OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 2004年10月号
連載210回

携帯電話の利用方法でわかる
トレンドの方向性

Winny裁判が始まりました
こんなコトしているうちに取り残されるぞ
 


お祭り小僧のランダム・アクセス

 暑さと台風にかき回されてしまった夏も過ぎ、やっと秋めいてきましたが、皆さんお元気ですか。いやー、本当に今年の夏は大変だったですね。ちょっと気候に異変がでるとすぐに「地球温暖化」だとか、「異常気象」だとか騒ぐ人がいるのですが、そんなもの地球の歴史の中で何度もあったことだと嘯いていた私も「今年はちょっと参ったな」と思ってしまいました。まあ、こんな時というのは大抵人間テンションが高い時には流してしまえるのでしょうが、ちょっと落ち込んだ時と言うのは凄くこたえるものですね。

携帯電話を馬鹿にしていた私の感性

 さて、このところパソコンネタがないとぼやいていたのですが、どうも時代は変化の兆しを見せ始めたようです。それは分かっていながら、どうもときめかなくなったのは私の感性が時代から取り残され始めた証拠でしょうか。今月の最初の話題は、携帯電話の普及と変貌について始めましょう。

 私は仕事の関係で携帯電話の第一次普及期から持つようになったのですが、私の携帯の使い方はいまだ「電話を受ける、電話をする」というものから進化していません。アナログ電話だったものがいつの間にかデジタルに代わり、音声もいくらかは良くなったかなとは思うのですが、基本的には携帯電話は嫌いなのです。というより、携帯の着用が仕事の必要性から始まったものですから、携帯の着信即クレームというニュアンスが強く、好きになれないのでしょうね。まあ時代が時代ですから、携帯のメールぐらいは使ったりはしていますが、積極的に利用すると言ったものではありません。ところが、パソコンのメールを使ったことのない中年女性達はこれを積極的に使っていますし、これによってコミュニケーションの取り方が変わってきているという話もよく聞きます。実は、私の女房もそのひとりです。彼女にパソコンを設定し、メールアドレスも与えたのですが、パソコンのメールは結局使うことがありませんでした。ところが子供達に刺激されて始めた携帯のメールは積極的に使っています。親子が友達感覚で付き合うのにちょうどいいと言って、あるいは電話代より安いといって、しっちゅう子供達とメールのやり取りをしています。携帯のメールなんてと馬鹿にしていた私ですが、家族の輪に入りたくて私も時たま参加はさせてもらっていますが、私のメールは「了解」とか「分かった」という連絡事項に対する単純な返事だけです。

携帯を「利便性」と「遊び」に使う世代

 ところが息子や娘達などにとって携帯電話はもはや「電話」ではないのですね。大げさに言えば「分身」といった感じです。「会話」「メール」「Web」「住所録」「デジカメ」として自由自在に活用しています。もう携帯のない生活は考えられないといった状態です。どうもこの傾向は我が家だけでなく、世の中全体の傾向のようです。これにいち早く着目した企業は、「財布」機能までこれに持たせてきました。カード時代と言われている今日ですが、新しいカードをこれに持たせようとしているようです。新しいバーコードもそうです。スーパーマーケットに並ぶ商品に付いているマークに携帯をかざすと商品説明がでてくるバーコードです。まさか、ハンカチやティッシュの役まではしてくれないでしょうが、一台の携帯を持ってさえいればOKといった感じです。子供達はこうした「携帯の拡張」を素直に受け取り、どんどん利用していっていますが、「携帯」に「遊び」を取り込めなかった私はどんどん疎遠になっています。

任天堂は先見性があったのか

 ゲームの世界も「携帯」によって変化が生じてきているようですね。飛ぶ鳥を落とす勢いで任天堂が築き上げたビデオゲーム世界を、よもやよもやの勢いでソニーが奪い去ったのですが、その後はビデオゲームそのものの衰退が始まりました。任天堂はいち早く「携帯ゲーム」に参入し「ポケモン」で新しい世界を作り上げました。こんな時代に「携帯電話」は高性能チップと高画質のTFTを持っているのですから当然ゲーム機に変身できます。私の持っている携帯にもゲームが付いていますが、それは本当にちゃちなものです。ところが最近の携帯に付いているゲームはもはや違うものです。ソニー、任天堂が共に新しい携帯ハードを出してきましたが、どうも主戦場は「携帯ゲーム」という狭い土俵ではなく、「総合携帯アミューズメント」といった新しい概念の世界になってきそうです。任天堂が最初にゲームボーイを出してきた時には、結局こうしたものも出したのだなぁと言うサブカルチャーとしてしか認識していなかったのですが、トレンドはそうした方向に向いていたのでしょうか。それとも任天堂が向けたのでしょうか。このあたりのトレンドに対する私の感性は少しずつ若い世代とはずれつつあるようです。

多様性を求めて二極化へ

 時代は「個性化」とか「多様化」とか言われていますが、どうも大きな「二極化」を孕んだ「多様化」のような気がします。個人生活においても「節約」と「贅沢」が同居し、それぞれの価値観の元に選ぶものが異なっています。携帯電話がもてはやされる一方で、パソコンのディスプレィはTVと融合してますます大型化してきています。こうした多様な価値観の世界の中で、「贅沢」を許す感覚のキーワードは「効率」や「利便性」と言うよりも「遊び」の感覚なのかもしれません。無意識のうちに「遊び」を取り込んでいるものがいつの間にか普及してきているのでしょう。私にとって昔のパソコンは「遊び」そのものでしたが、最近はパソコンから遊びの要素が薄くなってきていたようです。面白い「遊び」はないものだろうか。

Winny裁判が始まりました

 九月の始めにWinny裁判が始まりました。検察側の主張は、「著作権侵害を助長するソフトを意識的に作った」というものです。まあ、単純に言えば「人を殺すことができる銃を作ったから悪いのだ」というものでしょう。被告側としては「使う人の判断であって、ソフトを作っただけで犯罪とは言えない」というものです。多分争点は、作者に「悪用を承知で作ったかどうか」と言うところにあるようです。今、弁護師団は被告にはなるべく口をつぐんでおいて欲しいという気持ちでしょうね。資料を見る限り、彼は「現行の著作権法はもはや時代遅れである」という考え方を持っていると私は推察します。しかし、今そうした主張をすることは権力側の思うつぼです。裁判では、「敗訴しても世の中に問う」と言う意義を求める裁判もありますが、私は「この裁判は勝利する必要がある」と考えています。彼の主張には賛成しますし、時代はそうした挑戦者的な人が切り開いてきたと信じています。しかし、ソフト製作に法の網がかかってきたら、先進的なソフトの開発は停滞してしまいます。画期的なソフトというものは、今までの常識を壊すものですから、従来の法律では縛り切れません。それを従来の法で縛ろうとするのがお上です。法律というのは社会生活のルールですから遵守すると言うことは大切です。しかし、時として法律は既得利権者の擁護だけに傾くこともあります。時代が変わればルールは変更されることもあります。フランスレジスタンスはナチスドイツにとって見ればテロ組織でしたが、ナチスドイツが敗北すると英雄です。新しいルールが登場したからです。アメリカでも同じような裁判が何度か行われましたが、この過程で新しいルールが生まれてきています。アップルのiPodの大成功はまさにこれです。著作権侵害幇助などと言うつまらない罪名で、ソフト制作者の新しい挑戦の芽を摘んだり、新たな挑戦者に恫喝をかけてしまうことは日本の国益に反しています。

P2PはIP電話に

 海の向こうではP2P技術を活かした新しいビジネスが登場してきています。ルクセンブルクのスカイプ社は、ファイル交換ソフト『カザー』(KaZaA)の生みの親が設立した企業で、カザーが音楽の違法交換に利用されて訴えられたため、権利を売却し、現在はIP電話のSkypeスカイプの開発に取り組んでいるとのことです。このスカイブのP2P概念というのはWinnyに近いもので、P2P技術は相互に刺激しあいながら急速な進化を遂げているようです。日本で馬鹿な裁判で停滞しているうちに勝機を逃してしまいそうです。

Winnyと同じ分散ネットワーク概念で

 では、スカイブとはどんなソフトなのでしょうか。http://web.skype.com/home.ja.htmlに紹介が載っています。「Skype とは、世界中どこへでも無料コールが、今すぐお楽しみいただける、操作が簡単な無料のソフトウェアです。世界中で人気の KaZaA のクリエーターたちによって製作された Skype は、P2P(peer-to-peer)テクノロジーによって、他の Skype ユーザーと接続します。高い通話料金にうんざりしている方に、ぜひお勧めのテレフォニーソフトウェアです!Skype のダウンロードは、素早くとても簡単。ダウンロードする から登録を済ませれば、お使いの PC にヘッドホンをプラグインし、Skype ユーザーのお友達に通話できる環境が、ほんの数分で整います。しかも Skype のコールは、素晴らしい音質とエンドツーエンドの暗号を使用した高いセキュリティを兼ね備えています。そして何よりも、ファイアウォールやルータのコンフィギュレーションが一切必要なく、すぐにお使いいただける手軽さが、Skype の優れた利点です! 」要はパソコンを利用したIP電話なのですが、この技術にP2Pが使われていて、今ではパソコンだけでなくPDSや固定電話にまで広げようと言うものです。Winnyに近い概念と私が言うのは、「まずソフトをダウンロードしてSkypeのサーバーに登録する。すると,デジタル証明書が発行され,次にログインしたときにはどこのマシンにアクセスするかが決められる。2回目以降ログインしたときにアクセスするマシンのことをスーパーノードと呼ぶ。スーパーノードはSkypeのサーバーではなく他者のマシンである。スーパーノードは現在ログインしているノードのリストを常に更新している。スーパーノードの決まり方は,いくつかのパラメータがあるが,基本的には(1)性能の高いCPUでメモリーが大きく,(2)ブロードバンド接続ができ,(3)グローバル・アドレスを持つという条件を満たすマシン。Skypeのサーバーがスーパーノードを決めるのではなく,マシン同士がネゴシエーションして自己増殖していく。スーパーノードは全ノードの中で1% 以下の数だ。」というものです。本当に面白い技術だと感心してしまうわけですが、電話でおしゃべりが大好きというわけでない私はまだ試していません。インターネットで検索すると、音質もなかなかと言うことで、評判が良さそうです。ちょっと遊んでみるかなと思ったりもしています。

時代変換の兆し

 このところ、時代が変化し始めたと書いたことについて少し触れておきましょう。WindowsXPはサービスパック2(SP2)を発表しました。このバージョンアップではネットワークセキュリティの補強です。ウィルスにさんざん痛めつけられているWindowsにとっては必要な措置かもしれませんが、今まで接続できていたwebで少々問題も起きています。まあ、緩やかにはSP2が標準になるのでしょうが、だんだん設定が難しくなってきますね。誤解を招く言い方になってしまいましたが、一般ユーザーというか普通に使っている分にはより易しいものになっているのでしょうが、少し中に立ち入ろうとすると非常にやっかいになった、つまり私のような中途半端ユーザーは素人同然に突き落とされていくというのがWindowsの方向のようです。ハードウェアも大きな変化が生じています。数ヶ月前に新しいパソコンを作ったばかりの私ですが、私が作ったパソコンはもはや時代遅れになってしまいました。問題はチップセットです。915/925チップセットの登場によって、メモリはDDRからDDR2に、CPUもFSBがとうとう1000MHzに変わっていくようです。当然周辺も大きく変化します。ATAはパラレルからシリアルに、ISAから始まったバスアーキテクチャーは、PCIから“PCI Expressバスアーキテクチャー”に、と変化していきます。もっともこれら全てが普及パソコンにまで来るには今少し時間がかかるでしょうが、方向は見えてきました。うーん、難しい。デジタルカメラもまた新しい時代に入りましたね。各社一眼レフデジカメに参入です。高校生の時に小遣いを貯めてミノルタの一眼レフを買い求めた後、望遠レンズを買い足したことを思い出しましたが、「母さん、あのカメラ、どこに行ったのでしょう」といった印象です。欲しいものと必要なものの区別がつきだすとだんだん年寄りになってきますね。




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