OMATSURIKOZO's talk salon


ランダムアクセス 2006年11月号
連載234回

Windows Vistaは買いか?
私はあまり興味がないのです

Google Earthは本当に楽しい
一度は遊んでみてください


お祭り小僧のランダム・アクセス

 穏やかな秋の日が続いていますが、皆さんお元気ですか。先月は失礼してしまい、編集長を始めスタッフのメンバー達にご迷惑をかけてしまいました。読者のみなさまがどのくらい私のお話に興味を持って下さっているのかは分かりませんが、原稿を落としてしまったこと、誠に申し訳ありませんでした。実は、これだけパソコンが普及してしまった今日、またインターネットが普及してしまった今日、私が皆さんにお伝えしなくてはならないようなメッセージがあるのだろうかとか、私事で色々落ち込むことが続きますと、原稿に手をかけようと言うモチベーションが湧いてこないのです。「もうそろそろこの『ランダム・アクセス』も役割が終えたのではないだろうか」と編集長に問うと、彼もしばし返事に詰まってしまったというのが現状です。従来の惰性ではなく、何か新しいコンセプトとか、私なりのモチベーションとかが必要になってきたようです。Toshi先生に言わせると、「とにかく続けよ。来月号は先月号と一緒に2つ書け」ということなのです。彼の考えではモチベーションがあるから書き続けると言うよりは、書き続けることによってモチベーションが維持できると言うことなのでしょう。そういわれてみれば、原稿がとうとう出来なくなるまでの数日は苦痛な日々でしたが、いったん落としてみるとほっとしてしまったことも事実です。人間怠惰な方向には簡単に舵がとれるものだと感心してしまいました。

MacとWindowsのダブルブート

 さてつい先般、友人の一人がノートパソコンを携えてきて、「MacとWindowsのダブルブートが出来た」と見せてくれました。起動画面でOSの選定が出来るのはしばしば見せてもらっていましたが、MacOSの立ち上がりはなかなか早く、感心してしまいました。ちょっと前の雑誌記事ではWindowsマシンにMacOSをインストールするには少し問題があるような話が書いてありましたので、彼に聞いてみたところ、「ちょっとしたパッチを当てるだけで簡単にインストールできる」といいます。通常のインストールCD(インテル用)を購入し、インターネット上でパッチ当てのプログラムを取り込んでやればOKということだそうです。インターネット情報はさすがに早い。ハードウェアの構成によっては音源に問題があったり、無線LANに問題があったりするらしいのですが、一般的な立ち上がりはほとんどのマシンで問題ないと言うことです。幸いなことに彼のパソコンではそのあたりのところも問題なく、簡単にダブルブートパソコンに変身してしまったそうです。彼は同じパソコンにLinuxとWindowsに入れたり、OSの遊びに凝っているところがあり、私は彼のチャレンジをいつも興味深く見せてもらっているのですが、「それでも、こうした遊びは昔ほど興味を引かなくなった」とつぶやいてしまっている自分を発見してしまいました。うーん、頭の動脈硬化が始まっているのかな。雑誌ではインテルMacマシンにVistaを導入してダブルブートマシンにするといったものも出ていて、MacとWindowsの垣根は本当に少ないものになってきているのでしょうね。インターネットのWeb画面を立ち上げていたら、Macだ、Windowsだと言っていること自体が馬鹿馬鹿しくなってきます。本当に違いが分かりません。

Windows Vistaの登場

 そういえば、MicroSoft社はWindowsの次期バージョンであるVistaを現在積極的にコマーシャルしていますが、前回のXPからもう5年。かってはWindowsのバージョンアップを私も待ち望んではいたのですが、今ではそんなに期待しなくなっている自分がいます。ハードウェアの更新は著しいものがあり、5年前のパソコンと現在のパソコンの性能には大きな隔たりがあります。MicroSoft社は古いパソコンのアップグレードをあまり推奨しない方針だと聞きました。今回のVistaでは新しいライセンスアグリーメントが相当にきつくなると言う話も聞きます。色々なバージョンのVistaを提供すると言うことですが、それぞれの間でのバージョンアップやレジストレーションの方法などがまだ完全には明らかになっていません。ただ噂によると1枚のCDでハードウェアの変更は2回までといった(OSのライセンスを1度しか移すことができない)話も聞きます。PCユーザーズ連盟のメンバーのように自作パソコンをたくさん持っているユーザーにとっては、Vistaの導入は悩ましいものが付いてきそうです。パソコンハードの価格が5万円を切る状況の中で、2.5万円のOS代というのはどんなものなのでしょうね。開発に金がかかっているとはいえ、全世界で市場に出ているパソコンの数を考えてみても、ハードメーカーの数は数多あるにもかかわらず、OSメーカーはほぼ独占されているわけでしょう。これはちょっと無茶(ボロ儲け過ぎる)じゃないかと思うのは私だけでしょうか。実際振り返って自分のパソコンの使用実態を考えてみると、自宅ではインターネット(調べもの、株取引、メール)が主で、そのほかにゲームやエディタくらいのものです。本当にそのくらいの使用範囲ならWindowsというOSが必需品なのだろうかと思い始めてきました。今では多くのOSがインターネットをサポートしているし、特別なことをしようと考えないならLinuxは十分なOSではないかと思い始めたわけです。

OSは何でもいい時代になったのか

 先般100ドルPCについて書きましたが、このハードウェアのOSはLinuxです。Googleはこ100ドルPCに協賛もしていますし、のWeb上でワープロや表計算ソフトをサポートすると言っています。一般的なパソコン利用だけを考えるのならインターネットに接続するハードウェアとソフトウェアがあればいいという時代になっているようです。なんだか、PC9801からDOS/Vへの移行時代の再来のような気がしてきました。私もLinuxについては全く未知数で、本当のところ十分な環境かどうかを断言できないわけですが、WindowsXP以降のOSをVistaにしたいとは今のところ全く考えていません。我が家のパソコン全部をLinuxに変えてしまう必要はないですが、そろそろ1台くらいはLinuxマシンにしたらどうかとは考え始めています。

Google Earthは新しい面白さを提案している

 Googleといえば、最近の勢いは凄いですね。時価総額もYahooを数倍も上回ったと言うことですが、検索サイトの充実で広告収入だけであれだけの会社規模になるという事実に、私のような古い頭の人間には理解が困難です。しかし、事実は事実で、そのパワフルさに脱帽です。Google Earthを覗いてみましたか。私が最初にダウンロードしたときにはまだ日本語には対応していませんでしたが、今では地図上でも日本語に対応しています。これを走らせたとき、誰でもまず自分の家を探すそうですが、私もやっぱりそうでした。最初は航空写真は道路や線路、川などがはっきり識別できず、地図検索して道標を求めるにはちょっと不適切かなんて思っていたのですが、そのうちにはまってしまい、道標なんて考えないで飛行機から地上を俯瞰する楽しみに酔いしれてしまいました。求める住所を入力すると、地球儀がぐるぐる回りながら、目的の場所にどんどん近づいていきます。あたかも宇宙からスペースシャトルで舞い降りると言った感じです。よくぞこれだけの写真を集めて繋いだものだと感心するのですが、田舎の場所では細かい写真はありません。でも、ちょっとした町なら相当詳しい詳細写真が見れます。我が家の何とかそのうちに入っていて、ちょっと嬉しかったです。今まで国内の地図ソフトはたくさん見てきたわけですが、このソフトでは海外も同じく検索できます。そう考えると私がかって仕事で出かけたオランダの工事現場はどこだったのでしょうか。検索してみることにしました。ところが詳しい住所など覚えてはいません。ロッテルダムの郊外であった記憶がありますから、まずロッテルダムを検索します。地球儀はぐるぐる回り、ロッテルダムの中心地に舞い降ります。それから少し上空に舞い戻り、周辺を見渡します。確か海に近い運河の近くだったと、その辺りをうろうろ探していたら記憶に残っていた地名が出てきました。うーん、この近くではあったけれど明確に私が走ったホテルと現場の位置関係が掴めない。でも、うろうろするうちに明確な位置が分かってきました。当時は工事現場だったのでしょうが、今ではトンネルになっている場所ですから探すのはなかなか難しかったのですが、地表から地下に潜り始めるポイントが発見できました。「ああ、ここだ」と理解できると航空写真はリアリティを増してきます。ここからこういって、ここで曲がってと、道順を追うとホテルが分かり、休みの日に食事に出かけた近隣の町のレストランが分かってきます。うーん、こりゃ本当に楽しい。だったら、ラスベガスを訪ねてみよう。いや、上海も訪ねてみようと遊びはエスカレートしていきます。ラスベガス・グランドキャニオンはアメリカだから当然として、驚いたのは上海の航空写真です。共産圏だからそんなに詳しい写真は出てないかと思ったら大間違い、同じような精度で出てきます。10月の始め、仕事の関係で数日上海に訪れたのですが、泊まったホテルの位置がはっきりしなかったのですが、うろ覚えの地名を検索するうちにとうとう見つけだすことが出来ました。まるっきり地理感がなければ見つけだす事は不可能だったかもしれませんが、そこそこに自分が居た位置を憶えようとした事が幸いしたようです。先般、ソウルに行った時、私の会社に顧問で迎えいていた人が磁石を携帯していました。地図と磁石を持っていればかなり見知らぬ土地でも自分の居る位置が把握できます。次の海外旅行では是非実践しようと思いつつ、結局そのままでしたが、その感覚、と言うかいつでも自分の位置を知ろうという意識は大切で、今回の上海旅行でも十分に利用させて貰いました。話は色々飛びましたが、Googleの地図ソフトは今までの地図ソフトにはない新しい夢を感じさせてくれた事は確かです。皆さんも是非一度Google Earthで遊んでみてください。

可処分時間のお話

 さて、本来ならこのあたりで今月号はお終いと言うところなのですが、Toshi先生からの2ヶ月分は書きなさいと言うお話に釣られ、もう少し話を進めましょう。「可処分時間」という概念について話を進めます。実は、先月書き始めていたのはこの問題だったのですが、とうとう結論が出ないまま、原稿を落としてしまったのです。若い頃、「時間がない、時間がない」と言いつつもそれなりに色々な事にチャレンジしていたような気がします。しかし、もうそろそろ定年が近づく今日、あまり多くの事にチャレンジしなくなっている自分を発見してしまいます。一体これはどうしてなのでしょうか。人それぞれが持てる時間というのは等しく、ある人だけには1日48時間と言う事はありません。等しく1日は24時間なのですが、この決まりある時間をどのように使うかというのが、実は大問題なのですね。仕事仕事に追われて時間を潰してしまう人もいるでしょうし、有り余る時間をどのように消費しようかとうろうろしている人もいるでしょう。昔、「頼み事をするのなら、忙しい人に頼め」と言った話を聞きました。そんな馬鹿なと思った事もあるのですが、これって本当に真実なのですよ。忙しい人は時間を有効に使う事に長けていて、時間が一杯ある人は「いつでも出来る」と思いつつ結局何も出来ないと言う真実を最近実感しています。私の先月号の欠稿がそれです。忙しくたまらなかった10年ほど前、毎月どうしようかと思いつつ、それでもわずかな時間を見つけ、どうにか原稿を書き上げていました。ところが最近は仕事に余裕が出来てきているのですがモチベーションが下がってきているのです。かって、パソコン通信が華やかだった頃、毎日ネットにアクセスし、書き込みを続けていた頃は本当に毎日が充実していたとも言えますが、寝る時間をけずってもいたのでしょう。今それをやれと言われても困ってしまいます。最近、ブログだとかユーチューブだとか、正直言って「戯言」の世界が賑わっています。こんなものに可処分時間を消耗してなんて言うと、やっぱりおっさんなのでしょうね。最近見た記事の中に、「取り貯めたテレビ録画をハードディスクの肥にしている」というものがありました。うーん、分かると思ったのが正直なところです。昔、テープレコーダーに取り貯めたテレビ録画も満足に見なかったことを思い出しながら、近年のハードデスクという大容量の記憶装置に取り貯めたデータなんて再び見る事がないという現実をリアルに受け止めたわけです。自分には1日48時間があるという幻想を持てる年代に嫉妬と軽蔑を感じながら、再び可処分時間というものについて考えさせられてしまう自分がいました。世界中どこにいてもインターネットを通じて家庭のテレビが見れますなんて言うコンセプトの「ロケーションフリー」という概念もヒットしているようですが、そこまでして日本のテレビが見たいの?と聞きたくなってしまいます。海外に出向いてもそれなりの携帯電話を持っていれば国内にいるのと同じように連絡が取れます。とても素晴らしい事のように思えながらも、そこまで日常生活を継続したいのかと言いたくもなってしまうわけです。「便利」というものに憧れていたかっての私と、適当な便利で充分と思っている自分にギャップの中で、この年になると適当な睡眠時間は確保しようと思っているわけです。

さよなら、「ASCU」

 「ASCU」が復刊されましたね。ほとんどパソコン雑誌を買わなくなっていた私ですが、「ASCU」だけは毎月読んでいたのです。ところが8月号が特集を組んだ後、9月号から発売されてないことに気がつき、調べてみるとリニューアルすることを知りました。まあ、これだけインターネットが普及し、雑誌の数多でていると老舗の「ASCU」も持たなくなったと言うことかと妙に納得したわけです。先般本屋に立ち寄ると、リニューアル版の「ASCU」が店頭に並んでいます。表紙からもう大変身です。「週刊アスキー」以上に大変身。もうパソコン雑誌ではなくなっていました。ITを中心とした経済雑誌の体をしています。手にとってぱらぱらとめくってみましたが、もう私が求めていた「ASCU」ではありません。なぎら健壱編集長、ごめんなさい。さよなら、「ASCU」。

フレッツ光の盲点

 NTTが光ケーブルとIP電話の勧誘に必死ですね。我が家にも勧誘の電話が何度もかかり、留守番をしているお袋は対応に困っています。「息子がいるときにかけてください」と断りを入れていますが、NTT以外にも他の電話会社からも何度もかかるらしく、「本当によくわからない」とこぼしています。ADSLで現在のところ、そこそこ問題ないと思っているので、光に変えなくてはならない必然性が見えてこないのです。こんな状況の折、NTT東と西が相次いで電話障害を起こしています。急激なユーザー数の増加にシステムが対応できなかったという話ですが、ソフトウェアにも問題があったという話も聞きます。新技術というものはしばしば思いがけない落とし穴に陥ることがあるのは分かっていますが、

天下のNTTがこれじゃあ情けないものです。もっともISDNの展開でも大チョンボをしたNTTのことですから仕方がないのでしょう。私の知り合いにも「家の電話が使えなくなっている」と苦笑いをしている人がいます。携帯電話がこれだけ普及している今日、決定的なトラブルには至っていないのでしょうが、会社関係などでは相当なダメージを被っているところもあるでしょうね。勧誘員の「安くなりますよ」とか「便利になります」とかの勧誘にうかつに乗るととんでもないしっぺ返しが帰ってくる場合もあります。「お宅が値下げをしたら、3ヶ月以内に他社も値下げをしてくるでしょう。まあ、変更するのはめんどくさいのでこのままにしておきますわ」と答えて電話を切っているわけですが、私の可処分時間をつぶされて少々不機嫌なわけです。


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