OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 2006年4月号
連載228回

Winny情報流出騒ぎも
何のことか分からない人達

任天堂のDS,ますます快調のようです
戦略転換の秘密,教えて  


お祭り小僧のランダム・アクセス

 まだまだ肌寒い朝が続きますが、やっと春らしい陽気が漂う頃となってきました。東京ではもう桜が咲いたと言うことですが、私の地方ではまだ蕾のままです。寒い冬だったので桜の開花が遅くなると思っていたら、冬の寒さと2−3月の気温が開花の決め手らしく、私達は寒い寒いと思っていた2−3月はそこそこの温度に上がっていたそうです。庭のチューリップやヒヤシンスも堅い蕾を付けてきたので、あっという間に花が咲くでしょう。本当に春って言うヤツは不思議なものですね。周辺の色が一斉に柔らかい色彩に満ちあふれてきます。

Winnyは危険なソフト?

 さて、先月号にはROMROM君がWinnyによる情報流出について書いていましたが、このところ毎日のように新聞テレビに情報流出のニュースが流れてきます。私の友人に学校の校長をしているものがいて、「あれは何なんだ。新聞では著作権法違反が何たらと言っているが..」と聞いてきました。「公務員は使ってはいけないと言っているのに、それでも使うのは著作権違反のものが手に入るからつい手を出すのだと聞いたのだが..」と言った話をします。彼の立場にしてみればやっぱり気になることでしょう。どうも彼の頭のなかではWinnyとそこで流通している情報ファイルの情報が混乱しているようです。そこで私は図を書きながら説明をしたわけです。「インターネットに繋いだパソコンの内、Winnyを走らせているパソコン同士は自分が操作しなくても互いにファイルのやり取りをしている。Winnyというのはそういうファイルを交換し合うシステムを作るソフトで、こうした種類のソフトはたくさんある。ただ、日本で仲間が多いのがWinnyなんだ。これは著作権違反でも何でもないわけだが、やり取りしているソフトのなかに著作権違反だと言われているものが多くあるというのが事実だ。少しパソコンに詳しい人間だったら、そんな怪しいものが簡単に手に入るのならやってみようと言う誘惑に駆られ、Winnyを導入してしまうわけだ。ところがこのWinnyにウィルスを仕掛けたものが出てきて、そのウィルスに冒されたパソコンでは本来なら制限している情報のやり取りをしている領域を越えたところまで無差別に情報交換領域に変わってしまうのだ。本人は制限領域があるから大丈夫と思っていたところ、知らない間に自分のパソコンの全ての領域のものが流れ出していたというわけさ。Winnyを導入しているパソコンにはウィルスチェックをと言うけれど、ウィルス駆除が出回る前にウィルスに感染してしまったらお終いなのだから、Winnyを導入するパソコンは他のソフトやデータを入れないでそれだけにしておく方がいいって事さ」と答えてやりました。

いつの間にか取り残されてしまう

 先日ROMROM君と話をした時、「情報を流出させた公務員の多くは、多分昔パソコンに詳しいと自他共に認められたものだったに違いないけれど、いつの間にか自分の知識が古くなっていることに気がつかなくなった連中だ」と彼は言います。うーん、自分のことを言われているようでちょっと自己反省をしてしまいました。昔、DOS時代からWindows時代になった時、この「PC通信」で沙門さんと論争したことを思い出してしまいました。これだけ速いスピードで技術革新が行われている世界では、好奇心が薄れてくると取り残されてしまうわけですが、情報の幅と厚みがこれだけ広がってくるとだんだん全体がカバーしきれなくなり、それじゃあそこそこでいいやと自己規定してしまうのだと反省したわけです。調べものをするにはインターネットは非常に便利が良いものです。校長である友人が「テレビの買い換えを考えているのだが、今のアナログ地上波のテレビはもう使えなくなるのだろう」と聞いた時、すぐにインターネットで検索して「2011年の7月まではアナログ地上波の放送は続く」と答えることが出来ます。しかし、キーワードを知らなくては情報を引き出せないことも確かです。ネットサーフィンをしている内に偶然見つけた情報というのもあるでしょうが、これだけ情報が膨らんだインターネット上でそうしたものにぶつかる偶然はますます希薄になってきます。久しぶりにパソコン雑誌を読んでみるとパソコン世界の様々なトレンドをかき集めてきています。私が知らなかったキーワードもあります。うん、こんなところが雑誌とインターネットの違いかなとも思ったわけです。トレンドに対するアンテナはかえってアナログ文化である雑誌の方が優れているのかもしれません。

インターネットの広告

 そういえばその校長がまたもや質問をしました。「自分はほとんどインターネットなんか利用しないのだが、時々Yahooのニュースは覗くんだ。あんなサービスは誰が金を払っているんだ」と聞きます。昔から私がいくら説明してやってもほとんどパソコンを使わなかった彼には、社会常識としてのパソコンあるいはインターネット知識はあるのですが、それ以上は自分には関係ないことと日生活を続けているのですが、私に出会うと色々質問をしてきます。「インターネットの世界も広告料金で成立してきているのだ。君がYahooのページを開いた時、上にバナーというのがあって、そこにCMがあるだろう。」とYahooページを見せながら、「インターネットのCMの、テレビやラジオと違う点は、CMをクリックしたらそのページに飛べるって事さ」とクリックをして見せます。「そうか、そのまま購入画面まで順々に飛んでいかすことが出来るわけだな」と簡単に理解します。「昨年、ライブドアとフジテレビのM&Aがさんざんテレビで流れただろう。テレビの広告徴収額はこのところ頭打ちで、インターネットの広告料金が少しずつ上がってきているんだ。映画やドラマは最近録画してみる人が多くなり、レコーダーはCMを簡単にカットして再生できるようになってきているから、テレビ局は頭を抱えだしているのだ。テレビとインターネットの融合とか何とか言っていただろう」というと、「そうか、そうしたら今画面に映し出しているのがテレビかインターネットか分からなくなる時代が来るかもしれないのだな。」と返してきます。「テレビのCM情報というのは『ながら情報』だけれど、インターネットのCM情報は今見たように購買のところまで飛ばすことが出来るのなら、これを有機的に繋げられないかと考えるのは当然の流れだ」と説明すると、納得はするものの自分には関係のないことと腰を上げました。彼には自分のパソコンのインターネットのポータルサイトがたまたまYahooになっていることの自覚もありません。彼のスタイルを見ているとトレンドもへったくれもありません。自分の身の丈の中でじっくりと腰を下ろして生きているわけです。あー、私もあーいったスタイルが取れたら楽なのかもしれないとまたもや自己反省。

ニンテンドーDS Lite

 任天堂の「ニンテンドーDS Lite」が爆発的な売れ行きだそうですね。任天堂はなかなか商売が上手というのか、トレンドを読むのがうまいというか、浮き沈みの激しいゲーム世界の中でその位置を確実なものにしていますね。ソニーのプレイステーションに市場を奪われたかに見えながら、しっかりと新市場を創りだしてしまうと言う才覚に驚いています。高性能・高機能に突き進んだゲームの潮流に限界が見えた時、携帯ゲーム機を花開かせたわけなのですが、凄いの一言です。アニメーションが自分の操作で繰り広げられる高性能ゲーム機の世界には魅せられるわけですが、もともと指先が器用でない私にとってはアクションゲームは苦手だったのですが、近年のゲームには近づこうとも思わなくなっていました。ところが、任天堂が広げた携帯ゲーム機の世界ではそこまでの精細さを追求することが出来ないためか、アニメの世界と合体してポケモンを生み出してしまいました。画面上に動くキャラクターにはリアルな画像や動きを求めないで、想像力で自分のキャラクターを膨らませることが出来るような工夫がうけたのでしょうね。対抗するソニーは携帯の世界にも高性能・高機能をつぎ込んだわけですが、思ったほどの伸びが出てないようです。Xboxで追い打ちをかけているMicrosoftもソニーと同路線を走ろうとしています。今度は携帯機を出すと言うことですが、どんなコンセプトのものなのでしょうか。ニンテンドーDSの成功は、コンセプトとその路線に沿ったソフトが生まれたところにあるのでしょう。マーケットのターゲットを子供や若者から一定以上の年代の人達へと広げようと、シンプルでありながら填ってしまうゲームを生み出したことでしょう。確かに一方でオンラインゲームがひとつの世界を作っているわけですが、こうした世界はやはりオタク達の世界で、友人の校長などはあずかり知らない世界なわけです。ところが彼の孫が数年経って少し大きくなったらきっと購入してやるに違いないのがニンテンドーDSのようなゲーム機なのでしょう。「おじいちゃんも一緒にやろうよ」と孫と共通の話題にはまれるシンプルで楽しいゲームというコンセプトは、オタクの世界に振れきっていたゲーム世界を初期のテレビゲーム世界に引き戻したようです。ファミコンが社会現象になった時代、賛否両論はあったものの、家庭で簡単に遊べるテレビゲームという概念がわくわく感をかき立てたものでした。

レボリューションのエミュレーター

 任天堂は、次のテレビゲーム機に「レボリューション」を発表しています。このレボリューションには自社タイトルのほか、セガのメガドライブで発売されたタイトルやハドソンがNECと共同開発したPCエンジンのタイトルをダウンロードできるようになると言う。パソコン世界ではそうしたゲームのエミュレーターが盛んに発表されているが、メーカーがそれを押し進めるなんて初めてのことです。懐かしのゲームを再びと言うこと以上に、生み出されたソフト資産を幅広い範囲で活用できる場所が生まれることは素晴らしいことです。任天堂代表取締役社長・岩田聡氏は、“戦略の再検討”“ビジネスの再定義”“市場の拡大”の3つを任天堂のビジネスモデルとしていると紹介する。こうしたビジネスモデルを他の業界でどのように活用したらいいのか、頭を痛めるところではあるのですが、しっかり取り入れたいコンセプトではあります。柔軟な思考が新しい戦略を生み出していくというものの、さてさて今の私の仕事ではどうしたらよいのだろう。思案のしどころと言ったところでしょうか。


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