OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 2006年3月号
連載227回

キャノン,インク詰め替え訴訟
勝訴の裏に,詰め替え技術の粋まで

懐かしの「ロードモナーク」つれづれ
中国旅行のおまけ話
 


お祭り小僧のランダム・アクセス

 ついこの間正月を迎えたと思ったら、もう2月も終わってしまいます。1月2月というのは本当にあっという間に過ぎ去っていくものですね。寒い寒いと思っている内に季節はもう春間近。梅の開花が1週間以上遅れているとか、寒さが長引くと言った話も聞こえますが、私の家の庭ではチューリップの芽が一斉に吹き出てきました。今年も美しい花が咲いてくれることでしょう。

 さて、ホリエモンショックは私の株式資産を直撃してしまいました。ライブドア株を持っていたわけではないのですが、私が懸念していた外国人投資家の及び腰が株価を一挙に冷やしてしまいました。昨年上げた利益は1ヶ月の内に消え去り、確定申告で税金の納税額だけが上がると言った結末を迎えています。こんな時期に確定申告をするなんて、気分は最悪です。これだから株取引は恐い。まあ、愚痴ったところで致し方ないので、ここは我慢のしどころと考えているところです。昨年末から今年の始めにかけてはちょっと強気と言うことで、色々買い物をしてしまいましたが、あまり浮かれているわけには行きませんね。子供の頃から可愛がっていた女の子達もだんだん大人になり、バレンタインデーにチョコレートを送ってくれることもなくなってきましたが、東京に就職した1人の女の子だけはまだチョコレートを送ってきてくれました。これはホワイトデーにちょっとしたものを贈らなくてはと思い、インターネットでさっそくジェリーのネックレスを頼んでしまったのも、まだ強気の表れかもしれません。絶対に取り返してやると決意を固めた次第です。

詰め替えカートリッジ訴訟

 さて、キャノンが訴えていた詰め替えカートリッジ訴訟ですが、一審では敗訴したものの、二審では勝訴しました。「プリンターのインクカートリッジの特許を持つキヤノン(本社・東京都)が、使用済みカートリッジにインクを再注入した再生品の販売禁止などを求めた訴訟の控訴審判決が1月31日、知財高裁大合議部で言い渡された。篠原勝美裁判長は特許権の侵害を認め、販売会社に再生品の輸入・販売禁止と廃棄を命じるキヤノン全面勝訴の逆転判決を言い渡した。販売会社は上告する方針だ。」 この記事を読んだ時、プリンタメーカーがどれだけ消耗品販売で利益を上げていたのかと言うことを初めて知りました。というか、薄々気付いてはいたのですが、改めて理解したと言ったところでしょうか。昨年買ったカラーレーザーにしてもトナー代の高かったこと。プリンタの値段をとことんまで削り、消耗品で利益を上げていくと言った構造がプリンタ業界の実体だったわけです。改めて、インターネットを調べてみると、Hewlett-Packard(HP)も詰め替えインクカートリッジを販売する企業を提訴していたり、各プリンタメーカーがそれぞれカートリッジに様々な特許がらみの工夫をしていることを知りました。私はあまり印刷をしない口なので利用したことはなかったのですが、詰め替えインクの需要というのは大きな市場で、エレコムやサンワサプライなどの大手も発売していたのですね。

 『知財高裁は、再生品が新たな「生産」にあたれば特許権を侵害し、「修理」なら侵害しない−という地裁が示した枠組みを否定。特許製品がいったん売られた後などは、特許権を侵害する物に対しても特許権者は販売差し止めなど特許権の行使ができないが、例外的に行使が認められる場合があるとした。そして特許権行使が認められる2類型を挙げた。一つは(1)製品の寿命が尽きた場合。それを加工した物が出回れば、特許製品の新たな需要を奪い、特許権者を害するからだ。もう一つは(2)発明の中核に当たる部品を加工したり交換したりした場合。やはり特許製品の新たな需要が奪われることを重視した。リ社の再生品については、特許の本質部分であるインク漏れ防止などのための特殊な構造を復活させることが(2)にあたるとして特許権行使を認める結論を導いた。リ社は「キヤノンはプリンターを安くし、カートリッジを高くして不当な利益を得ており、特許権行使を認めると消費者の利益を害する」としたが、判決は「価格設定は特許権者の自由」と退けた。カートリッジ市場全体に占めるリサイクル品のシェアは05年で約6%で、出荷数は急激に増えている。業界は急成長に冷水を浴びせられた形だが、篠原裁判長は判決理由で「リサイクル品の製造、販売が一切禁止されるべきだというのではない」と念を押した。』

インクカートリッジの謎

この判決に興味を持って、検索サイトで「インクカートリッジ 詰め替え」などで検索してみると、詰め替えインクの店や代理店がずらっと並んでいるだけでなく、様々な工夫をしている人達を見つけました。ヨドバシカメラなどの量販店に行ってみると、詰め替えインクのコーナーにはたくさんのコンパチ商品や詰め替えインクが並べられていました。調べてみると、あの小さなカートリッジにICチップを埋め込んで純正品かどうかを判定したり、一度取り外して再び着けると不都合が生じたりする工夫もされていることを知りました。ある人は「インクが無くなった」と判定されたカートリッジを分解して残量を本当に調べたところ、半分近くのインクが残っている場合もあるなどと報告していました。プリンタ会社は「環境に優しい」を標榜してリサイクルに協力しようと回収作業に精出しているように見えて、実は追加のインクカートリッジをどんどんユーザーに買わしていたわけです。うーん、反省。パソコン雑誌で今もてはやされているのは、「誰でも出来る自作」とか「違法すれすれのDVDコピー」と言ったもので、インクカートリッジの交換技術といったものはあまり取り上げられてきていなかったようです。しかし、インターネットで調べると非常に面白い技術が色々発表されているのですね。

 インクの残量をプリンタ側からパソコンに知らせたり、これ以上は印刷できないと言った残量検知システムも実はいい加減なものだと言うことも知りました。本当にインクの残量を検知しているわけではなく、印字数によって測ったり、適当な感知方法を採用しているのだそうです。私はあまりインクジェット式のプリンタを利用していないため、プリンタの改良を知りませんでした。昔のインクジェットではしばらく印刷をしてなかったらノズルが詰まって印字しなかったり、色々トラブルがありましたが、最近はなかなか高性能というか、自動メンテナンスが行き届いているようです(但し、洗浄装置はインクを垂れ流すため、適当に印刷していないとかえってインクが減ると言った皮肉な結果ももたらすようです)。その上に価格が安くなり、凄いものだと単純に感心していたのですが、年賀状や写真出力のようにプリンタ出力の需要が高まり、「プリンタ価格を抑え、消耗品で稼ぐ」という新しいビジネススタイルが出来上がっていたのですね。こうしたビジネスに付け入るコバンザメ商法も当然出てくるわけで、この戦いが熾烈を極めていたことに驚いてしまったわけです。

 レーザープリンタのトナーについてもどのようになっているかを調べてみる価値があるのかもしれませんが、インクジェットプリンタのインクカートリッジの構造はなかなか興味津々のものでした。インターネットを検索すると、インクの詰め替えにはなかなかテクニックがいるようですが、最近は詰め替えキットが発売されていて、そのマニュアル通りにやればうまく行くと言った記事が多く出ていましたが、極め付きはhttp://www.geocities.jp/hirai_kjp/printer.htmlです。インクカートリッジに外付けのインクボトルを取り付け、インクを連続供給しようと言うものです。まさに改造プリンタと呼んだ方がよいものでしょう。このホームページには、インクカートリッジの構造、詰め替え原理、連続供給に至る経過、改良発展型など、詰め替え技術を越えたものがありました。このホームページはエプソンプリンタを扱ったものでしたが、キャノンに適用したページがhttp://www.tsumekaeink.com/のなかにありました。このホームページではキャノン系のプリンタの詰め替え技術について色々書かれているのですが、極めつけがhttp://www.tsumekaeink.com/xfsection+article.articleid+2.htmです。こうした裏技術はコアユーザーによって日々改良されていたのでしょうが、門外漢の私には驚きでした。多分私がもう少し若かったらすぐさま試したことでしょうが、今の私にとっては知識としてしか役に立たないようです。ハードに印刷をしている人にとって、メーカー保証など入らないから、安く印刷をしたいという要求はきっとあるでしょう。プリンタの値段を下げて消耗品で稼ごうとするメーカーに対して、それを逆手にとって安いプリンタを手に入れ、それを改造して大量の印刷を安く上げようと考える、そうした人にとっては非常に興味深い技術だと思います。

「ロードモナーク」の思い出に再挑戦

 昨年からソースネクストのソフトをちょくちょく買っていたのですが、久しぶりにゲームを購入しました。といっても新しいものというのではなく、ソースネクストのリニューアルソフトで、懐かしい「ロードモナーク」をWindows版でやってみようと思ったのです。探していると、昔の「ロードモナーク」は「オリジナル」という形に変わり、新たというか私が知らなかっただけかもしれませんが、「プロ」というのと「モナークモナーク」というシリーズがありました。ふたつとも購入し、最初に「モナークモナーク」をインストールしました。懐かしいゲーム音楽が流れ、私のワイドのスクリーン一杯に画面が登場した時には嬉しくなってしまいました。このゲームは「戦略アクションゲーム」というか、オートマチックに動く兵隊をマウスで掴んでは戦略を与えて、敵の陣地を占領するというものです。昔、どうしても勝てない面では何日も苦闘したあげく、亡くなった出射さんにあるヒントを貰い、そのもとにやり直すとクリアできたし、その後完全クリアできた思い出があります。全部の面をクリアした後、それぞれの面での再挑戦が出来ます。完全占領の領地専有面積と達成日数によって得点が異なり、段位が上がります。昔も一度完了してから得点の低かったところに再挑戦し、段位を上げていったことを思い出します。「やっと五段になったよ」と出射さんに話すと「まだやってんの。俺はとっくに十段まで行って止めたよ」と言われ、こんちくしょうなんて思ったものでした。いつまでこれを繰り返したのかは憶えていませんが、ゲームを完了させた唯一のゲームでもあったのです。

 さて、「モナークモナーク」ですが、これは「ロードモナーク」の入門編のようなもので、なかなか楽しめます。一晩に一面ずつクリアしていけばいいと思いつつ、興に乗ると数面チャレンジしていたり、同じ面が数日クリアできなかったりしながら毎日を過ごしています。難しい局面ではスピードをスローにして、一人ひとりの兵隊に指示を与える必要があるのですが、リニューアル版のスピードはスローにしてもそこそこ速いのです。これは昔のCPUと現在のCPUの速度の差によるものかもしれません。たしか、昔のソフトではスローにするとスローモーションのような動きまでに下がっていたような気がするのですが、今回のスローはそこそこ速く、ファーストなんかにすると命令なんて出来る代物ではありません。ゲームのルールというか、戦略の建て方というか、最初はなかなか思い出せなかったのですが、やっている内に少しずつ思い出してきました。うーん、このゲームは奥が深い。又はまっています。

中国の大変な買い物の後日談

 昨年10月に女房と北京西安に遊びに行った話は書きましたが、その時大変な買い物をしていたのです。オリンピックに向けて今北京の旧跡は改修工事にたくさんの寄付を集めています。故宮においても書を書いて貰い掛け軸にして数万円の寄付に応じたりしたわけですが、昔の大学であった「国子監」では大変な寄付を求められたのです。案内された部屋は工芸品が並んでいて、数個の大きな工芸棚がありました。その中にはそれぞれ10ヶほどの玉工芸が飾ってあり、北京古代美術館の職員だという人の説明によると「中国人に寄付を求めたところ、この工芸品を出してくれた。これを売って修理費に充てたいのだ。ついては金持ちの日本人に購入して貰いたい」と言うのだ。「手付け金を少し払ってくれたなら、責任を持ってあなたの家まで送り届ける。その上で満額払い込んでくれたらいい」とも言い、日本と中国の友好のためになどと言われている内、持ち帰った後の置き場所のことなど悩みながらもどうにかなるだろうとサインをしてしまっていたのです。1ヶ月くらいで届けますと言っていたのですが、税関手続きで止まっていてしばらく待って欲しい旨の連絡が何度かあり、年を越してしまいました。そのまま来なくても手付け金を寄付と考えてくれと言おうかとも思ったものの、品物は日本に届いているわけで、どうしたものかと考えるのを先送りしていたら、届いたのです。工芸棚と工芸品が別々の梱包となっていて、それぞれ軽四トラックに一杯といったものでした。中身を確認してくださいという中国からの電話を貰いながらも、その梱包にあっけにとられ暫く放置をしていましたが、何とか梱包を解いたわけです。値段に釣り合うものかどうかは別にして、寄付の代償に贈ってきてくれた品物と考えることにしてはいたのですが、置き場所に困っています。相当に重い品物ですから、応接間の床下の補強が必要となってきます。この改造費が10万円近くすると言うことで、まったくとんでもない買い物をしたものだと自分ながら呆れているところです。飾り終わったら友人達を集めて、自虐的な話も含めて披露することにしましょう。


returnreturn