにしました。彼と2人で再組み立てに取りかかりました。ひとりでシコシコやっていたときには「もうぶち壊してやれ」と思っていたものが、2人でひとつずつ確認しながら組み立てていくと、今度は立ち上がるような気がしてくるから不思議なものです。彼が言うには、「Pentium4マシンの組み立てに、予備がひとつもないから確認の方法が難しいんだ。その上、このIntelマザーではマザーのバージョンとCPUの関係がシビアだから、まず立ち上がらないとマザーのバージョンさえ確認できないよ」と、なかなか難しいことを言います。CPUを組み立てようとしたとき、抑えレバーがうまく噛んでないのを見つけ、「Pentium4の発熱は凄いんだから、ファンはきちんと装着しないとダメだ」と言います。PentiumUあたりではヒートシンクだけで充分だったし、シリコンが少々うまく付いてなかっても問題なく動いていたことを言うと、「時代は変わったんだ。発熱量が格段に上がったのだよ」と諭されました。彼はファンを色々調べていくうちに、ファンと固定金具の位置がずれてセットしようとしていたことを見つけだしました。適切な位置にセットすると、抑え金具はパチッと噛んでしまいました。よし、ここで電源だ。ピッ、ピッ、ピー。ディスプレイには何も表示されません。やっぱり、パソコンの電源がいつの間にか止まっています。「CPUか、メモリが悪いのか分からないが、交換して調べてみる材料がないな」と言うので、Athronデュアルのメモリを取り出して付けてみましたが、やはり同じです。

どんどん泥沼にはまっていく

 「CPUが焼け死んでいる可能性もあるが、まだ一度も立ち上がったことはないのだろう。ひょっとして、このマザーボードバージョンでは2.8Aを認識できないのかもしれない」と言います。ここまで来るとだんだん泥沼に両足が捕られてしまいました。「マザーボードでもCPUでもメモリでも何でもいいから、すぐにパソコンショップに行って買い込んでこよう」と叫んでいる私を発見しました。CPUとメモリを購入したショップに出向くと、開店時間が11:00となっています。1時間以上も待っていられません。10時から開店する店に向かい、とにかくマザーを購入することにしました。

 家に持ち帰り、マザーを取り外して、新しいマザーから再組み立てです。今度のマザーはギガバイトのものです。グラフィックカードは付いてないので、安物のAGPカードも購入しました。「今度こそ」とばかりに電源を入れましたが、ウンともスンとも言いません。何度か試してみましたが、やっぱり同じです。「これはやっぱりCPUが焼けている可能性が強い」と彼が言います。「よし、今度はCPUを買いに行こう」と答えます。もう泥沼に首までどっぷりです。2.8Aを買おうと思ったのですが、2.8Eしかありません。3.2が4.5万円、2.8が2.2万円なら、やっぱりこのあたりが一番コストパァフォーマンスが高いかな。もっともキャッシュだけは大きいものが欲しかったのです。家に持ち帰り、CPUを取り替えます。今度ははじめから間違いなく冷却ファンを装着します。電源を入れたところ、結果は同じです。「もうぶち壊してやれ!」と毒づいたものの、何がなんだか分からなくなってきました。友人もお手上げです。「とにかく腹が減っては戦にならぬ。昼飯でも食おう」と頭に登った血を胃袋に移動させることにしました。

万策尽きて、なお

 「毒くわば皿までと言うからには、何でも買ってやろう。次に打つ手は何だろう」と友人に相談しても、彼も確信が持てない様子です。「もう一度Intelマザーで組み直してみないか」と協力を呼びかけたところ、「よし、やってみるか」と2人がかりで再組み立てです。半分は諦めながら電源を投入したところ、ディスプレィにIntelBIOSの画面が浮かび上がってきました。2人とも「おおっ!」と言う声が出るだけで、もはや感激からは遠い思いを抱え込みすぎていました。「ギガバイトのマザーははじめから死んでいた。Pentium4 2.8Aは熱暴走で死なせたのかもしれない。Intelマザーのバージョンは少し古いものだったから、認識できなかったのかもしれない」と結論が少しずつ見えてきました。

俺だって文句言いたいよ(でもできない)

 買い込んだパーツを取り替えてくれなどとは滅多に言わない私ですが、今回の死んだマザーを買わされたのには腹が立ってきました。おかげでずいぶん時間と労力を浪費してしまったからです。返品しにパソコンショップに出かけることにしました。「このマザー、死んでいますよ」と店員に突き返すと、平然と「ご確認をさせていただきます。作動しなかった場合にはすぐにお取り替えさせていただきます」と答えます。取り出したマザーに、CPU・メモリ・AGPカード・モニター・電源と手際よく繋ぎ込んでいきます。これで動いたりしたら格好悪いなと思いながらも、「うちでは何度やっても動かなかったぞ」と虚勢を張っている哀しい自分を発見してしまいました。「あっ、やはりダメですね」、モニターに何も映らないのを確認して店員が機械的に応答してきます。「うちとしてはやはりこうして確認させていただかないと交換には応じられないのです。別の製品に交換させていただきます」とあっさりと答えられると、「死んだマザーを買わされて時間と労力の慰謝料はどうなるのだ」と叫びたい気持ちと、自作をする以上リスクは当然という気持ちのハザマで、「新しいマザーで確認したから、返金を頼みます」としか言えない私にじれったさを感じてしまいました。

次のパソコンは既製品だ

 家に帰り、WindowsXPのインストールを始めましたが、インストールの時間もかなり掛かります。やっと動いて嬉しい気持ちはあるものの、「もう二度と自作なんかするもんか」と年寄りじみた呟きをしている私に気が付いてしまいました。友人が「高いものについたね。これが原稿ネタですか」と笑うので、「このパソコンのCPUは3.2Aだぞ、2.8Eなんかじゃないからな」と思わず答えてしまいました。

 パソコン自作なんて事はもう「年寄りの冷や水」の領域になってしまったのかな。




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