OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 2006年9月号
連載233回

インターネットは社会を変える
恐ろしいのは無自覚に流される事

WalkingNAV Pio P350を買いました
なかなか実用にならない


お祭り小僧のランダム・アクセス

 梅雨が明けたと思ったら、猛烈な熱さがやってきましたね。クーラーも付けないで部屋を空けっぱなしにしていますが、風が入ってくるものの、汗が体中から噴き出てきます。7月末の地域の盆踊り大会も大勢の人がやってきてくれ、大変な盛り上がりとなって、無事終えました。昨年はパソコンのトラブルや初めての試みに様々な問題が起こりましたが、今年の場合は比較的順調に進んでくれました。まあ、来年もきっとぶつぶつ言いながらも主催するのだろうな。

アジアに生まれたナショナリズムの台頭

 小泉首相はイタチの最後ッ屁のように8月15日に靖国参拝を強行しましたね。新聞やマスコミは織り込み済みという見解でこれを紹介していましたが、テレビでは8月15日の終戦特集と言うことで、討論会などをやっていました。「戦争に反対する」という立場の人も、「太平洋戦争でなくなった多くの人を慰霊する」という綺麗事には反対できず、「太平洋戦争を肯定的に評価しよう」とする人達も「戦争は二度と起こしてはならない」という綺麗事には反対できないと言う、私に言わせればどこか奥歯に物が挟まった論陣に少し苛立ち、とうとうスイッチを切ってしまいました。その討論の間中、携帯電話での投票を行っていましたが、「首相の靖国参拝賛成」が60%以上を占めていて、しかも10代から30代までの若い世代に賛成派が多いことに驚きを感じてしまいました。携帯で投票を返すことが出来る世代に賛成派が多ければ当然全体の票も賛成派に傾くわけですが、若い世代にナショナリズムの台頭が起こっているようです。中国・韓国の反日ナショナリズムに対抗するように日本国内でも若者達にナショナリズムが台頭してきているようで、ちょっと気味が悪いのです。半年ほど前、村上龍の「半島を出よ」を読みましたが、日常生活を大事にしたいと思う人にとっては、それがナショナリズムかニヒリズムか、あるいはファシズムなんかは関係なくて、周辺の感情が自我の理性を越えてしまう現象に陥りやすいわけです。ここで、私は綺麗事を捨てることにしました。つまり「太平洋戦争でなくなった人達はみんな犬死にだったのだ!馬鹿な指導者に付いていったのは自分達、あるいは同時代の人間達の責任だったのだ。馬鹿な戦争に駆り出した指導者も馬鹿だったけれど、それに追随した者達も馬鹿者だったのだ」と言い切ることにしました。そうでなくては太平洋戦争を肯定化しようとしている者達の論理に組み込まれてしまうと思うようになったのです。

ブログやSNS

 このところ新聞の文化欄ではブログやSNSについての話題が増えています。肯定的に扱っているものもあれば、ちょっと懐疑的というか否定的に書かれているものまで様々です。インターネットが作り出した世界はあっという間に世界を変えてしまったようです。雑誌通販はインターネット通販に、電話はメールに、CDはネット配信にと従来のビジネスモデルはどんどん変化を迫られているわけですが、社会生活の変化はもっと大きいのかもしれません。昔からパソコンに親しみ、パソコン通信からインターネットへと移行してきた私にとっては、インターネットへ流れ込み、今や大きな潮流になっているものから取り残されたような気もしてしまいます。総務省の調べではブログやSNSの利用者はそれぞれ865万人と716万人と言うことです。パソコン通信の頃の参加者の比ではありません。私自身を振り返っても、学生時代には利害関係に縛られない自由な友人関係が作れていたのに、社会人になるとその友人関係は縮小され、多くの場合社会生活に規定された人間関係に縛られるようになってきたように思います。「PC通信」はそうしたなかにおいてバランスをとるのに有効な小世界だったわけです。ブログやSNSに参加している人達というのも、実はそんな閉塞感からの脱出を目指しているのでしょう。ただ、私はあまりまめな性格ではなく、少々飽きっぽいところがあるため、メールの返事にしても最低限のことしか書かなくなってきています(とはいえ、パソコン通信が始まった頃はしばしば長文のメールなどを書いていたことを思い出し、思わず赤面してしまいました)。新聞の取材をうけた多くの利用者は、「電車男」ではないですが相当まめな性格の人が多いらしく、一日の多くの時間をこうしたインターネットを通じたコミュニティー参加に費やしているそうです。まあ、それは個人的趣味の問題だと言えばそれまでなんでしょうが、そこまで偏ってしまうとどうなんだろうと私は懐疑的になってしまいます。ある新聞記事にはミクシィ依存症なんて言葉が作られていましたが、何となく分かる気がします。私の長女などは24時間インターネットとつなぎ放しで、仕事から帰るとまずチェック、夕食を食べ終わるとチャットor書き込みを、テレビを見たりベットでの仮眠(?)をとりながら朝方近くまで起きています。「寝る時はしっかり寝て、メリハリのついた生活をしろ」とはいうものの、いっこうに耳を貸す気持ちはなさそうです。そうした生活によって得られた雑学知識はなかなかなものだと思う反面、流行りのものだけを追っているような気もしてなりません。 こうしたインターネットコミュニケーションに「経済価値」を見つけだした若者達はそれを有機的に企業化して、独立を計っているようです。自分のブログで紹介した商品と企業のサイトとをリンクさせ、紹介料を得ると言った初期段階から、それらをつなぎ合わせるイベントサイトを作るなど確かに面白い動きが出てきています。それらの中の何人が生き残ることが出来るかどうかは別にして、若者達の独立心が芽生えるチャンスをインターネットが与えていることは事実です。カリスマ**と言った称号は様々な分野に及んでいますが、インターネット社会でも非常に多くのあくせいすアクセス数を誇るサイトはある意味でこうした称号を得ているのでしょうが、それを読む人達の盲信は恐いものがあります。ある企業はそうしたメンバーに「自分のところの商品の紹介をブログに書き込んでくれたら謝礼を出す」と誘いをかけ、多くのブログからランダムに発信されたコマーシャルは成功したという話もあります。そうした裏話がばれてさんざんな目に陥ったものもあるそうですが。

 とはいえ、インターネットは確実に私達の社会生活の中に浸透してきています。「賢い消費者になろう」というコマーシャルに載せられ、中途半端な知識をくすぐられ、「自分は賢い消費者なんだ」という自負心で「馬鹿な消費者」に陥ることがあることを肝に銘じて生活をしていくことが大切だと実感する今日この頃です。

Mio P350を買いました

 さて、先日パソコンショップで久しぶりに馬鹿な買い物をしてしまいました。最近私が購入したもので長い期間利用したものなどひとつもありません。多分これもそのひとつだろうなと思いながら、1ヶ月ほどのおもちゃかなと言いつつ購入したわけです。たまたま立ち寄ってみたパソコンショップのカウンター横に5×10cm位の大きさの小さな液晶画面の中に地図が映っているものを見つけました。これは何だろうと横の説明を見ると、PocketPCでしかもナビだとあります。値段を見ると50,000円を切った価格です。このところおもちゃを買っていなかった私は、詳しい情報も調べないまま衝動買いをしてしまったのです。家に持ち帰り、商品をとりだすすと共にインターネットでこの商品を検索しました。商品はMitacのMio P350というもので、2006年の6月に発売されたものだと分かりました。Mitacはこれに先行するPDSを色々出していて、Mio P350はWalkingNAVという概念のもとに作られたものだと言うことです。仕事先の人から「お祭り小僧さんはパソコン関係のものはいつもはやばやと買っているには、どうしてナビは買わないの?」と不思議がられたりしていたのですが、私の車にはまだナビは設置していません。というのは、ナビに頼ってしまうと私の頭の中の地図感覚が鈍ってしまうとの危惧感があったためなのです。自分で運転をしているときには頭の中で常に位置関係を確認しているのですが、他人の車に乗った場合はまるっきり無頓着で、再びその道を走れと言われても出来なかった経験があります。「ワープロが日本人の感じ書取能力を落とした」という説にはあまり乗らない私ですが、ナビは人間の方向認知の本能を退化させるのではと言う意識を持っていたからです。ではなぜMio P350に魅せられたというのでしょう。ひとつはパソコンオタクの私にはこれがPocketPCであるということ、もうひとつは車に縛られず持ち歩ける大きさであるという点でした。先般海外に旅行した時、一緒に出かけていた年輩の人が磁石を取り出して「ああ、こっちが北だから...」と言いました。「それはいいですね、コンパクトで大体の見当がつきますね」と言うと、「私は方向音痴だから旅行に出る時にはこれを持っていくんだよ」と答えました。その時、私は次の旅行の時には磁石を持っていこうと思ったものでしたが、GPSならもっと面白いとMio P350を購入したわけです。インターネットで検索してみるとMio P350のフォーラムがあり、海外版の地図を入れてアメリカやヨーロッパで利用したという書き込みがたくさんありました。当然うまくインストールできなかったの、出来たなどその間の苦労話もたくさんあり、やっぱり考えることは一緒だなと思わずにんまりしたものです。

ちょっと実用には..と言うのが実感

 さて、実際の使用感に入りましょう。実は遊んでみて暫くしたら、「あまり実用的ではない」という結論に達しました。GPSというのは電源を入れさえすれば即座に位置を把握してくれるのかなと思っていたら、これがなかなか掛かるのですね。車についているナビを見ていたら、発進すると同時に位置が検出されているようだったので、これもそうなのだとばかり思っていたら、画面上にたくさんの衛星が表示され、それの信号を拾い集めて位置を決定しているようです。一度検出さえしておけば動くたびに移動はしますから問題はありませんが、電源を入れた時の最初の検出は1分間以上掛かるので、ちょっと残念。次が電源です。この製品にはたくさんの付属品がついてきます。シガレットケースからの電源コード、家庭のプラグからのコード、パソコンからはUSBを通じての電源供給と多彩ではあるのですが、内蔵のバッテリーしか電源がありません。フルに充電していても4時間程度しか持たない上、待機モードにしていたらその間にも電気が消耗していきます。オイオイ、これじゃあ常に電源供給してやらなければ使えないじゃないか。私が想定していた利用方法はWalkingNAVで、都会に出張した時地下鉄から出た後の位置関係の把握だったのですが、この電源能力では使えないじゃないか。現在、フォーラムに様々な書き込みがあるので、彼らの使用例を参考にして使い道を考えなくてはと思っているところです。


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