男の花道だよ、ビル・ゲイツさん
俺だってカッコよく引退したいよ
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梅雨の季節がやっと始まり、なんとなく夏が始まったようです。どうもこのところの季節感ははっきりしません。昨年末の冬の入りもそうでしたが、なかなか熱さが引かないと思っていたら一気に冬に突入してしまいましたね。今年の夏も急に暑さがやってくるのでしょうか。このままずるずると真夏のギラギラ感がやってこず、冷夏による景気の腰折れは避けたいものだと思ってしいます。爽快な夏を期待したいものです。今年の夏も学区の盆踊り大会を企画してしまい、その準備に追われる日々が続きます。イベントの主催というのはなかなか骨の折れるものです。
ビル・ゲイツ氏の引退
さて、2年後の2008年にはMicrosoft社のビル・ゲイツ氏は引退することを発表しました。功なり名を遂げて引退というのは男の花道なのでしょう。羨ましい限りと言いたいです。パソコンの歴史を作ってきたとも言えるMicrosoft社も、永久にトップランナーでいることは難しい時代となり、そんな時期に引退表明を出すというのはどんな意味があるのかは分かりませんが、今後はボランティア活動に専念すると言っています。アメリカの金持ち達は、そうした道徳観があるようですね。日本でも任天堂の山内社長が京都大学に大きな寄付をしたと報じられていましたが、ビル・ゲイツと山内社長の年齢は大きな差があります。ビル・ゲイツはまだ50才ですから、いうなれば働き盛りとも言える年代です。その彼が引退表明を出すと言うことは、ひとつの時代の終焉を宣言したと言うことなのでしょうか。「伝説のまま引退する」のが 私の夢なのですが、私の女房に言わせれば「あそこまで稼いだら私は何も言わないけれど、あなたの稼ぎではまだまだ働いて貰わなくちゃあ」です。彼のことを色々悪口を言う人もいますが、綱渡りのようなパソコン黎明期を安定期に押し上げた手腕には感心してしまいます。日本でもパソコン黎明期にはたくさんのパソコンドリーマー達が登場しましたが、そのまま駆け抜けた人はほんの一握りというか、殆どいなかったというか、なつかしい人達の名前が浮かんでは消えていきます。今では誰でもパソコンの一台くらいは持っていたり、そこそこにインターネットを活用したりしていますが、20年以上前、パソコンで仕事をしたり遊んだりしていた人達はほんの一握りのものでした。そんな人達の憧れの的であったり、羨望とやっかみの対象であったのがビル・ゲイツだったといえるでしょう。コンチクショウ、とやっかみを込めて慈善事業に送り出してやりましょう。
「100ドルPC」って本当?
慈善事業と言えば、「100ドルPC」の話は知っているでしょうか。2005年、MIT Media Lab(マサチューセッツ工科大学メディア・ラボ)は,発展途上国の子供1人ひとりに価格100ドルのLinuxノート・パソコンを提供する活動に取り組む非営利団体「One Laptop per Child(OLPC)」を設立しました。OLPCプロジェクトと呼ぶそうです。MIT Media Lab所長兼共同設立者のNicholas Negroponte氏は、低価格パソコンを発展途上国の子供達に提供することの必要性について,「ノート・パソコンは世界に開いた窓であると同時に,考えるための道具でもある」と説明し、「すべての子供に,自分自身で操作して探求するという行為を通して“学ぶことを学ばせる”には,パソコンの提供は優れたやり方だ」と語り、その実現を模索していました。デスクトップ・パソコンよりも高価なノート・パソコンを選んだことについては、「子供達が(学校などだけでなく)夜には家に持ち帰って使えるモバイル性が重要」と考えたと言うことで、その仕様には様々な工夫をしていました。提案されたマシンは、500MHzのプロセッサ、1Gバイトのメモリ、そして革新的なデュアルモードディスプレイの搭載が提唱され、フルカラーモードと、太陽の下でも見える白黒モードという2つのモードで使えるディスプレイの採用で、同マシンは「電子ブックにもノートPCにもなる」と、同氏は説明した。 システムの電源は、従来の交流電源やバッテリのほか、ノートPCの横に付いたハンドルからも供給するようになるという。ネットワークへの接続についてはWi-Fiと携帯電話に対応するほか、USBポートも4基搭載され、さらに「メッシュネットワーキング」に対応する機能も内蔵される。これは、1つのインターネット回線を複数のマシンで共有できるようにするピアツーピア(P2P)のコンセプトの1つだそうだ。これは、同計画がターゲットにする多くの国では、都市から離れると電気の供給がないためだという。この提案は多くのパソコン関係者だけではなく、後進国政府、慈善団体にも好意と危うさを持って受け止められていました。同氏は、1年以内に用意する最初の500万〜1500万台のテスト機の開発に関し、Google、Advanced Micro Devices(AMD)、News Corp、Red Hat、BrightStarの5社がMITに協力していることを明かし、現在の計画では2007年までに1億〜1億5000万台を製造することになっていると述べたそうだ。この目標は大変な大胆な数字です。現在製造されているノートPCの台数は、全世界合計で5000万台をわずかに下回る程度だからだ。また、多くの人がこのプロジェクトを称賛してきましたが、なかには、その実現性に懐疑的な見方を示す人もいました。Intel会長のCraig Barrett氏は、「このコンセプトはあまり受け入れられない。なぜなら、発展途上国の消費者は本格的なPCを欲しがっている」というのが、同氏の主張です。もっとも、過去に実施されたプロジェクトからも、発展途上国にPCを配布することの難しさがうかがえます。たとえば、ブラジルでは過去に何度も安価なPCを配布する計画が実行されては失敗しているし、インドで設計された廉価版PC「Simputer」も広く受け入れられなかったし、AMDもインターネット機器を発展途上国向けに安価に提供しようと取り組んだが、この取り組みも成功しなかったと関係者は述べている。
「100ドルPC」を巡る困惑も
そのような様々な憶測と期待の中で、「100ドルPC」の実現はどうやら現実味を帯びてきたようです。ただ、その価格は100ドルから140ドル程度になる可能性が強いそうだ。この計画がだんだん実現性を増すにつれ、様々な軋みが生まれてきているようです。当然従来の既得権保持者であるIntelやMicrosoftからは異論があり、「IT業界の全てが同プロジェクトに賛同しているわけではない。AMDはわれわれのパートナーだが、これは、私の取り組みがIntelには嫌われていることを意味する。(Microsoft会長の)Bill Gates氏も喜んではいない。しかし、MicrosoftやIntelに不快な思いをさせているのだとすれば、私のしていることは正しいのだと思う」とNicholas Negroponte氏は述べている。また、リサイクルPCを後進国に提供する最大規模の慈善団体のトップが、発展途上国向けに特別仕様のノートPCを製作する活動には基本的な問題があると主張している。彼は、 「これが成功しないと思う本当の理由は、プロジェクトが技術の歴史に対する誤解に基づいているからだ。彼らは、実績のない、標準規格外のプラットフォームを投入しようとしている。それも、政府にしか販売しない計画だ。購入の意思決定は5年ごとに任期を迎える政治家が下すことになる。政治家にとって、規格外の技術を選ぶことは政治生命を脅かしかねない行為だ。普通の政治家はそんな判断を下さない」「(OLPCのプロトタイプが2005年に初披露された)国連の世界首脳会議では、ほかにも多くの既存プロジェクトが紹介されたが、OLPCに関心が集中し、ほかが全く注目されなかった」と、批判をしています。
夢のような話には落とし穴もある
夢のような話に疑念を持つ人達は多くいます。実は私もその1人なのかもしれません。昔、こんな話を聞いた記憶があります。アフリカの国に井戸のためにポンプを供給したところ、先進的な電動ポンプは数年も経たないうちに使われなくなり、中国が贈った手押しポンプだけが利用され続けていたというものです。多くの人達は「情報格差による富の偏り」とか、「教育水準の均等化」を話題に取り上げます。それはそれで正しいのかもしれません。本当に優秀な子供が教育の機会がないためスポイルされてしまっているという現実はあるでしょう。しかし、その国全体の経済レベルあるいは文化レベルが上がらないことにはその子供を助けることは難しいでしょう。インターネットと繋がる一台のパソコンが1人の天才を生み出す可能性がないとは言いません。しかし、100ドルとはいえ食料とパソコンのどちらに価値を見いだすかは、その国々の状況に寄ります。本当に貧しい国だったら、親がそれを取り上げて食料に変えてしまうかもしれません。そんな悲観的なことを言うと非難を浴びてしまうでしょうが、このプロジェクトが大規模にしかも迅速に実現したとすれば、世界観が変わってしまうかもしれません。だって、世界中に一気に広まってしまえば、パソコンの価値は食料の代わりになるものではなくなり、OSもWindowsからLinuxに変わったり、発展途上国の国力が増し、大変換が起こるかもしれません。もっとも今以上の人達が地球上で生活を謳歌するようになったら、世界平和をいくら唱えようと地球は持たないかもしれないと、馬鹿げた幻想にとらわれるのは私だけでしょうか。やっぱり日本の年寄りはいい加減で死んでいくのが正しい道なのかもと、自分の老後を少しずつリアルに考えてしまいます。
とんでもない詐欺ウィルス「ブラックウォーム」
先般会社のパソコンでインターネットにアクセスしていたら、突然「ウィルスに感染している可能性があります」という警告が出てきました。「おいおい、このパソコンにはちゃんとウィルスチェックが入っているはずだぞ。しかも、なぜこんな警告が突然やってくるのだ」とちょっとビビリながら、しかしいぶかりながらパソコンのマウスを止めてしまいました。隣のパソコンからインターネットに接続して、「ブラックウォーム」というウィルスを検索してみるとインターネット詐欺だとの書き込みがたくさんありました。「あなたのパソコンはウィルスに感染している。ついては次のWinAntiVirusPRO2006
WinAntiSpyware2006をダウンロードして駆除してください」と言うのです。このような手口には『WinFixer2005』と言うのもあったそうです。このようなソフトをはいはいとダウンロードすると後で高額な請求が来るそうです。一瞬ひやりとした私が馬鹿だったのでしょうか。「こんなたわいもない」と言えるのは、インターネットの書き込みのおかげでもあるわけですが、インターネットに接続してなければこんな画面も出てきません。本当にインターネット社会の矛盾を体験させられてしまいました。インターネットに繋ぐと言うことは、善意と悪意の交錯した世界に足を踏み入れるって事なんでしょうね。